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【京都大学2021年度入試(前期)数学総評】

最後に全体の評をしたいと思います。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

今年の京大理系の数学は超が付くほど簡単だったと思います。数学に差がつくのかが心配になるレベル。基本問題のオンパレードで、もし差がつくのだとしたら随分とレベルが落ちたものだなと言わざるを得ません。

[追記] 新型コロナの影響で各大学は例年とは出題を変えているようです。実際、数3からの出題を控えた大学も多い。しかし、それにしても限度というものがあるかなと思います。これはあまりに簡単すぎました。
少なくとも地方の進学校から京大を受けようと思ったら、おそらく学校の授業なんて無視するので、影響は殆どないと言っていいでしょう。

各問の難易度について触れておきます。

京大の数学(理系)の解答時間は2時間半=150分、大問は6問なので1問平均25分となります。

この解答時間(小問の場合は25分を均等配分)を基準として
A = 20分以内で完答可能(時間内に余裕で解ける)
B = 25分前後で完答可能(ちょうどくらいの時間で解ける)
C = 30~40分で完答可能(時間が少しかかるけど解ける)
D = 完答可能だが手を出すのは得策ではない(大幅に時間をオーバー)
E = そもそも完答するのが難しい
という形で難易度を表現すると、私の主観では以下の通りです。

第1問. 全体 A, (1) A, (2) A
第2問. 全体 A
第3問. 全体 B (ただし、複素関数を用いれば A)
第4問. 全体 A~B
第5問. 全体 A~B
第6問. 全体 B~D, (1) A, (2) B~D

今年の問題セットは簡単です。第6問 (2) 以外は完答できなきゃいけません。これを難しいと感じているならば数学の能力が乏しいと思って下さい。基本問題です。

記述の不備による減点を考慮に入れても8割は取りたいところです。それでも心もとないと私には感じます。

第6問 (2) も私には難しく感じませんでした。普通に状況を整理すれば必然的に証明ができるからです。しかし、状況整理ができない方もいらっしゃるので、難しく感じるかもしれません。

この問題セットで6割を狙うのは間違いなので、6割を取る戦略は書きません。そのくらい易しい問題セットです。

文系についても各問の難易度を評価したいと思います。1問当たりの解答時間は24分(120分で5問)ですが、1分しか差がないので理系と同じ基準で評価してみました。

第1問. 全体 A, (1) A, (2) A
第2問. 全体 A
第3問. 全体 A~C
第4問. 全体 A~C
第5問. 全体 A~C

理系である私の見立てよりは難易度を上げて評価しました。私であれば、第3問と第4問はともに A~B、第5問は A だろうと思います。

この問題セットは文系の受験生でも完答が可能だろうと思います。解答時間が足りなくなるような計算量を課す問題ではないので、方針さえ立てば時間を余すと思います。

カギを握るのは第3~5問。どれも理系の受験生なら解いて欲しい問題ですが、文系の受験生ならば数学の能力の差が出そうで面白いです。

もし6割を取ろうと思ったら、第1, 2問は完答、第3~5問のどれかを完答、ということになると思います。後半の3問は小問がないこともあり、部分点が狙いにくいです。部分点を取れたとしてもおまけ程度だと思います。

問題の配置も、最初の2問が易しく、後半の3問がタフという、素直な並びになっているので、変に時間を取られたという事態にはならないと思います。

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