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【京都大学2020年度前期入試数学(理系)第6問】回転して回転する回転体の問題

実は京都大学の第6問をアップするのを忘れておりました。3週間も放置したままという。苦笑

最後は回転体の問題ですが、平面上の曲線を2つの軸で回転させているところが新鮮でしょうか。とは言え、図形を頭に描けるようでしたら難しくはないと思います。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

[問題] x, y, z を座標とする空間において,xz 平面内の曲線
       z = √(log (1 + x))   (0 ≦ x ≦ 1)
を z 軸のまわりに1回転させるとき,この曲線が通過した部分よりなる図形を S とする.この S をさらに x 軸のまわりに1回転させるとき,S が通過した部分よりなる立体を V とする.このとき,V の体積を求めよ.

最後の問題は一見グロそうに見えて実は思ったほど複雑ではありません。この問題単独ならば解けないことはないでしょう。

ただし問題は解答時間です。6問あるので、全部を解く前提だと時間との勝負になると思います。

まずは S の形を見てみましょう。

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共振回路の周波数特性を上下さかさまにしたようなグラフですが、こんな形になります。

ちなみに、回転させているということで、z = √log(1 + x) ではなく z = √log(1 + |x|) としています。x = 0 のときに z = 0 になりきれていないのが気に入らないですが。苦笑

まず、S の方程式を出すために z = √log(1 + x) を x について解きます。これは難しくないと思いますが、z^2 = log(1 + x) なので、x = e^{z^2} - 1 となります。z を固定としたときの xy 平面上では原点を中心とする半径 e^{z^2} - 1 の円が描かれます。

したがって、S の方程式は x^2 + y^2 = (e^{z^2} - 1)^2 となります。

次に、0 ≦ t ≦ 1 である定数 t に対して、点 (t, 0, 0) から S の点 (t, y, z) までの距離の2乗の最大値 g(t) と最小値 h(t) を求めます。

V は x 軸の回転体となりますが、x 軸に垂直に切るとドーナツ形になります。その半径の2乗を求めようということです。

S の方程式に x = t を代入して y を z と t で表すと、y^2 = (e^{z^2} - 1)^2 - t^2 となります。ここで、y が実数値を取るためには (e^{z^2} - 1)^2 ≧ t^2 すなわち z ≧ √log(1 + t) である必要があります。

(t, 0, 0) から (t, y, z) までの距離の2乗は f(z) = y^2 + z^2 = (e^{z^2} -1)^2 - t^2 + z^2 となります。

ここで、z = √log(1 + x) は x に関して単調増加(微分でもして確かめてください)で、S はこの図形の 0 ≦ x ≦ 1 の部分を z 軸に回転させているので、z の最大値は √log 2 となります。

したがって、g(t) と h(t) は √log(1 + t) ≦ z ≦ √log 2 における f(z) の 最大値と最小値になります。f は z の単調増加関数であるので、g(t) = f(√log 2), h(t) = f(√log(1 + t)) となります。

求めると
g(t) = (e^{log 2} -1)^2 - t^2 + log 2 = 1 + log 2 - t^2
h(t) = (e^{log(1 + t)} -1)^2 - t^2 + log(1 + t) = log(1 + t)
が得られます。

あとは、π{ g(t) - h(t) を 0 から 1 で積分して(x ≦ 0 の領域の体積のために)2倍するだけです。V の体積も V とおいてますが、計算すると

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となるので、Vの体積は 2(5 - 3log 2)π/3 となります。最後の式の形は好きにしたらいいと思います。

見ての通りひっかけの要素は皆無なので、素直な問題とは言えますが、S をイメージできるかと、計算を効率よく行えるかの2点が勝負だと思います。

できるかできないかの勝負というより、「時間内に」できるかできないかの勝負という感じの問題です。

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