静岡で考えた、防衛・原子力・環境問題
静岡と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。雄大な駿河湾、緑あふれるお茶畑、そしてもちろん富士山。他にも、桜エビ・生シラスといった海産物に自然環境豊かな当地は、国内有数の観光地。
筆者は、学生時代&20代を静岡で過ごしたが、改めて様々な問題に取り組む中で、今回思い立って幾つか尋ねてみた。
航空自衛隊浜松広報館で、防衛・外交を考えた
筆者にとって、静岡は18年ほど暮らした第二の故郷である。今回の旅は、「航空自衛隊浜松基地」に隣接する「同広報館エアパーク」からスタート。
浜松というと、浜名湖や鰻が有名。新幹線が踏切を走るところを見られる、「東海旅客鉄道浜松工場」も。さらには、浜松餃子などなど観光スポットがたくさん。
そんなエリアにある「航空自衛隊浜松基地」、4月〜6月頃には、周辺河川・水路で、PFAS(有機フッ素化合物)の高濃度検出が明らかになり、その対策も待たれるところである。
今回はその取材が目的では無いので割愛するが、そもそも同基地の概要はどのようなものか。HPによれば、下記の通り。
筆者は、大学院生以来、2度目の訪問。
今回は偶然にも現役自衛官の方による説明ガイド付きということで、基地の歴史はもちろん(少し踏み込んで、防大生の任官拒否や弾道ミサイルへの対策等々…)諸々マスコミ報道についてもお聞きすることができた。(あくまでも雑談)
以下、写真多めなのでキャプチャと共にご覧いただきたい。
他にもブルーインパルスの歴代機体の展示や飛行VR体験、制服を着て写真撮影ができるコーナーもあり、家族連れで賑わっていた。
ご案内いただいた際に、今の防衛・外交政策などについてもお話(雑談)することができたが、今、〝防衛増税〟や〝台湾有事〟に備えてなど、私たちの生活につながりかねない事象が多く報道されている。その最前線にいるのは、現役自衛官の方だ。
ハラスメント問題、労働環境等々、組織内で解決すべき課題があるのは事実だが、まずは知ること・考えることから、我が国の防衛(政策)を考える契機となるのではないか。その点で広報館の役割は大きい。
いずれにしても、政府が何のための予算か、何のための防衛かを国民への丁寧な説明は必須だ。
☆丁寧に説明をしてくださった現役自衛官の方に感謝
余談だが、筆者は半田滋さん(防衛ジャーナリスト)のお話をよく拝聴している。いわゆる“爆買い”する武器は、果たしてどういった意味を持つのか?これはまた別に考えていきたいと思う。
おまけ;お昼はこちらで…
浜岡原発で考える我が国の原子力政策の行方
続いては、中部電力浜岡原子力発電所(以後、浜岡原発)。
立地するのは、静岡県御前崎市。灯台や、御前崎ロングビーチが有名だが、ここは、1F事故時、1、2号機は運転を終え、廃炉に向けた作業に入っていた。3号機は定期検査中で、4、5号機は稼働中であった。そして、2011年5月から政府要請により全炉が停止、現在に至っている。
中部電力は、「福島第一のような事故を起こさない」とし、新規制基準を踏まえた対策(例えば、津波対策として防潮堤を22mにかさ上げするなど安全対策を強化)をこの間、講じてきてはいるが、川勝静岡県知事は、使用済み核燃料の処理方法が確立されていないことなどを挙げて「再稼働できる状況にない」との認識を示している。
その他にも、「使用済み燃料プールの空き容量は1008本分しかなく、仮に再稼働すれば、わずか1、2年で埋まることや、津波対策工事が完了していない」旨、言及されており、政府のGX〝原発再稼働〟政策とは逆行している状況だ。
とはいえ、「早く再稼働を」という声もあり。声は様々…
【ご参考;浜岡原発の再稼働をどう考える 静岡県内 全自治体トップ NHKアンケート】
今回訪れたのは、隣接する「浜岡原子力館」。
最大の目的は、実物大原子炉模型や実物大防波壁模型、中央制御盤、燃料模型を見るため。筆者はバリバリの文系、ここ1~2年で初めて原発(原子力)政策に関わることとなり、恥ずかしながら、机上と頭の中で〝原発のイメージ〟を考えていた程度…。
実物大を見れたことで、改めて原発という巨大機械(システム)・1000万点にのぼる部品の数、それを点検するにも膨大な労力と時間が割かれることを再考させられた。こちらも写真&キャプチャをご覧いただきたい。
写真(展示)を見て、どのような印象を抱かれるだろうか。
原発というシステムを初めてみると、圧巻だという方も多いのではないだろうか。
とはいえ、1F事故後の今、どう考えるかが重要だ。
原発について、賛成・反対、さまざまな意見があるのは事実。国は、“国民の理解”を得ない限り政策を進めてはならないことに変わりはない。
最後に、近隣地域にお住まいの方の“声”をお届けする。
(ご参考)
・NHK「政府の停止要請から10年 浜岡原発をどう考える」
・朝日新聞「動かない浜岡原発 東日本大震災から10年の道のりは」2021年3月9日
・東京新聞「運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発」、2022年12月9日
リニアのこと、桜エビのこと
2027年を開業目標にしている、リニア中央新幹線。
品川から名古屋間の286キロをおよそ40分で結ぶ巨大プロジェクト。JR静岡駅構内には、〝社運〟をかけてでも進めようとしている広報物が散見。
計画は、1973年から現在に至るが、静岡工区のトンネル工事で出る地下水が、山梨県と長野県に流れ、大井川の流量が減少する可能性やトンネル掘削で生じる残土(発生土)の置き場についてなど、多岐に亘る課題が生じている。
主には、知事の発言等が報道されることは多いが、実際にその開通予定地に住んでいる方が、工事が進むにつれどのような想いを抱かれていたか。また違う事象が出てくる。(ダンプカー往来による騒音問題、賛成・反対派の分断etc…)
私たち(ほとんどの国民)は、リニアができたら便利だ!という想いがあるかもしれないが、ぜひ、下記の本を手に取っていただき、その背景を考えていただきたい。
参考)信濃毎日新聞社編集局『土の声を「国策民営」リニアの現場から』(2023)
他にも、サクラエビの水揚げ量が減少し、生態系への懸念が指摘されてきた。
富士川水系の濁りがその一つに挙げられるが、環境・生態系への影響も鑑みられてるのか…!?これはまた後日。
(ご参考)
・NHK「【まとめ】静岡県リニア中央新幹線 なぜ工事は進まない?リニア・南アルプスのトンネル工事を巡る静岡県とJR東海の争点 川勝知事の対応は」(2023年6月8日)
最後に
(これでも)社会科教員であった筆者。お茶からみる産業や地域経済について考えることはした。大学院でもそんなことを研究したが、今改めて思うことは、(当然だが)国の政策により、便利になる反面、環境への打撃等も大いに孕んでいる問題があるということ。そのために、まずは見る・知ることは本当に大切。
今回のnoteは記事というより、コラムだがお読みいただいている皆さんもぜひご自身の縁の地で社会・環境問題を考えていただければと思う。
記事執筆にあたりご縁をいただいた皆様に御礼申し上げる。