【ラ・サール中学校2021年度入試算数第1, 2問】計算問題と基礎的な文章題
このところ大学入試ばかりを取り上げていたので、久々に中学入試を取り上げていきたいと思います。
どこにしようかと思いましたが、まだ九州を取り上げていないこともあり、一度取り上げようと思っていたので、今回から5回にわたりラ・サールを取り上げたいと思います。
ラ・サール中学校・高等学校
2010年7月22日、 Sakoppi撮影、Wikipediaより
問題1
次の( )にあてはまる数をそれぞれ求めなさい。(12点)
(1) 82 × 17 - 111 × 9 + 76 × 11 - 43 × 27 + 82 × 5 = ( )
(2) 3.5 ÷ 1(1/5) - { 12 × ( (1/3) - 0.3 ) - 0.15 } = ( )
(3) { 14 + ( 3 × ( ) - 1(1/4) ) ÷ (3/7) } × 0.8 = 21
(注) 問題文中の ( ) は、原文では四角□ です。また、分数は分かりやすさのためにカッコ書きにしています。
問題2
次の各問に答えなさい。(28点)
(1) 下図(原文は右図)において、AD と BC は平行で、AE = BE、BC = BD です。角(あ)、角(い) はそれぞれ何度ですか。
(注) 原文では (あ) と (い) は○で囲まれた「あ」と「い」です。
(2) 下の表は 10点満点のテスト 40人分の結果をまとめたものです。平均が 7.3 点のとき表のア、イにあたはまる数を求めなさい。
(3) 3(4/7) 倍しても (1/5) をたしても 整数となる数で 最小のものを答えなさい。
(4) A 中学、B 中学の部活動への加入者数は等しく、加入率はそれぞれ (2/3)、(3/5) です。A 中学、B 中学を合わせた全体での加入率を分数で表しなさい。
解答解説
小問と言えど、計7問はやりすぎかと思いましたが、計算問題だけを1回とするのには無理があるため、第1問と第2問をまとめました。
しかし、計算問題と言えども工夫のいる問題のオンパレードです。
1 (1) は、何をまとめるかを意識して解くのがいいでしょう。ざっと目につくのは 82 × 17 + 82 × 5 です。ここは分配則で 82 × (17 + 5) = 82 × 22 とします。ですが、まだここでは掛け算を行わないでください。
すると次に目に入るのは + 76 × 11 です。ここは 82 × 22 + 76 × 11 = (82 + 38) × 22 = 120 × 22 = 2640 とします。
残りは (2640) - 111 × 9 - 43 × 27 です。111 が 3 の倍数ということはすぐに分かるので、2640 - 111 × 9 - 43 × 27 = 2640 - (37 + 43) × 27 = 2640 - 80 × 27 = 2640 - 2160 = 480 で、答えは 480 となります。
1 (2) は { } の中の処理が肝です。私の好みは 12 × ((1/3) - 0.3)を分配則でばらして、小数で計算することです。すると、{ } の中は 4 - 3.6 - 0.15 = 0.25 となります。このタイミングで 1/4 と分数にします。
残りは普通に分数で 3.5 ÷ 1(1/5) = (7/2) × (5/6) = 35/12 から (35/12) - (1/4) = (35 - 3)/12 = 32/12 = 8/3 = 2(2/3) で、答えは 2(2/3) となります。
1 (3) は 0.8 以外は分数になっているので、0.8 も分数 4/5 で処理することにします。
まず、{ } × 0.8 = 21 ですので、{ } = 21 ÷ (4/5) = 21 × (5/4) = 105/4 となります。
{ } の中は 14 + ( ) ÷ (3/7) ですので、( ) ÷ (3/7) = (105/4) - 14 = 49/4 から ( ) = (49/4) × (3/7) = 21/4 となります。
( ) の中は 3 × ( ) - 1(1/4) なので、3 × ( ) = (21/4) + 1(1/4) = 26/4 = 13/2 で、( ) = 13/2 ÷ 3 = 13/6 = 2(1/6) となり、答えは 2(1/6) となります。
2 (1) は平行と二等辺三角形を使うだけです。
AD // BC から 錯覚で 角DAE = 角AEB = 28° となり、三角形 EAB は AE = BE の二等辺三角形であるので、角EBA = (180° - 28°) ÷ 2 = 76° となります。よって、角(あ) = 76° - 40° = 36° となります。
また、三角形BCD は BC = BD の二等辺三角形であるので、角BCD = (180° - 40°) ÷ 2 = 70° となります。AE と CD の交点を F と呼ぶと、三角形 CEF において 角CEF + 角CFE = 角BCD = 70° であるので、角 CFE = 70° - 28° = 42° となります。よって、対頂角より 角(い) = 角 CFE = 42° となります。
2 (2) はつるかめ算です。最初に 40人で平均 7.3 点なので、40人の点数の合計は 7.3 × 40 = 292 となります。
次に人数が分かっている部分の人数と点数をそれぞれ合計すると、人数は 1 + 4 + 10 + 8 + 2 = 25人、点数は 4 × 1 + 5 × 4 + 7 × 10 + 9 × 8 + 10 × 2 = 4 + 20 + 70 + 72 + 20 = 186点 となります。
したがって、6点 と 8点を取った人の合計は、人数 = 40 - 25 = 15人、点数 = 292 - 186 = 106点となります。
15人全員が 6点だった場合の合計は 6 × 15 = 90 で 106 - 90 = 16点不足、1人が 6点から 8点に変わったときの合計点数の増え分は 2 ですので、16 ÷ 2 = 8 で、8点を取った人が8人、6点を取った人が 15 - 8 = 7人となります。
よって、答えは ア = 7、イ = 8 です。
2 (3) ですが、(1/5) をたして整数になるので、帯分数で書くと○(4/5) という数になります。これを小さい方から仮分数で書くと 4/5, 9/5, 14/5, 19/5, ... となります。この中で 3(4/7) = 25/7 倍して整数になる数ということは、分子が 7 の倍数である最小の数を選べばいいので、答えは 14/5 = 2(4/5) になります。
2 (4) はよくある比の問題です。大人は変数を用いたいところです。笑
A 中学、B 中学のそれぞれの部活動への加入者数を ⑥ とおくと、それぞれの加入率が 2/3 と 3/5 なので、それぞれの生徒数は ⑥ ÷ (2/3) = ⑨、⑥ ÷ (3/5) = ⑩ となります。
したがって、A 中学、B 中学を合わせた全体での加入率は、(⑥ + ⑥)/(⑨ + ⑩) = 12/19 で、答えは 12/19 となります。
感想
まだ小問のたぐいですので、それほど難しい問題はないですが、短時間で解答する必要があるため、効率の良さを求められそうです。想定としては10分強で終わらせたいところです。
その意味で、1 は単純な計算問題ですが、どう解くかで解答時間が変わってきそうです。計算でも常に工夫する姿勢が問われそうです。
むしろ、2 の方が工夫の余地がなく、見てすぐに解けるかどうかが問われたと思います。
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