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再生

日本の山林のほとんどが植林だなんて、知らなかった。
『原生林』が貴重だということは
要するにそういう意味だったんだ。

屋久島や知床半島の原生林は、
だから大切に保護されているんだ。

航空写真で見る日本の山林のほとんどが
一度は丸裸になったなんてちょっと想像できない。

一度伐採された山が自然の力で再生する。
それは”元の姿ではない”、というマイナスの見方もあるけれど
すごい力だと私は思う。


最近アマプラで
『ビッグ・リトル・ファーム」という
ドキュメンタリー映画を観た。
アメリカのロサンゼルス郊外で
荒廃した土地を豊かな農場に再生した夫妻の8年間。

映画製作が本業の夫が自分の農場作りを記録していたもので、
何年もの苦難続きのある時に自然再生の偉大さに感動して、
これは映画になるかも、と製作されたそうだ。

”土地の再生と維持には生態系が絶対に欠かせない。”
その助言をもとに家畜と共に始めた農場づくりは
害獣や害虫に見舞われる連続だったのが、
時間をかけていつしか自然にバランスが取れてきた。

鶏を襲っていたコヨーテのターゲットが、畑を荒らすホリネズミに変わった。
作物にアブラムシが大量発生すると、どこかからテントウムシが集まってきてそれを食べる。
家畜が散歩して落としていく糞が、土を肥やす微生物のご馳走になり、
そこに生えてくる草は別の家畜の餌になる。
肥えた土でたわわに実った果実を鳥に食べられて肩を落としていたのが、
その鳥を狙うフクロウが集まってくるようになって、
人間は果実を無事に収穫できるようになった。


生態系の再生というのは、
人間の目論見や予想を遥かに超えている。

日本の山林や森林が伐採された後に再生したというのは
そこにまた生態系が自然に生まれて循環しているという
すごいことなんだと思う。

元の姿ではないとしても
実は環境にちょっとそぐわない植林だったとしても
そこには生き物の循環が生まれているのだ。

地球の歴史で見たらまだ若い山林も
ここから先はできれば手付かずでいられて
そのうちには『後期原生林』とか
呼ばれるのかもしれない。

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