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【京都大学2021年度前期入試数学(理系)第5問】解けない人がいるの?

今回で京都大学(理系)の数学は終わりです。結局、第5問までザコキャラで終わった感じです。第6問の問2が唯一面白く、入試問題らしい問題だったと思います。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

問題

xy 平面において,2点 B(-√3, -1), C(√3, -1) に対し,点 A は次の条件 (*) を満たすとする.

(*) ∠BAC = π/3 かつ点 A の y 座標は正.

次の各問に答えよ.

(1) △ABC の外心の座標を求めよ.

(2) 点 A が条件(*)を満たしながら動くとき,△ABC の垂心の軌跡を求めよ.

解答解説

(1) は問題を読んだ瞬間に△ABC の外心が原点で、A の範囲が原点を中心とする半径 2 の円周上の y 座標が正の部分だということを掴んで欲しい。

条件 (*) は何を言っているかというと、∠BAC = π/3 で一定ということは、点A は 2点 B, C を通るある円上の点で、その円の中心を O' とおくと、∠BO'C = 2∠BAC = 2π/3 だということ。

さらにいうと、O' は辺 BC の垂直二等分線上にあり、∠BAC < π/2 であることから、O' は y 軸上で y 座標が -1 よりも大きい(O' と A は直線 BC の同じ側にある)ことになります。

ここで、∠BOC の大きさを θ とおくと、余弦定理より 12 = 4 + 4 - 2 × 2 × 2 cos θ から cos θ = -1/2 となり、0 < θ < π であることから θ = 2π/3 となります。

三角形の外心は一意に定まることから、O = O' すなわち、三角形 ABC の外心の座標は (0, 0) となります。

(2) の前に点 A (a,b) とおくと、A は原点を中心として半径 OB = 2 の円周上の y 座標が正の領域にあるので、a^2 + b^2 = 4 (ただし、b>0) を満たすことになります。

さて、点 A を通り直線 BC に垂直な直線の方程式は x = a であるので、点 B を通り直線 AC の方程式は (a-√3) (x + √3) + (b+1) (y+1) = 0 であることから、2つの方程式を解くことで三角形 ABC の垂心は (x, y) = (a, -1 + (3 - a^2)/(b+1)) となります。 ここで、b > 0 より b + 1 ≠ 0 であることに注意してください。

ここで、a^2 + b^2 = 4 より 3 - a^2 = b^2 - 1 であることから、垂心の座標は (x, y) = (a, -1 + (b - 1)) = (a, b - 2) となります。したがって、(a, b) = (x, y + 2) を a^2 + b^2 = 4 に代入することによって、垂心の軌跡として x^2 + (y + 2)^2 = 4 が得られます。ただし、b = y + 2 > 0 より y > -2 である必要があります。

感想

(1) でどこまで書けば十分なのかが不明ですが、それほど難しい問題ではないように思います。

というか、今年の京大の問題はどれも易しい。冒頭に書いた通り、第6問の問2のみが入試になる問題で、それ以外は基本問題と呼んでいい。

これで入試になるのかが疑問になるくらいです。早稲田大学のときと同じような印象を抱いております。

要するに、それだけ全体のレベルが落ちているんだろうなと、理系の人間としては残念な気持ちです。

(注意して欲しいのは、この状況はゆとり教育の影響もあるのかもしれませんが、それ以上に少子化の影響の方が大きいということです。そのことは早稲田の入試のときにお話ししております。)

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