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カルナック神殿
久しぶりにエジプト旅行の続きを書くことにしました。というのも、最近のアレをきっかけにオンライン系のコンテンツがいきなり増えましたよね?その流れでエジプト考古学者の河江先生がオンラインのエジプトレッスンを始められまして、月一の講義に私は毎回参加しています。この講義がめちゃめちゃ面白いのです。
先生が古代エジプトのあれこれを最新データを見せつつ解説してくれるっていう、夢のような講義です。ちなみに次回は7月25日、新王国時代をテーマに。新王国時代はツタンカーメン、ハトシェプスト女王、ラムセス2世…ヒーロー揃い踏みな時代ですね。
河江先生の講義は基本1時間の予定ですが、毎回2時間位に伸びてますので、今回も2時間コース間違いなしだと思います。私はこの講義をきっかけに再びエジプトについて考える事が増えてきました。折角なのでブログも再開しようと思いました。それではお付き合い下さい。
【オベリスク】
カルナック神殿の見所の一つにハトシェプストのオベリスクがあります。
でかい!30メートル位ありますね。信じられますか?これが一つの大きな石ですよ。凄いです。岩盤の大地からこの大きさのオベリスクを切り抜いたわけで、一体どうやって作ったんだと謎ばかり…
アスワンに石切場があって、掘り出す途中で折れてしまい放置されたオベリスクが残っています。この発見でオベリスクがどうやって掘り出されたか?がわかってきたそうですよ。
石には劈開という性質があってある一方方向に割れやすいのですが、当時の人たちもその劈開面に沿って割っていたそうです。石切場から炭が見つかっていて、そこから推測するに劈開面に沿って火を焚いて石を膨張させ、その後に冷えると伸縮してヒビが入るので割れやすくしていたのではないか?と考えられています。
としても!この大きさの石を切り出して全面をきれいに磨いてカルトューシュ掘って、それを神殿まで持ってきて、この場所に設置するわけでしょう。…いや、どんだけの仕事量ですか。凄すぎる。
・ハトシェプストとトトメス3世の不和
あとこのオベリスクは下部を壁で囲まれてたそうですね。実際、上の写真はオベリスクの真前で撮っていますが、実は瓦礫をよじ登って撮っており、オベリスクの下は岩で覆われていました。
このオベリスクはハトシェプスト女王が立てた物ですが一説では…彼女の死後にファラオになったトトメス3世は彼女を憎んでいて、彼女の痕跡をこの世から消そうと動いていたと。だからオベリスクの碑文の部分を壁で隠したりしたり、名前を削ったりしたそうです。(ハトシェプスト女王についてはこの後に行く、デリエルバハーリ神殿で書こうと思います。)
神殿内には折れたオベリスクの先端部分もあります。とても細かく絵が描かれていますね。こちらは先程のオベリスクと対になっている物です。夫の左肩の上辺りにはっきりとハトシェプスト女王のカルトゥーシュが見えます。
【スカラベ】
カルナック神殿へ行ったらスカラベの石像の周りを半時計周りで周りましょう!
願い事が叶うそうですよ。
スカラベはフンコロガシの事で、フンコロガシはその名の通り他の動物のフンを丸めて転がす習性がありますが、その姿を古代エジプト人は太陽神カプリと同一視しました。フンコロガシが球体を転がすように、天でも太陽神カプリが太陽を転がしているとしたわけです。
古代エジプトの宗教観において再生と復活という感覚がベースになっていると感じます。太陽が空に登り沈んでいく事はまさにその象徴で、毎日太陽は生まれて死んでを繰り返しています。そのサイクルを作るカプリへは大変信仰が強く、その象徴であるスカラベはこの石像然り沢山の壁画しかり、遺跡では沢山登場します。お土産ものにもなっていますね。最近ではサッカラでミイラも発見されたそうです。
【まとめ】
ここカルナック神殿で初めて古代エジプトの遺跡を見たわけですが、まずは大きさに圧倒されました。たぶん皆さんも実際に見たら、想像以上に大きいと感じるはずです。
現代は科学も経済も発展して、古代よりも簡単に様々な事が出来る様になったと思います。それでもあの規模の建築はもう出来ないんじゃないかな?と感じます。なんでだろうか?と色々考えました。現代の様に社会経済が出来上がってしまえば、採算のとなれない事業は行われにくいと思うし、民主主義の考え方が広まっている現代には当時のファラオの様な存在も現れないだろうし…。
なぜあれだけの、今で言う公共事業を行うことができたのか?カルナック神殿に立ってみて、これを作った人たちの姿のイメージを感じたんですね。当時の建設現場は現代よりもずっと手作業で人の力をとてつもなく必要としていました。その上でやり遂げた人たちがいたわけです。その原動力は信仰心だったと思うんですね。私たちの感覚からいえば非科学的なんだけど、当時の人たちはフンコロガシにすら宇宙の真理を見出していたわけです。純真というのか、全自然の力を神のお恵みと捉えて、崇拝するために生きていたんだと思うと強く強くロマンを感じてしまいます。
カルナック神殿は柱一つ素通りできない凄い場所でした。