見出し画像

【灘中学校2021年度入試(1日目)算数第8, 9問】

さて、問題も2枚目に突入です。図形問題です。

画像4

灘中学校・高等学校
2011年8月28日、Saoyagi2撮影、Wikipediaより

第8問

縦の長さが 1cm,横の長さが 3cm の長方形と,1辺の長さが 2cm の正三角形が,図のように置かれています。正三角形が,長方形の周に沿って,すべることなく図の矢印の向きに回転し,はじめて元の三角形の位置に戻(もど)るまで移動します。このとき頂点 A が動いてできる線の長さは(   )cm です。ただし,円周率は 3(1/7) とし,1辺の長さが 2cm の正三角形の面積は 1(3/4) cm2 とします。また,頂点 A は元の位置に戻るとは限りません。

画像1

第9問

下(原文は右)の図で,三角形 ABC の面積は 80cm2,三角形 ADF の面積は 10cm2,三角形 CFE の面積は 35cm2,FC の長さは AF の長さの 3倍です。BF と DE の交わる点を G とするとき,GF の長さは BG の長さの(   )倍です。

画像3

解答解説

第8問は実際に頂点 A がどのように移動するかを描けば終わりです。描くと下の図の太矢印のようになります。

画像2

描く要領(ようりょう)も何も、どの点を中心にして回転しているかを把握(はあく)していればいいだけだと思うのですが…

太矢印を順に説明していくと、
・半径 2cm で 120度のおうぎ形の弧
・半径 1cm で 90度のおうぎ形の弧
・半径 2cm で 120度のおうぎ形の弧
・半径?cm で 90度のおうぎ形の弧 (?は1辺 2cm の正三角形の高さ)
・半径 2cm で 21度のおうぎ形の弧
となります。ここで、1辺が 2cm の正三角形の高さですが、問題文にある正三角形の面積から 1(3/4) = (7/4)cm と分かります。

おうぎ形の弧の長さをすべて足せばいいので、4 × (22/7) × (5/4) + 2 × (22/7) × (1/4) + (7/2) × (22/7) × (1/4) = (11/14) × (20 + 2 + (7/2)) = (11/14) × (51/2) = 561/28 = 20(1/28)cm となります。

第9問は、三角形 BDE の面積と三角形 DEF の面積を求めればおしまいです。これらの面積の比は DE を共通の底辺と見なしたときの高さの比になるわけですが、この比は BG : GF 等しいので、答えが出るという訳です。

そして、三角形 BDE の面積が分かれば、三角形 DEF の面積も分かることに注意してください:三角形 ABC の面積から 3つの三角形の面積を引けば、三角形 DEF の面積も出ます。

ここまでが準備です。

AF : FC : AC = 1 : 3 : 4 であるので、これら3辺を底辺とした三角形ADF、三角形CFE、三角形 ABC の高さの比は (10/1) : (35/3) : (80/4) = 30 : 35 : 60 となります。このことから、AB : BD = 60 : 30 = 1 : 2、BE : BC = (60 - 35) : 60 = 5 : 12 となります。

したがって,三角形 BDE の面積は 80 × (1/2) × (5/12) = (50/3)cm2 となり、三角形 DEF の面積は 80 - 10 - 35 - (50/3) = (55/3)cm2 となります。

以上のことから,BG : GF = (50/3) : (55/3) = 10 : 11 となるので、GF の長さは BG の長さの 11/10 = 1.1 倍となります。

感想

第8問のような図形をすべることなく回転させる問題を苦手にしている受験生って多いみたいですがどうしてなのでしょう?

特に女子に多いみたいで、娘も大の苦手にしていました。(そして、本命校で出題されました。合格したからよかったものの。)

回転させるのが多角形なのか、円なのかで違いはありますが、どちらにしても馬鹿の一つ覚えみたいにやることは決まっているので、むしろ簡単だと思います。

ということで、少なくとも灘の受験生には手間取って欲しくない問題です。個人的にはむしろ前回の第6問や第7問の方が難しい、というか、めんどうです。

第9問も難しくはないでしょう。AB と BC に長さが与えられているのに実は使わないという点が少し気になるところでしょうか?

例年ですと、この先の3問(特に第12問)が難しいのは目に見えているので、この辺りまでは時間をかけずに解けるようにしたいところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?