泣きまね
小学校1年生の時、5人くらいの女の子でいっしょに下校していた。高架下の道をのんびり歩いていた時、突然1人が「みんなで泣きまねごっこしよう!」と言いだした。
誰も疑問に思うこともなく、「じゃあ、やろうか」ということになった。私も特に乗り気ではなかったが、とりあえずやってみた。数秒後、私以外のみんなは「演技」をやめ、「◯◯ちゃん、ほんとに泣いとる!」と言って私の周りに集まってきた。私は驚いて顔を上げた。「あれ?泣いとらん…」
今覚えば、私はその時「未来の北島マヤ」であったかのかもしれない。すぐに演技の勉強をすればよかった。残念なことに、私の母は一般的な「教育ママ」であり、算数や漢字の勉強をさせる方に力が入っていた。たとえ友達4人が「◯◯ちゃんの演技はすごいです!」と説得しにきたとしても、私が「北島マヤ」になることは許してくれなかったであろう。
というわけで、今の私がある。日本は1人の大女優を失うことになってしまったのかもしれない。
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