【灘中学校2021年度入試(1日目)算数第10,11問】思いのほか易しい?図形問題
さて、1日目の算数も最終盤ですが、ラスボス直前の問題としては易しいように思います。気のせいでしょうか?
灘中学校・高等学校
2011年8月28日、Saoyagi2撮影、Wikipediaより
第10問
直角三角形を図のように三角形 ABC と三角形 DEF に切り分けます。これらの 2つの三角形を図のように重ねたとき,斜線(しゃせん)部分の面積は( )cm2 です。
(D は C に重なっている)
第11問
右の図のように,三角すいの形をした容器があり,4つの面の面積は 16cm2,18cm2,20cm2,24cm2 です。この容器にはいくらかの水が入っています。この容器を,4つの面のいずれかが水平な地面につくように置きます。容器の内側の面のうち水にぬれる部分の面積が最も大きくなるように置いたとき,水にぬれる部分の面積は 60cm2 になります。水にぬれる部分の面積が最も小さくなるように置いたとき,水にぬれる部分の面積は( )cm2 になります。
(注) 図がなくても簡単に解けるので,省略します。
解答解説
第10問はちょっと補助線を入れてみます。
この図において、三角形CEF の面積から三角形 EGH の面積を引くことで斜線部分の面積を求めます。
三角形CEF の面積は簡単です。EF = 3cm、CF = 4cm なので、3 × 4 ÷ 2 = 6cm2 となります。
三角形 EGH の面積ですが、これは少しだけ面倒です。
まず、三角形 BFG と三角形 BF'A は相似で、BF = 1cm、BF' = 8cm なので、FG = F'A ÷ 8 = 4 ÷ 8 = 0.5cm となります。よって、EG = EF - FG = 3 - 0.5 = 2.5cm です。
次に、三角形 CEF と三角形 CIF' は相似で、CF = 4cm、CF' = 3cm、EF = 3cm なので、IF' = 3 × (3/4) = (9/4)cm となります。
さらに、三角形 EGH と三角形 IAH は相似で、EG : IA 2.5 : 4 + (9/4) = 10 : 25 = 2 : 5、高さの合計 = FF' = FC + CF' = 4 + 3 = 7cm なので、三角形 EGH の高さは 7 × (2/7) = 2cm となります。
よって、三角形 EGH の面積は 2.5 × 2 ÷ 2 = 2.5cm2 となります。
以上のことから、斜線部分の面積は 6 - 2.5 = 3.5cm2 となります。
第11問は、下にする面が違うと水面の高さは異なりますが、「どの面を下にしたとしても、三角すいの高さに対する水面の高さの比率は同じ」であることが分かるとしめたものです。
したがって、下にした面以外の 3つの三角形について、ぬれた面・ぬれない面の割合は一定であることから、最も水にぬれる面積が大きいのは最も面積の大きい面を下にした時となります。
最も大きな面の面積は 24cm2 なので、それ以外の、16cm2、18cm2、20cm2 の面積を持つ 3つの三角形で水にぬれた部分の面積は 60 - 24 = 36cm2 となります。これは 16 + 18 + 20 = 54cm2 のうちの 36/54 = 2/3 となります。
したがって、最も水にぬれる面積が小さくなるように置いたときの、水にぬれる部分の面積は、16 + (18 + 20 + 24) × (2/3) = 16 + 41(1/3) = 57(1/3)cm2 となります。
感想
今回の2問は灘のラスボス前の問題としては易しい部類に思えます。ただし、第11問は「 」の部分が気が付かないと難しいかもしれません。
第10問は、必要な部分の長さを出すのが難しくないので、多少時間はかかるかもしれませんが、解けない問題ではないと思っています。むしろ素直な問題です。
(AEに線を引いていますが、最初は違う方法で解いていました。)
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