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映画 プロミシングヤングウーマンと17歳の瞳に映る世界

【プロミシングヤングウーマン】

痛快な復讐劇。ポップな色彩とファッション。

一見した可愛さとには似つかわしくない重いテーマ。途中、ズドーンと腹を抉るシーンがいつくかある。

主人公はポップな色が似合うし、キャリア女子のスーツも似合う可愛いさ。医者になるほど有能で、全てを1人でやり抜く執念深さと実行力、勇気と信念がある。物言いもはっきりしていて、嫌なことには嫌だと、言動できっちりと相手に示す。まさにプロミシングヤングウーマン(将来有望な若い女性)。

きっかけになった出来事は本当にクソで、大学生の調子に乗った行為。決して許されない。友人にされたその卑劣な行為に全人生をかけて復讐しようとするというストーリー。

ハラハラドキドキ、キュンとなるシーンもあるし、胸が詰まるシーンもある。重い内容を扱いながら抜群のエンターテイメント性で観客を引き込んでいく。面白いです。

医者という権力社会。ホモソーシャルで女性蔑視な医学部での事件。男性がこの映画を観てどう思うのか興味がある。


【17歳の瞳に映る世界】

お伽話みたいな映画かと思いきや、さらにドギツイ救いのない世界を描く。

地方の閉鎖的な世界。学校、家庭、バイト先、どこにも心落ち着ける居場所がない。

プロミシング〜とは違って主人公は取り分け有能でもなく、金持ちでもない17歳の女の子たち。若い女の子は、知らず知らずに性被害にあう。

気持ち悪いあの行為、断れない関係、日常にある性被害の蔓延。彼女たちにそれを拒絶する事は難しい。それを救う人はどこにもいない。自分で自分を救う力も知識もない。

救いがない。


【見比べて】

プロミシング〜の爽快で鮮やかな復讐は、主人公の有能さによるものだと思う。

性しか財を持たない地方に暮らす普通な女の子たちは日常的に様々な場所で性被害にあっているんだろう。

私は、その中間だと思う。有能ではないけれど、高等教育を受けて堅い仕事をしている。男への苛立ちも、ノーと言える頻度も、間くらいだと思う。私がノーと言えるのは、ある程度の資本が自分にあるからだ。そう思うとそう育ててくれた親に感謝するしかない。

構造的に弱い物が被害を受けないように。嫌なことや気持ち悪いことはノーと言えるような社会になるように、私も勇気を持って嫌なことや気持ち悪いことにはノーと言っていきたい。



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