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悔やむことがあるとしたら

対話で変える公務員の仕事
たいそうなタイトルの本だけど
結局公務員の仕事は変えられたのかい
変えられないから逃げ出すんじゃないの
#ジブリで学ぶ自治体財政
 
退職を職場で公表してから1か月が経ちました。
気が付けば私の出勤日もあとわずか。
33年9か月の市役所人生も12月31日の最終日まであと1週間となりました。
もっとさみしくなるのかなと思っていましたが、意外にあっさりしているのは、辞めた先に広がっている世界への期待感もありますが、30数年の役所生活でやりたいこと、やるべきことはだいたいやり尽くせたかなという充実感に満足しているという状況かと思います。

本当にたくさんの経験をさせてもらいました。
経験の中でたくさんのことを教わり学び成長したからこそ今があります。
特に財政課に係長として5年、課長として4年在籍し、市役所全体を見渡し、政策推進と財政健全化の両輪を連携させることによる市政運営を担うなかで、組織内外の「対話」の重要性に気づいたこと、その問題意識をきちんと予算編成手法改革という具体的な行動に結びつけることができたことは、私のこれまでの役所人生の中で一番の思い出でもあり、成果だったと思っています。
あの時期にあの場所にいなかったら、きっとこうなっていなかっただろうと思うと、自分の運命を感じずにはいられません。
あの時私の周りで支えてくださった全ての方々とのご縁に感謝申し上げます。
 
しかしながら何もかもうまくいき、もうやり残したことは何もないということでは決してありません。
「対話」を中心に据えた組織の変革、という部分については、10数年前からそのことを志向し、いろんな手立てでその実現に向けて舵を切り、オールを漕いできましたが、私自身の力不足もあり、またそもそも私一人で成し遂げることができる大きさの目標でもない壮大な夢でもありますので、これは緒に就いたばかりという理解です。
このことについては「お前、もう少しここでやることあるんじゃないの?」と言われればごもっともで、その前線を自分ひとりの判断で退くことは、私に何かを期待し、その実現に手を貸そうと考えていてくれた多くの同胞たちに対して申し訳ない気持ちがあります。
この場をお借りして、お詫びいたします。
期待通りの私じゃなくてすいませんでした<m(__)m>
 
つい先だっても、現在の職場での「風通し」について職場で意見交換した際の私なりの感想や今後の取り組みの方向性を記事として書いたところでした。

ここで書いたようなことを私は自分の職場で管理職として実践していくことができる、またしなければいけない立場でしたが、そこまでうまく取り組むことができず「言うだけ番長」になってしまいました。
そのことについては本当に忸怩たる思いがありますし、そのことについてお詫びしたい方々も思い浮かびます。
しかしながら、それが私にできなかったという事実も、私にとって大きな糧です。
ここでは詳しく述べませんが、私が志半ばで新しい道を選ぶ理由はまさにそこにあり、同じ悩みを持つ全国の仲間たちと一緒にそのことを考え、私の失敗体験も学習素材として組み込んで、対話をベースにした組織風土をどうやって実現していくかということについて、個別に相談を受け、伴走支援などを通じて実現していきたい、そんな風に考えています。
ここで「一所懸命」に使命を実現することはできませんでしたが、場所を変え、立場を変え、しかしながら思いだけは変わることなく、「対話」の伝道師として「一生懸命」に尽力したいと考えています。
「言うだけ番長」の私に失望している方がおられましたら、立場を変えて頑張りますので勘弁してください、と詫びを入れておきます。
 
しかしながらどうしても謝っておかなければならない人がいます。
それは私に「公務員」「福岡市職員」として何かを成し遂げてほしかったという方々です。
市役所関係者のなかには「もう一度一緒に仕事をしたかった」「もっと上に行ってほしかった」という方もおられ、福岡市以外の公務員仲間からは「現役公務員としてどこまでやれるか見たかった」「現職としてもっと公務員の殻を破る挑戦をしてほしかった」という意見もいただいています。
立場は変わっても思いは同じ、ではありますが、やはり立場が変わるという事実だけはご期待に沿えないものですから、そこはお詫びするしかない。
期待に沿えず申し訳ありませんでした。ごめんなさい<m(__)m>
 
そんな中で一番悪いなあと思っているのは私の妻に対してです。
私の公務員人生を結婚から30年近く寄り添い、仕事での苦楽を共感し、全力で支えてくれたのは妻以外にいません。
妻が私を支えてくれたのは、私が福岡市役所のことが好きで、仕事が好きで、仕事で苦楽を共にする仲間が好きだったから。
私が私の好きなことのために時間と労力を費やし、そのために家族を犠牲にすることがあってもそれを許容してくれたことに対し、今回の決断は、言い方は悪いですが「妻の厚意を無にする」行為だったと思っています。
何のために支えてきたと思っているのか。
あれほど好きだと言っていたじゃない。
なぜ今、長年好きだったものを捨てて、新しいものを選ぶの。
そう責めたくなる妻の気持ちが最近よくわかります。
もちろん、私が退職する理由も、私が来年からどんなことをはじめ、どんな生活を送りたいかも理解し、共感してくれたうえでのことですが、それはそれとして、この感情にはきちんと向き合い、詫びを入れたいと思います。
心変わりしてごめんなさい、と。
嫌いになったわけじゃないけど、優先順位やその実現手段が変わりました。
そのことをわかってくれたとしても、それまで大事にしていたもの、一緒に夢見ていたものが変わったという事実で傷つく人がいるということを忘れないで置きたいと思います。
大好きなチームで活躍していたプロ野球選手がFAで別のチームに行くことを選んだようなものだと思って、これからも応援してください、という感じですかね。

もし、私の転身について同じような思いを持つ方がおられたら、同じように詫びておきます。
これまで応援してくれてありがとうございます。
これまでの応援、激励に本当に感謝していますし、その支えがあったから今の私があり、その支えによって成長してこれたからこそ、新たな挑戦ができるわけで、今回の転身は決してこれまでの応援を無にするものではありません。
今後とも、引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
 
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
 
★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
 
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