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レッツ山手線ゲーム

かれこれ二年くらい前にショックな出来事があり、それが冬に起きたことだったのもあって寒さが苦手な私はかなり落ち込んだ。浮遊霊が憑くほど周波数がダダ落ちしてしまい、なんで生きているのかよくわからないと感じたと同時に、そんな自分の殻を破って大きく変わるターニングポイントを迎えていると心の奥底では感じていた。

そして同時期のクリスマスイブに111歳という年齢で、生まれた頃から近くにいた祖母が他界。原因はステイ先のホームで罹ったコロナで、なんとその時私まで別の場所でコロっていたので病院に入れず最後に面会もできなかった。虚しさと共に、祖母の次なる旅路を守ってください、との一心で観音様を何枚か写仏してそれを棺に入れてもらったりして気持ちを落ち着けた。

そんなこんなで家から出れない日々が続いていたけど(元々オタクなので家にいるのはデフォルトなんだがさらに加速)、思いつきとタイミングが一致し、私は翌新年早々富士山の麓に住んでいるアーティストの大パイセン宅にお邪魔させていただくことになった。

最初は日帰りのつもりでいたけど、新鮮なおせち料理で迎えてもらって、祖母の新たな旅路まで祝い乾杯してくれた。途中で近くにいた彼女の友人が混ざったりして、ご厚意に甘えて結局二泊三日ステイさせてもらった。パイセンは神秘の世界にも相当詳しいので、ところどころで瞑想や祈り、ハイヤーセルフと現実創造についてなど濃密な会話も繰り広げられ、私は知的好奇心が満たされ嬉しくなる。
彼女の優しさ、深い愛と叡智、そして貴重な時間を共有してもらった三が日となった。助けてくれてありがとう。

実際にその時撮った写真

さらに、先述のショックな出来事のおかげで富士山(というより河口湖)に対して勝手に嫌なイメージを持ってしまっていたのだけど、それも全て払拭され最終的に元気になり富士山にもお礼を言って私は帰京の途へついた。

その足で都内の実家に戻ろうと山手線に乗る。車内は空いており、乗っている人たちは皆ゆるやかな新年ムード。盆と正月は多くの人が地方や海外に戻ったり出たりするので、元々の東京出身者・ローカル都民にとってはさらにほっとできる束の間の休日なのである。
私も背負っていたバックパックを網棚の上に乗せて座り、S駅を目指した。

そしてS駅に到着し山手線を降り、乗り換えた車内で気づいたのだけど、バックパックが、ないっっ!!!毛穴が開き冷や汗が出始めるくらいのタイミングで、一つ隣のローカル駅(JR)に着き慌てて電車を降りた。

やばい、やっばー、やべーすと!と脳内は大混乱。貴重品やスマホなどは手元の小カバンに入っていたので最悪の事態ではないのだが、えっとどこに置いてきたのって、山手線だよなと確信する。

バックパックの中に入っていたのは、、着替えとお土産とMACと何千曲という音楽データの入ったHDなど、、、うげーーーーーー、DJ失格、、久々のやってもうたシチュエーションじゃん。(実はかなり昔にインド帰りの疲労困憊した状態で乗り込んだ日本へ帰る飛行機の中に、CDが80枚くらい入ったケースを忘れたことがある。もちろん問い合わせもしたけどお察しの通り戻ることはなかった!)

現在では音楽はデータになったので重さはないけど数が膨大で、次の演奏までにどうやって揃え直したら良いんだろう、、、と一瞬果てしなく広がる地平線のはるか彼方に意識が遠のきそうになった。

しかしこの時パッとアイディアが閃く。

「アレ?山手線って回ってね???‥さっきの山手線が一周してS駅に戻ってくる確率めっちゃ高くね???」

冷静な意見に、確かにと自分で納得。可能性はあるわけだから、これはもう特殊部隊気分で取り戻しにいくしかないと決意。憧れのジョエル・ランバート*(訳註最後)に共鳴する自分の中の軍隊的人格を呼び起こし作戦会議へ。

そもそも私は何時にS駅に降りたのか?それすらもわからなかったのだけど、アレ?ちょっと待てよ‥とまた脳裏にとある画像が浮かんだ。

ちょうど山手線を降りて乗り換えた時に、珍しい名前の看板を発見したので写真を撮って家族に送っていた。その写真の撮影時刻を確認し、そこから何分くらい歩いて乗り換えたかを大雑把に計算し、バックパックが乗っている電車がおおよそ何時何分にS駅に着いたかを逆算することができた。

私は今いるローカル駅の改札まで行き、大事な荷物を山手線に忘れてしまったということで、ダメ元で駅員に聞いてみた。

「あの〜、つかぬことを伺いたいのですが、さっきだいたい〇〇時〇〇分ごろにS駅に停まった山手線が、一周回ってS駅に戻ってくる時間を知りたいんですけど、そんなのわかるシステムとかあったりしますか?‥‥」

この時私の対応をしてくれた駅員は言い方がちょっとアレだけど、電車オタクっぽい真面目そうな若い男性だった。しかし私の要求を聞いた後、メガネの奥の眼球がピッカーンと光る。

「なるほど。少々お待ちください。」

といって、なにやら職員専用の電子端末のようなものをいじりながら

「おそらくその時刻であれば〇〇時〇〇分の電車で、再度S駅に到着するのは〇〇時〇〇分じゃないでしょうか?」

というわけで目標となる時間を教えてもらうことに成功し、お礼を言って私はS駅に戻った。(確かあと3~40分後とかそんな間隔だった)

いつの間にか脳内はこの状態に

S駅はかなり大きなターミナル駅なので、さっきのローカル駅とは規模が違う。
私は時間までその辺をぶらぶらしながら、中央改札にいる駅員の様子を遠目に眺めていた。こちらはキラキラ系の若い女性と男性が対応中だが、さっきのローカル駅とは比べ物にならないほど乗客が列を成し、次から次へとやってきては駅員に質問している。正月対応はかなり激務のようで、ヘアセットが若干乱れ、しっかり綺麗にお化粧していたがもうそれも崩れかかっているような疲労が垣間見える顔つきだった。

いや〜、こんな状態じゃ相手にしてもらえないだろうな〜、でも天下のS駅だからな〜、お客様対応充実してんじゃないかな。という勝手な希望的観測をもとに一応聞いてみようかなと。

さっきローカル駅で教えてもらった情報があるのにも関わらず、私は好奇心で列に並び、同じ質問をこの女性職員に投げかけてみた。
ローカル駅の男性職員に聞いたように、〇〇時にS駅に停車した山手線が、という作文で質問した。

すると第一声が
「山手線は停車しません!!!」
という驚きの珍回答だった。

確か、通過はするが停止はしないとか、揚げ足取りのようなそんなこと聞いてないよという返答だった。
言葉遣いは丁寧だけど「もうあたし超絶忙しくてテンパってんだけど何言ってんの」みたいな感じの対応で私の要求&日本語の意味が何も理解されないまま

「ここを出ると左側に忘れ物センターがあるので、そこで届出てください。」

で終了した笑

激務ですよね〜、すみません、正月バイトの人だったかもしれないな。届出するにも忘れ物センターにも人が並んでおり、このままだと戻ってくる山手線をキャッチできないかもしれないのでそれは後回しに。

ということはあのメガネくんはかなり優秀で(もちろん激務レベルの違いによる精神的な余裕にも差はあっただろう)、私はかなりラッキーなんじゃないかと痛感。ここは己に与えられた情報を信じるしかない。

駅構内の待ち合わせ場所の端っこで軽く瞑想しながら「絶対に大丈夫!!!」と心の中でアファーメーションを唱えまくり、無事にバックパックを取り戻して喜ぶという感情のフォトンを打ち上げまくりイメトレをする。

そんなこんなで到着時刻が近づいてきてさらにソワソワしながら、いざ山手線のホームへ。さて、私がさっき降りたのってどの辺だっけ?と思い始めたらまたもやパッと、もともと乗車した駅の風景が写真のように脳裏に浮かんだ。

「ああ、そうだ、乗り換えのために前方に乗ったんだった。」

ということで無事にだいたいの降り場所を見つけて電車の到着を待つ。

到着予想時刻から目星をつけたのは、1本の山手線。
そしてその前後も1本ずつ確認することにした。

正月早々1人で何やってんだと思いつつも、ドキドキしながら1本目が到着したのでおそらく私の乗っていた車両とその前の車両に足を踏み入れて目線は全網棚を確認。うーん、ない!

プシュ〜とドアが閉まり、電車は走り去っていった。

この点検で駅に停止している時間を発車メロディーと体感で測ることができた。だいたい〇〇秒くらいで全部見渡せるな、次もちゃんとチェックするぞー!とモチベ高く次を待つ。

そして約3分後に2本目が到着し、ドアが開いて1歩入り車両内を見渡す。何もないように見えたその先に、見覚えるのある黒いバックパックを発見〜!!

「ぎゃー!!!!!!あったー!!!!!!」

と叫びたかったけどそれをこらえて、網棚に取りにいき確保!して、時間内に無事降りることができた。

ミッションポッシブル!!!

富士山帰りの新年バイブスとともに、自分の大事な荷物を山手線に乗せたまま一周させてる私って呑気すぎる…なんて壮大な1人ゲームなわけ!!!と思いつつも、バックパックを取り戻せたおかげでほっと一安心した。

再びS駅に到着した時点で、車両内で私の荷物だけが網棚に鎮座していた。正月だったのもあって、人々はほんわかムードで他人の、よくある黒いバックパックなんかに構ってる暇などさらになかったのではないかと予測できる。

私があたふたしてる間にも、荷物だけが淡々と山手線のコースを回っている図はかなりシュールだ。

感謝がハートから溢れ出てくるのを感じながら、私は再度目的地(実家)に向かうため電車を乗り換えた。

S駅の対応と比較すると、ほんとメガネくんは「神対応あざす」じゃん。お礼言って帰りたいわと思い立ち、私は再度ローカル駅で降りて改札へと向かった。

するとそこにはさっきのメガネくんより背が高く、メガネをしていない若い男性職員が立っている。私はその男性職員に、さっきここにいたメガネをかけた方のおかげで荷物を取り戻せたのでお礼を伝えたい、ということを話す。

しかしメガネくんは休憩時間か別の持ち場に移動したらしくすぐには戻らない様子。
「伝えておきますね。」
と言われて再会はできずに終了した。

お礼を言おうと思ったらもういないって、やっぱ神か。

神と言えば、OMG!な事態に陥った時にパッと閃くアイディアや画像に至っては、これはもう天使の仕事じゃなかろうか。

おっぺけぺーの人間版の私にその都度鮮明なヒントを与えてくれて最後まで見守ってくれてガイドしてくださりありがとう(おそらくこの天使たちは日々私をサポートしてくれていると感じている)。

落ち込んだついでに大事なものまで失くすんじゃない!という自分からのメッセージ、外的な条件で人や状況を判断しないこととか、落胆するような出来事があっても周波数を上げて対応すれば何とかなるということとか、富士山の麓で過ごした周波数高めの時間やシンクロニシティを、都市の物理的次元で実際に凝縮体験させてもらった。

けど本当の本当の意味なんてのは、死んでからわかるとかそんなものなのかもしれない。

おかげさまで、音楽を通して人々のバイブスを上げていくという本来のミッションは無事に続行できている。

さらにはこんなエピソードを人様に読んでいただき、少しでも楽しんでもらえたら本望だ。

目に見える存在・目に見えない存在ともに、多大なるサポートを本当にありがとうございます。ドジに気をつけますので今後ともどうぞよろしくです♡


訳註)ジョエル・ランバート・・・元アメリカ海軍ネイビーシールズの隊員でドキュメンタリー番組「ザ・マンハント(英語版)」やアニマルプラネット制作の番組「プレデター・ゲーム」のホスト。


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