遊びのなかに「学び」をいれるドイツ教育【理科編】
幼少期は「遊びが大事だよね~」のドイツです。
でも実際は、遊びのなかに「学び」を入れるのが、とても上手いと感じます。今回のnoteは、「子ども向けの歌に学びが多い」を書きます。
生態系に基づく、子ども向けの歌
子ども向けの歌で、何が素晴らしいかというと、植動物の生態を知ることができる点です。
りんごの種子が分かる、りんごの歌
たとえば、このりんごの歌。短い歌詞に、りんごの種子の仕組みが分かります。
In meinem kleinen Apfel, 私の小さいりんごのなか
Da sieht es lustig aus: 楽しそうにみえるよ
Es sind da drin fünf Stübchen, そこには5つの小さな部屋があるよ
Grad wie in einem Haus まるで家のようだ
In jedem Stübchen wo すべての小さな部屋に
Zwei Kerne schwarz und fein, 黒くて小さな種が二つ
Die liegen drin und träumen 彼らはそこに横たわって
Vom lieben Sonnenschein. 大好きな日差しの夢をみるよ
私が初めて聞いたとき、「え、これは理科の授業?!」と思いました。りんごは、5つの部屋があり、そこに種子があります。
この歌から、どうやって「学び」を深められるでしょう?
※※※※※※※※※※
子ども:「(歌)りんごに5つの小さな部屋~♪」
パパ:「その歌、楽しいね。ホンマに部屋があるか、りんご切って見てみようか?」
りんご切る。
子ども:「おぉ~!めっちゃ綺麗な星がある!!」
※※※※※※※※※※
それから、「種も数えてみよう」や「種を植えたら、芽が出るんかな?!」と更に興味が広がるかもしれません。
どんどん興味を深めていったら、りんご博士になれますやん!
ペンギンの生態が分かる、ペンギンの歌
もう一つ、動物の生態が分かる歌を紹介しましょう。
Ich bin ein kleiner Pinguin und suche meine Mama, 僕は小さいペンギン、ママを探しているよ。
ich watschel, watschel übers Eis, ich friere und ich jammer: 僕は氷の上をよちよち歩く。僕は凍えて、泣き叫ぶよ。
Mama-mamamama! So ein Glück, da bist Du ja! 「ママー!ママママママー!」「よかった、君はここにいたんだね。」
Wo warst Du eigentlich? 「ママは一体どこに行っていたの?」
„Im Meer! Hier ein Fisch - für Dich!“ 「海のなかだよ。はい、君の魚!」
Danke! 「ありがとう!」
この歌では、ペンギンの氷上の歩き方や、海を泳いで魚を捕獲すると分かります。この歌から、どんな学びができるでしょう?
※※※※※※※※※※
子ども:「みてみて、わたしペンギンやねん!(よちよち歩く)」
ママ:「まぁ、かわいいペンギンさん!じゃあ、ママペンギンは、海を泳いで魚をとってくるね。」(架空の海へ)「はい、どうぞ。」
子ども:「ありがとう!」
※※※※※※※※※※
これでも十分楽しいですけど、「ペンギンってどんな泳ぎ方するんかな?」と更に興味を示すかもしれません。
そしたら、一緒に水族館やペンギンのyoutubeを見てもいいですね。
どんどん興味を深めていったら、ペンギン博士になりますやん!!
(個人的に、ペンギン泳ぎの俊敏さに感動したので、youtube貼っておきます。よかったら、どうぞ。)
日本の子ども向けの歌と比べてみよう。
ペンギンの歌『ペンギンペンギンいないいないばぁ!』を見つけました。
日本の子ども向けの歌は、手あそびや体あそびが豊富で、ゴロ合わせも面白いです。でも、ペンギンの歌で、リアルな生態が思い浮かぶ歌もあったらいいなと思いました。(私が知らないだけで、動物の生態がよく分かる歌があれば、すみません。)
「遊びのなかに、学び」が理想的
子どもは「遊び」を通じて、様々なことを学んでいきます。「学び」「勉強」というと、机に座ってカリカリするイメージですが、幼少期は体験的な学びが大事です。実際の社会に興味をもち、「知る面白さを知る」ことが大切です。
幼児期に育ってほしい力は?
東洋館出版社『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿』では、幼稚園教育において育てたい資質、能力に「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性」が挙げられています。また、幼児期に育てたい姿の10のなかの1つに、「自然との関わり・生命の尊重」があります。乳幼児の教育については、『乳幼児期の教育は、経験主義であり、目的志向型ではなく、子どもの心(好奇心・探求心・憧れ)を起点とし、感性や感覚を働かせて、リアリティある経験を通じて育ち学ぶ教育』とあります。
歌から理科を学ぶ仕組み
子どもの理科離れも言われていますが、子どもにとって、歌は楽しくとっつきやすい教材です。その歌に、動植物の生態をこっそり忍ばせて、子どもの好奇心や探求心をくすぐる仕組みがあったらいいなと思います。
「学びに向かう力」は興味を持ってこそ育つ
でも、どんなに歌に学びを忍ばせたとしても、子どもが興味を持ったときに学びを深めたら良いと思います。2〜3歳の「好きなこと」は、将来の天職と言うこともあります。子ども達は、既に自分の「好きなこと」に気付くことができます。
私たち大人は、「学び」のとっかかりを豊富に用意し、子どもが興味を示したら、「お!」と気付きたいものです。そのときに、子どもと一緒に対話しながら、興味・関心を深めていければいいなと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?