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ボストンのコミュニティカフェ

ボストンに1か月滞在しています。(ボストンのフィッシュファミリー財団によるJWLI という日本女性リーダー育成のための研修プログラムのため)10月2日~29日まで滞在していますが、本日(10月4日)はプログラム2日目。

頭が沸騰しそうなくらいの情報の量、特にインプット以上にアウトプットを求められるため、頭が混乱中です。ボストンはWalkableCity(歩くことができる街)ということで、1か月住むアパートから研修会場まで片道30分弱かけて歩きます。その途中に地元NPOが運営しているコミュニティ型のカフェがあり、2日目のプログラムの帰りに立ち寄りました。いろんな意味で面白く衝撃だったのでこちらで共有します。
★ちなみに、インタビューに答えてくれたのは21歳の男性の学生さん。13歳からボランティアをしていて高校生になってようやく働けるようになり、16歳からずっとスタッフですと話していました。この場のことを最も知っているという感じで店長さんな雰囲気で、年齢聞いてびっくりしました。


カフェの基本情報

名前:THE WELL COFFEE HOUSE (ザ・ウェルコーヒーハウス)
住所:212 Washington StreetBoston 02109

月~土曜 7:00-17:00

営業時間:月~土曜日 7:00-17:00
場所柄:地下鉄駅すぐそば、歴史的な建造物も多く、大学もあり、大きなビジネスビルもあり、観光客も地元の人も交差する一等地
席数:40-50席ほど(8人がけの大きなテーブルがあったり、小さなテーブルとソファーがあったり、カウンター席があったりといろんな席がありました)
営業母体:教会(教会そのものというより教会から派生した感じのようでした。このあたりは短いインタビューでは分かりませんでした)
ミッション:「人間関係を築き、コミュニティに奉仕し、愛を示し、福音を伝え、イエスに栄光をもたらす機会を生み出す、質の高いコーヒーハウス環境をつくること」(運営母体が教会メンバーのためこのようなミッションになっているようです)
平均年齢:20代(すごく若い!ボランティアの方はほとんど学生、時々ご年配の方もいる)
開始:2014年
店舗数:ボストンにて3店舗展開
キャッチフレーズ:「COFFEEーLOVEーCOMMUNITY」

メニュー:

他のカフェより大分安く感じます
フードメニューはマカロンやマフィン、クッキー等
なかなかお洒落なメニューがたくさん



カフェの特徴

ポイントは大きく分けて3つ
①スタッフとボランティアで運営をしている参加型のカフェ。
②チップは全て毎月指定する地元の非営利団体へ全額寄付(アメリカにはチップ文化がありますがそれを全て寄付)
③ボストン中心の一等地だけど、家賃は固定資産税のみを払うということで4年運営(オーナーの理解により)

カフェの雰囲気


参加型カフェのスタイルについて(組織)

カフェには5人のスタッフ、常時30人のボランティアが登録をしているそうです。今月3人のスタッフが辞めたから(仕事が見つかったから)今スタッフは何人かなーと言っていました。ボランティアメンバーも30人くらいだけど、数回しか参加しない人もいるし、3か月いる人もいるし何年も一緒にボランティアしている人もいる。とのことでした。実際に私のレジを担当してくれた若い学生さんは「3か月前にボランティア始めたのー!」とにこにこしながら話してくれました。少し難しい操作はすぐ後ろにいたスタッフ的な人に聞いていました。

シフトは責任者となるスタッフは必ず毎日いるけど、ボランティアの方は、曜日や時間帯によって何人入るかまちまち。何曜日に何時間入れるか入りたいかは自由に決められるため、月曜日のシフトは少ないけど水曜日は多いとかそういうこともよくあるそうです。ほとんど学生さん(大学が多いため)ですが、教会メンバーのご年配の方も時々ボランティアをしてくれるそうです。

ボランティアの方は、基本レジか冷たいドリンク。ホットドリンクはスタッフがやるか、何か月も何年も続けているボランティアさんが(CertifiedVolunteer)=認定ボランティア という名前でスタッフ同様のホットドリンク作成などの仕事をしているそうです。

「何故この学生さんたちはここでボランティアをするのですか?」と聞くと、私たちがやりたいことに共感をしてくれているからです。それに加えてそれがカフェだし、そこでボランティアができるというのはあると思います。と話していました。アメリカの学費はとても高いのでバイトを複数掛け持ちも多いと聞く中で、そういう学生さんもいるのだなという風にも思いました。

列に並んでいるとすぐ横にテーブルがあり、その上にVolunteerinsm is good for your health(ボランティアは健康によいです)という箱が置いてありました。


居場所の立ち上げた理由(経緯)

2014年にMatthewE.LoveさんとJulieLoveさんが立ち上げたそうです。コミュニティのために場つくるためにどういう場だったら「話しをゆっくりできるか」と考えた結果がカフェ(本当は1番はきっとバーなのだろうけどさすがに教会がアルコールを扱うバーを運営するのは難しいかなとなりコーヒーショップになったという話をしてくれました。

ホームページを見ると、「カフェは現代の井戸だ」という言葉が書いてありました。引用します。

今日、コーヒーハウスは現代の井戸といえるでしょう。聖書では、井戸は水を得る場所、人と交わる場所、公的な会合を開く場所、新しい考えを聞く場所、最新のニュースを聞く場所、公的な発表をする場所、群集を集める場所、ニーズに応える場所、人を見る場所、預言者の話を聞く場所として利用されていたのです。井戸はコミュニティの中心にあることが多く、人々が集う場所として非常に便利でした。すべての人が水を必要とするため、井戸は町全体の命の源となっていました。

http://www.thewellcoffeehouse.com/about/who-we-are

これは日本でも一緒ですね。井戸端会議という風にあまりプラスの雰囲気では語られないですが、井戸は、水を得る場所、人と交わる場所、新しい考えを聞く場所、ニュースを聞く場所、人を見る場所だと書いてあります。井戸は町全体の命の源というのもとてもいい言葉ですね。まさにカフェはそういう場だと私も思うので、ここの部分は読んで大変共感しました。

ちなみに、ボストンにいる方に聞いても「コミュニティカフェ」みたいのはなかなかないかな。カフェというのはただコーヒーを買いにいってすぐに出るか、もしくはパソコン持ってそこでカタカタするか、友達と誘い合っていくか。そんな感じかな。という風に話をしていました。あまりカフェ=コミュニティの場という認識はないとのこと。実際にいろんなキーワードで探したものの、なかなか見当たらなかったですが、まさにここはそういうコンセプトで作られた場なのだなということは分かりました。ただ、ボストン市内には他にはないと言っていました。(郊外にはあるが名前を忘れた、自分が知らないというのもあるかもしれないが・・・とも言っていました。)

経営について

基本、とんとんでやっているようでした。収入はコーヒーやいろんなグッズ。チップや上乗せできる寄付はレジで自分が額や%を選ぶことができ、そのチップや上乗せ寄付は全額地元のNPOに寄付されるそうです。修繕やいろんな経費を払うための必要最低限を残し、あとはほとんど残らないとのこと。ちなみに・・・「家賃」はどうしてるんですか?とこの一等地での実施のため恐る恐る聞いてみると、それは「税金分だけを払うだけでいいよ」とオーナーが言ってくれていると話していました。

というのも、当然ながら目が飛び出るほどの額の家賃がする場所ですが、その場の理念ややろうとしていることに共感をして、家賃をゼロに(税金だけは払う)してくれたそうです。

私が訪れたのは本店であと2店舗を運営しているそうですが、本店は移転を2回繰り返しているとのこと。最初に立ち上げた場所は、また別の場所だったそうです。その場もウェイティングリストが10年待ちというとてもよい場所が、登録したら3か月で自分たちに貸すということで連絡をもらえた、しかも格安で貸してくれた、とお話をしていました。ただ、コロナもあり「つまらない理由で」(詳しくは話されませんでしたが)混乱があって、その場を撤退せざるを得なかった。その後にオフィスビルの中に入らないかという話があり、スタッフ給料も払ってくれて家賃も払わなくてよいという素晴らしい場所で運営することができた。そして、現在の場所に移転して、2018年から数えて4年目とのことです。このように家賃を無償で貸してくれていることというのはとても大きいようでした。
私たちが入ったときは、閉店30分前くらいの16時30分頃でしたが、すごい混雑ぷりでほぼ満席で、それでも人がひっきりなしにきている状況でした。立地も有り、そのようなコミュニティ型であることは知らずに多くの人がただただゆっくりと珈琲飲んだり食べたりしていました。

閉店間際にも関わらず長蛇の列


実際に利用してみて

偶然8人がけのテーブルしかあいておらず、私と一緒にJWLI研修に参加している3人と合わせて4人で座ると、残りの4人席にテキサス出身の女性4人(ご年配女性とその子どもたち(30-40代)2人とその友達)が座りました。すぐにお互いどこからですか?と話が盛り上がりずっとそのまま閉店時間過ぎてもずっと8人でおしゃべりをし、SNS交換をし、活動のYoutubeを見てもらったりとなんだかすごく仲良くなって最後はハグをして帰りました。(私は店員さんへの取材があったため残りましたが)となりに座っていたご年配男性も、話かけてきて昔のガールフレンドのことを話したりと、不思議な空間でした。

もともとオープンな国民性もあってか、この短い時間で驚くような距離感の狭まりを感じました。しかも私が昔中学時代に住んでいたテキサス州のフォートワース市出身の皆さんたちだったということが途中分かり、ご近所話で盛り上がりました。こういう「軌跡」のような出会いや知識の交流があるのがカフェの魅力・・・まさに「井戸」だなと思いました。

アメリカのボストンで、テキサスの人たちと日本の人たちが8人席で出会い、新たな知を交換しお互いの仕事や人生を応援し合うとてもエンパワーされる時間でした。

以上、ボストンにあるコミュニティ型のカフェ、THE WELL COFFEE HOUSEのレポートでした。

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