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ゴーヤちゃんぷるをリクエストした話

昨日の話の続き。

我が家は夫が専業主夫なので、夕飯でたべたいものをわたしがリクエストして、夫に作ってもらう。
夫は料理が上手だ。と言ってもプロのシェフでも厨房バイトでもない。料理が好きなのだ。

夫は、安くて良い食材を頑張って探してきて、わたしの仕事終わりに出来立てのごはんを作ってくれる。それに主夫業の8割を費やしている。
夫がわたしにごはんを作るのは、わたしの体調を整えるためであり、いつか生まれてくる(きてほしいと思っている)我が子へわたしを通じて栄養を届けるためでもある。
生まれてきた子にも美味しいものを食べさせたいっていうのは、前からよく言っている。

夫が気持ちよく料理できるように、ちゃんと食費を稼ぐこと、鉄のフライパンや料理が美味しく見える皿を買えるように、生活を豊かにするのがわたしの役目。



前置きが長くなったが、我が家の食事は夫に委ねられているので、わたしは何か食べたい物や、気になる食材があったときは、まず夫に連絡をする。

八百屋でゴーヤを見たとき、
「あぁ食べたいな」
と思った。
実はわたしは、ゴーヤが苦手だ。苦いから。食べたいなんて思ったことない。だから、今までの人生で数えるほどしか食べたことがなかった。
結婚してから夫がたまにゴーヤちゃんぷるを作ってくれたのを食べたことはあるけど、好きとか嫌いとかはなく特に印象にも残っていなかった。


八百屋で見つけたゴーヤは、素人のわたしが見ても大きくて緑が濃くて立派だった。夫に了承を得て、ゴーヤを買ったあと、別のスーパーで1/3くらいの大きさで198円で売っているのを見て、
「いい買い物したな」
なんてちょっと良い気分になった。
普段買い出しなんてしないのに。

帰って、夫にゴーヤちゃんぷるをつくってもらった。
つわりがきつかった妊娠中は、油や調理のにおい、出汁のにおいもすべてダメになったから、夫が家で料理するのは1ヶ月ぶりくらいだった。
何なら食べられそうか、何が食べたいか、毎日コロコロ変わるなか、流産手術をしてつわりが終わって、わたしからの最初のリクエストがゴーヤちゃんぷるだった。

久しぶりのゴーヤちゃんぷるは、出来はそうでもなかった。夫自身もダメ出ししていた。
ただ、料理に思い出補正があるとしたら、今日のゴーヤちゃんぷるは今まででいちばんおいしかったと言いたい。

流産から一歩立ち直って八百屋に行って、自分で選んだゴーヤ。遅れてやってきた夏を感じさせる独特の苦み。
夫が手術後に最初に作ってくれたやさしい味の炒め物。
久しぶりにダシや鰹節の香り、豚やたまごの栄養を全身で受け止めた。
食べるってこうゆうことだなーと感じていた。

まちがいなく今日のゴーヤちゃんぷるがいちばんおいしかった。夫は上手く出来なかったと思っているから、夫には言わないけど。


1ヶ月ぶりに、ごちそうさまって言った。それを聞いた愛犬が顔をあげてこちらを見ていた。

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