見出し画像

Episode#4 シドニー・べシェの根底にはロマン派音楽があったのだ。

私の敬愛するサックスプレイヤーであるボブウィルバー氏(1928-2019)の自伝"MUSIC WAS NOT ENOUGH " by Bob wilber を読んで、印象に残ったエピソードを紹介します。

今回も師であるシドニー・べシェのお話。べシェの根底には、ロマン派音楽があったのだ。

*************

シドニー・べシェは作曲も好きで、いつも新しいメロディーを思いついてはピアノで弾いていた。それをいつでもプレイバックできるように、彼のテープレコーダーは四六時中周りっぱなしであった。

べシェは、1919年に作詞・作曲家のWill Marion CookのSouthern Syncopated Orchestraの公演にクラリネットのソロイストとして呼ばれたことがある。

そこでの演奏がべシェのブレイクのきっかけにもなったのだが、それと同時にべシェはロマン派音楽に興味を持ち、クラシック音楽を作曲したい、という思いを持つようになっていた。

ボブ・ウィルバーとの毎日のレッスン後には、二人でピアノを前に並んで座り、べシェは自分が為そうとしている”Big Work"についてボブに語ったものだった。

時に、オーケストラの全てのパートをピアノで再現するために、2人で4本の手でパートを分担してピアノを弾くこともあった。

その時録音したテープを聴くと、師であるべシェとの素晴らしい時間がもっとも鮮やかにボブの脳裏に蘇ってくるのである。

べシェは自分の理想とする音楽を創るために、音楽理論にも長けており、ガーシュウィンやジェローム・カーン、コール・ポーター、デューク・エリントンらの洗練されたハーモニーも難なく理解していたそうである。

同期に活躍したJohnny DoddsやJimmie Nooneが決してドミナント7thコード以上は使わなかったのに対し、べシェはオーギュメント、ディミニッシュ、9thコードなどを完璧に理解していたのだとか。

***

Will Marion Cook で見つけた素敵な演奏がこちら。(べシェとの共演のものは流石に音源なさそう。)

いかにもクラシックといった感じの緊迫感のある演奏で始まるのに、気持ちよくラグタイムの軽快な心地よい感じに移り変わって、おお、、と思った。こんなの生で聴きたい!


いいなと思ったら応援しよう!