言語発達「SpeechはLanguageのあとで」
みなさんは、SpeechとLanguageの違いを説明できますか?
子どもがことばを獲得する上でも、あるいは外国語を習得する上でも、speechとLanguageは分けて考えていくと良いかもしれません。
今日は、小児発達に関わる言語聴覚士が考える「Speechと Languageの違い」について書いていきたいと思います。
speechとは
スピーチは、主に「音声」のことを指します。
肺の空気が押し出されて、声帯が震え、口から出てくる声や音です。
肺、声帯、舌、唇、鼻など、声を作る部分の使い方がspeechに影響します。
2年ほど前風邪を拗らせて声帯の周りが激しく炎症。声が全く出なくなり1週間筆談生活をしたことがあります…。まさにspeech「音声」の障害です。
言いたいことは頭に浮かんでいるけれど、上手く声にならない状態ですね。
お子さんの場合、よく出会うのは、原因がはっきりとしない構音障害。
「さかな」が「たかな」になったり、「ごぼう」が「どぼう」になったり、音が置き換わって発音されるものです。
子どもは、魚を「たかな」と言っていても、頭の中では「さかな」と思っています。間違えて覚えているわけではありません。
ですから、この場合もspeechの障害であり、構音訓練を実施することで改善していくケースがほとんどです。
大人で比較的よく出会うのは、「ケ、ゲ、ス、ツ、ズ」やイ列の音(いきしちにひみいり)、小さいやゆよの音が歪んで聞こえるもの。
本来中心から出てくる息が、右や左に寄って出てくるので、側音化構音と呼ばれるものです。
頭の中では言いたいことが正しく思い浮かんでいるのですが、口から出てくる時に音が歪む。
ですから、speechの障害と言えます。こちらも構音訓練で正しい筋肉の使い方を学び、改善します。
日本人が英語のthをうまく発音出来ないのもspeechの障壁ですね…。
Languageとは
Languageは、広い意味で「言語」を指します。
頭の中で、伝えたいことを考えたり、ことばを検索したり、そのことばの音を探したりしています。
新しい単語を理解して覚えたり、動詞を正しく使ったりするためには、このlanguageの力が不可欠です。
ことばを発しないお子さんでも、大人の言ういろいろな言葉を理解していることはよくあります。
また、欲しいものがあった時に「ちょうだい」のジェスチャー(マカトン)をしたり、大人の手を引いたりする行為も、Language(言語)の一種と考えて良いでしょう。伝えたい意図がはっきりとしていますね。
なぜLanguageが先なのか
さて、やっと今日のタイトルについて。
よくある親御さんの声で「子どもの発音を明瞭にしたい」「もっとはっきり喋って欲しい」というご要望を受けることがあります。
実際の臨床では、言語発達や全身の運動発達に未熟さが見られるお子さんについては、すぐにはspeechの訓練はしません。
その理由はなぜか。結論から言いますと、
「伝えたいことがあってこそ、声に出す」
「楽しみながら声に出すことで上手くなる」から。
まずは、豊富な経験、感覚を刺激しながらたくさんのことばを蓄積すること。伝えたいこと、感じられることをたくさん増やして人と関わる経験が大事。
Languageの部分を広げていきましょう。
ことばの拡がりは、脳の中で起きているので、残念ながら周りの大人からは直接確認できません…。(発達検査などは参考になりますが)
Languageの部分は、丁寧な関わり、観察が大事になる部分ですね。
一方speechは神経や筋肉の動きの影響が大きいです。幼いうちは未熟で当然です。
2.3語文が出てきたばかりの子にspeechの訓練をするのは、1歳児に自転車練習をさせるようなものです…。
発音が未熟でも、喋ること、コミュニケーションをとることを楽しめるような関わりが重要になります。
今日は、Speech「音声」Language「言語」について書いていきました。
カメの歩みで勉強しているベトナム語ですが、Speechの部分の習得にはまだまだ時間がかかりそうです…😂
ことばについての記事はこちらもご覧ください💁♀️