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【京都大学2021年度前期入試数学(理系)第3問】無限級数の和を求める問題

京都大学(理系)の第3回です。タイトルの通り、無限級数の和を求める問題ですが、計算が面倒なだけで難しくはないです。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

問題

無限級数 Σ_{n=0}^{∞} (1/2)^{n} cos (nπ/6) の和を求めよ.

解答解説

cos (nπ/6) の値は次のようになります。ただし、k は任意の整数です。

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ここで、自然数 N に対して

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とおき、N を 12 で割った商を q と、余りを r とおくと、

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と表すことができます。ここで、q は非負整数、r は 0 以上 11 以下の整数です。

ここで、各Σを評価すると

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となるので、次の不等式が言えます。

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N → ∞ のとき q → ∞であり、このとき、

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となるので、はさみうちの定理より

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すなわち、与式 = (14+3√3)/13 となります。

感想

今回はかなりベタな解き方を取っていますが、もし複素関数の知識を使えるのであれば、(1/2)^{n} cos(nπ/6)の代わりに (1/2)^{n} {cos(nπ/6) + i sin(nπ/6)} = {(√3 + i)/4}^{n} の和を取って、実数部分を抜き出せば簡単に解けます。

実際、等比数列の和は公比が複素数であっても変わらないことに注意すると、

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となるわけですが、

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であるため(この部分は許されるのでしょうか?)、

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となります。与式はこの実数部分であるため、

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となります。

これを知っているならばかなり簡単で、10分もあれば解けるでしょう。

知らなくても、解答解説のように解けば時間内で終わると思います。計算に自信がない人は時間がかかるかもしれませんが、そのくらいの難しさの問題です。

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