プロジェクトが生まれていくプロセスと生涯学習~りんごプロジェクトの書籍販売を受けて振り返り
先日、一冊の本をいただきました。「りんごの棚と読書バリアフリー1~自分にあった読み方ってなんだろう?」(監修 NPO法人ピープルデザイン研究所 りんごプロジェクト)※購入は今アマゾンで調べたらあったので、こちらからできると思います。
感激です。中身は、読むってどういうこと?からはじまり、読み方ががいかに一人一人違うかが分かりやすく書いてあり、「見えない、見えにくい人の読書」「文字だけにたよらない人の読書」「他言語で読む人の読書」「本が持てない、手に入れにくい人の読書」、わかりやすく大きな文字で書いてあり、その人たちそれぞれにとっての選択肢や事例、絵本のようにイラスト満載で、子どもも一緒に読める。ルビがふってあって、やさしい日本語。自分にあった読み方がすっと入りやすい中身になっています。そして、生涯にわたって学び続けるヒントが詰まっています。
障害者の生涯学習の選択肢を増やす
こちらの「りんごプロジェクト」が誕生する場面に立ち会ったのが、2019年末。
2019年12月から2022年11月まで、主催:NPO法人ピープルデザイン研究所 共催:文部科学省 協力:認定特定非営利活動法人こまちぷらすで「超福祉の学校プロジェクト」を進めていました。※下にその最終報告会の動画あり。
障害者の生涯学習の選択肢を増やすためにどんな新たなプロジェクトができるか、当事者・支援者・団体・行政・教員・校長先生・学校をさまざまな形で支援をしている個人の方・司書の方・・いろんな方が一同に文科省に集まり、ゼロからみなさんとプロジェクトをつくりました。
そこで誕生したプロジェクトの1つがこの「りんごプロジェクト」。今や各地の図書館にこのプロジェクトが提言してきた「りんごの棚」が設置され、アウトリーチ活動やイベント等も増えてきましたがまさか「本」にもなるなんて!!!!すごいです、本当に2019年のときのことを思い出すと感無量です。
プロジェクトが生まれていくプロセス
はじめましての方々で、立場やバックグランドが全く違うときにどのようにプロジェクト、新しい選択肢をつくっていけるか。
それをピープルデザインさんと何度もオンラインで打ち合わせをし、組み合わせや進め方を検討。そのときに誕生したのが、こちらの表。
現在厚労省のとあるWGの委員として自治体向けの研修を先日広島でさせていただきましたが、そのときにも少しアレンジしてこちらを活用しました。自分のやりたいことや課題感、他者の強みを知りながら、「これまで」の制度施策を整理していくために有効ですし、そして複数人・団体の協働は迷子になりやすいのでこうした共通言語を持ち続けることは大切だと思います。
本当に大きな財産をこのプロジェクトでいただきました。
りんごプロジェクトの皆さんのみならず、全プロジェクトがこちらを使って「ナナメの解決策」を2年にわたって検討をし実際にプロジェクトとして形にしていきました。ピープルデザインの須藤さんが、「それはナナメじゃないな」「今世の中にあるサービスと何が違うの?」と厳しくもあたたかいつっこみを中間発表や様々な打ち合わせのときにツッコミをいれられていて、どんどんとそのフィードバックを踏まえてブラッシュアップされていく様子に感激したのを今でも覚えています。
プロセス組成の大きな流れ
プロジェクト組成の流れは以下の流れでした。
これらを②以降はコロナに突入したのでオンラインやハイブリッドを組み合わせながらすすめたのですが、本当に素晴らしいプロジェクトがたくさん誕生して、生涯学習の「選択肢が増える」ということに少しつながったのではないかなと思います。
結果うまれていったプロジェクト一覧。
現在の施策
その後施策はどう進化しているんだろうとふと文科の資料を調べてみました。
地域コンソーシアムによる障害者の生涯学習支援体制や地域連携による障害者の生涯学習機会の拡大創出などいろんな実例が各地域で増えてきているようです。
学習する方法を身に着けようとする時間
学びは学校の中で終わるのではなく生涯にわたって学び続けるので、自分の学び方を知ることは誰にとっても大事なこと・・・ですがそこにどれだけ時間をかけられているだろうか、と最近よく考えさせられます。
先日、とある方より「学習する方法を身に着けようとする時間」がいかに大事かというお話をお聞きしました。(こちらの横浜の先生方が立ち上げ開催されたGIGAフェスにて:詳細レポートはこちらにアップされていたのでリンクをはらせてください)
とお話をされていて、とっても共感しました。大人になればなるほどどんどん固まっていく。その思考をほぐす機能は街中にも必要ですね。分断はそういうところから減っていくのではとも居場所を運営しながら思います。0-100歳の生涯学習という視点で捉えると学びはもっといろんなステークホルダーが一緒につくっていくものという視点に自然となっていくと五城目に行った時(詳細はこちら)にも思いました。