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【桜陰中学校2021年度入試算数第1問】硬軟取り混ぜた小問集

さて、今回から4回に分けて桜陰入試の算数を取り上げたいと思います。

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桜蔭中学校・高等学校
2007年10月22日、杉山真大撮影、Wikipediaより

問題

次の(   )にあてはまる数を答えなさい。( イ )は色を答えなさい。

(1) (7(64/91) × ( ア ) - 0.7 - (5/13)) × 11 + 76(11/13) = 85(5/7)

(2) 2021年のカレンダーの日付を1月1日から順に,青,黄,黒,緑,赤,青,黄,黒…と5色の○で囲んでいきます。
10月1日を囲んだ○の色は( イ )色です。
4月の日付のうち黒色の○で囲まれた日付の数字を全部足すと( ウ )になります。

(3) 整数 X の約数のうち1以外の約数の個数を【X】,1以外の約数をすべて足したものを <X> と表すことにします。
<A> ÷ 【A】が整数にならない2桁の整数 A のうち,最大のものは( エ )です。
【B】=2,<B> = 1406 のとき,B = ( オ )です。
2 を 10回かけた数を C とするとき 【C】=( カ )です。
60以下の整数のうち【D】= 3 となる整数 D は全部で( キ )個あります。

解答解説

(1) はなかなか計算が面倒です。ここではあくまで私が行った計算を書いていきます。

まずは 85(5/7) - 76(11/13) を行う訳ですが、ここで分数の計算は後回しにします。整数部分だけ計算して、9(5/7) - (11/13) = (68/7) - (11/13) としておきます。というのは、このあと11で割るからです。

これを11で割ると、(68/77) - (1/13) となります。

さらに 0.7 と (5/13) を足すと、(7/10) + (68/77) + (4/13) となって、この辺りで通分と言いたいところですが、7(64/91) = 701/91 が出てくるので、この式に 91/701 をかけたいと思います。91 = 7 × 13 だからです。通分の前に分母を小さくするのは基本です。

で、91/701をかけると、(7×91)/(10×710) + (68×13)/(701×11) + (4×7)/701 となり、ここで通分を行います。

・7×91×11=7007
・68×13×10=8840
・4×7×11×10=3080

から、( ア )=(7007+8840+3080)/(701×11×10) = 18927/(701×11×10) = 27/110 が得られます。(最初から分母の計算を行わないのも基本。約分が先です。)

(2) はいわるゆ曜日問題の変形判です。まずは1~3月と 1~9月の日数を足しましょう。すると、1~3月は90日、1~9月は273日あります。

ということで、(273を5で割った余りが3なので)9月末日は3つ目の色である黒となりますので、10月1日は( イ ) = 緑色となります。

また、(90を5で割った余りが0なので)3月末日は5つ目の赤となり、4月の最初の黒色は3日となります。ここから 5日ごとに黒となるので、( ウ ) = 3 + 8 + 13 + 18 + 23 + 28 = (3 + 28) × 6 ÷ 2 = 93 になります。

(3) ①は、地道に99から確認していけばいいと思います。
・99 = 3×3×11より【99】= 3 × 2 - 1 = 5、<99> = 3 + 9 + 11 + 33 + 99 = 155 より <99>÷【99】= 31
・98 = 2×7×7より【98】= 2 × 3 - 1 = 5、<98> = 2 + 7 + 14 + 49 + 98 = 170 より <98>÷【98】 = 34
・97 は素数なので 【97】= 1、<97> = 97 より <97>÷【97】=97
・96 = 2×2×2×2×2×3より【96】=6 × 2 - 1 = 11、<96> = 2 + 3 + 4 + 6 + 8 + 12 + 16 + 24 + 32 + 48 + 96 = 251 より <96>÷【96】=22…余り9
であるので、( エ ) = 96 となります。

②【B】= 2 であることから、B = ○×○という数(素数○の平方数)になり、<B> = (○+1)×○となります。これが 1406 となるので、○の一の位は2か7になります。また、35×35 = 1225、45×45=2025なので、○=37とあたりをつけると、確かに 38 × 37 = 1406 となります。よって、B = ( オ ) = 37 × 37 = 1369 となります。

③ C = 2×2×2×2×2×2×2×2×2×2のとき、【C】= ( カ ) = 10 となります。(該当するのは 2, 2×2, 2×2×2, ..., 2×…×2 = C の10個)

④【D】= 3 となる60以下の整数 D の個数ですが、これには次の2つのタイプの整数が該当します。
・D = P × Q (ただし、PとQは異なる素数)
・D = P × P × P (ただし、Pは素数)

P, Q ≧ 2 なので、P, Q ≦ 30 であり、30以下の素数をすべてあげると、2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29 が該当します。

いま、P < Q としましょう。このとき、D = P × Q というタイプは
・P = 2 のとき、Q = 3 ~29の9通り
・P = 3 のとき、Q = 5~19の6通り
・P = 5 のとき、Q = 7, 11の2通り
・P ≧ 7 のときは不可
D = P × P × P というタイプは P = 2, 3 の2通り(5 × 5 × 5 = 125 > 60なので、P ≧ 5 のときは条件を満たさない)

ということで、あてはまる D の個数は( キ ) = 9 + 6 + 2 + 2 = 19個となります。

感想

小問集ではありますが、面倒な問題が多いです。特に、(3) は ③ を除いて手間取ると思います。

効率よく問題を解いていかないと、後半で時間がなくなるかもしれないので、(1) と (2) で無駄に時間を使わないようにしたいところです。

(1) は、後回しにしたい計算は後回しにする作戦で、分数の計算を最後の最後までがまんしています。また、分数の計算においても分母の掛け算を約分するまで待っています。

18927は、割れるとしても701だけなので、まずは割り算してみることです。

(割り切れなかった場合、701が素数であることを確認するか、ユークリッドの互除法を使って互いに素(最大公約数が1)であることを確認する必要があります。)

このような「先読みして楽をする」計算を身に着けないと、計算問題に時間がかかって、あとの問題に時間を残せなくなるので注意しましょう。

(2) が唯一の楽な問題で、ここで手間取りたくないところです。(小問にしては計算量が多い気がしますが。苦笑)

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