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[TeaTime #19]イギリスの生活ってどう?『Thank you 文化』


イギリスで生活すると感謝を表現する機会が沢山あることに気がつきます。それは、口で言ったり、Thank Youカードを送ったりして、感謝を伝えます。イギリスのカードショップには様々な場面のカードが売られています。教え子から「教えてくれてありがとう」のカード(写真)を貰いました。

日本語でも当然感謝の言葉はありますが、日本で「ありがとう」「ありがとうございます」「すみません」を耳にするように、イギリスでも様々な表現「Thank you very much, indeed:誠にありがとうございます。」「Thank you very much:ありがとうございます。」「Many thanks:ありがとうございます」「Thank you:ありがとう」「Cheers:どうも」「Ta:どうも」が頻繁に聞こえてきます。「ありがとう」や「Thank you」は人を嬉しくさせる言葉なので、「感謝の気持ちを表す」のはとても良いことですね。

ちなみに、「Cheers」は「乾杯!」として知っていると思いますが、「ありがとう」の使い方もあります。とてもカジュアルな表現です。日本からの留学生がこの言葉を聞いて「どうして今乾杯なの?」と混乱したそうです。イギリス人大学生にそれを質問してて、微笑ましくなりました。「分からなかったら、恥ずかしがらないで、聞いて確認する。これが学びの過程だよね」と思いました。

では、日本とイギリスでの「ありがとう文化」は同じなのでしょうか?国が違えど、人々が「感謝する」理由や状況は類似しているのではないでしょうか。

東京の大学に1年間留学した教え子の英人女子大学生が、日本での興味深い経験を次のように述べてくれました。

Not thanking people when they bagged your groceries was hard to get used to. (買い物の袋詰めをしてくれた人たちに感謝の言葉を言わないことに慣れるのは難しかった)

イギリスに滞在したら気がつくと思いますが、挨拶をしてくれた相手に、バスを下車する時バスの運転手に、店で会計をする時店員に等、人々は感謝する相手とThank youの言葉交わしています。私たちが受けるサービスは彼らの仕事の一部なので、彼らがやってくれるのは当たり前かもしれません。それでも、「Thank you」を耳にします。

イギリスで挨拶を交わす時、

     Person A: Hi Are you all right?

     Person B: Yes, I am fine, Thanks.

日本語では、

     Person A: 元気ですか?

     Person 2: はい、元気ですよ。

イギリス英語では、Person Bが最後にThanksを言う一方、日本語では、「元気です」と答えた後に、「ありがとう」や「すみません」を言わないですよね。

ここに、「日本とイギリスの言語文化の違いがあるのでは?」と思うのです。ここでのThankは、「Thank you for asking(聞いてくれてありがとう)」の意味です。挨拶をしてくれた人への感謝の気持ちを表しています。

これは、日本語と英語の社会言語的な違いがあるかもしれないと思いました。

日本語のありがとうは、漢字で書くと「有り難う」。「あることがむずかしい」つまり、「めったにないことだ」を元々は意味して、この表現には「話し手」も「聞き手」も、つまり人間が誰一人出てこない特徴があります。

一方、英語のThank youは、元々は"I thank you."「私はあなたに(あなたがしてくれたことに)感謝します」で、ここには「私」と「あなた」の対人関係が成立しています。

(参考文献:金谷武洋. 日本語が世界を平和にするこれだけの理由 . 株式会社 飛鳥新社)

また、イギリスのレストランで食事をすると、Tips(物質的な感謝の表現)を払います。ちなみに、スペインでのTip文化はないそうです。英国の大学で働いているスペイン人の同僚が「Tip文化に混乱する」と言っていました。

日本人にとって、顧客サービスは「仕事の一環」と言う価値観が根底にあるのではないでしょうか。このような「サービスをする・受ける」の考え方が両国で異なるのも、「ありがとう文化」に影響を与えているかもしれません。

イギリスで生活して、日本に一時帰省し、日本で素晴らしいサービスを受けたりすると「当たり前に受けているサービスやイギリスに比べてトラブルが少ない日本の社会基盤は、実は当たり前ではない。多くの人たちの努力のお陰でその恩恵を受けている」とそう思ったりします。

先日、アムステルダムに旅行に行きました。乗り込んだトラム内のチケット販売機が壊れていて「タダ乗り」をさせてくれたその運転手に、降り際に大きい声で「Thank you very much!」と言うと、その運転手はニコッとしてくれました。Easyjet(LCC)のCAさんにも飛行機を降りる際、大きい声で「Thank you very much!」と笑顔で言うと、そのCAさんハッとした仕草をされ、すぐさまに満面の笑顔で 「Thank you very much, too. Have a very nice day!」と返してくれました。「優しさのチャッチボール」でお互いを「幸せ」な気持ちにさせてくれているようでした。

「ありがとう」と言うのは、なかなか照れ臭かったりするかもしれないけど、「ありがとうの出し惜しみ」はしなくていいと思うのです。「ありがとう」は自分の1日も誰かの1日もHappyにできる、人間関係を円滑にしてくれる魔法の言葉 magic word」だと思うのです。

ここで書いた内容は、あくまでも私自身の経験からの私見です。

 

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