見出し画像

【動画の問題に挑戦】偏差値75?

さて、今回も Youtube で出された問題を考えてみました。こちらですが…

「偏差値75」ありますが、問題そのものは基本的です。ただし、解法を1つ出すだけなら基本的ですが、4種類と言われると厳しいかもしれません。

改めて問題を書きます。

[問題] a^2 = b^2 + c^2 であるとき,つねに b + c ≦ ka が成立するような実数 k の最小値を求めよ.ただし, a, b, c は正の実数とする.

まず最初に、現時点でこの動画を全く見ていません。笑

いきなりここに解答を書いていこうと考えています。すでに何通りかの解法を思い浮かべています。

[解答1] まず最初に思い浮かぶ、みなさんにも思い浮かべてほしい方法は a^2 = b^2 + c^2 から 

b = a cos θかつ c = a sin θ   ただし,0 < θ < π/2

とおくことです。要するに、点(b,c)はx,y平面上の半径aの円周上の第一象限の点ととらえるやり方です。

こうおくと、b + c = a(cos θ + sin θ) = √2 a cos(θ - (π/4))で、-π/4 < θ < π/4 であることから b + c ≦ √2 a が成立します。等号は θ = π/4 すなわち b = c =  √2 a/2 のときに成立します。したがって、k の最小値は √2 となります。

[解答2] 次に考える方法は

(b+c)^2 = b^2 + c^2 + 2bc = a^2 + 2bc

となるので、bc の上界を求めたい。そこで、相加平均・相乗平均の関係を使います。

bc = √(b^2 c^2) ≦ (b^2 + c^2)/2 = a^2/2

が得られます。等号は b = c (= √2 a/2) のときに成立します。したがって、

(b+c)^2 = a^2 + 2bc ≦ a^2 + a^2 = 2a^2 すなわち b + c ≦ √2 a

が得られて、k の最小値は √2 となります。(a, b, c > 0 であることに注意)

[解答3] 解答2とも似たような証明になりますが、コーシー = シュワルツの不等式を使います。

[コーシー = シュワルツの不等式(2次元版)]
(s^2 + t^2)(x^2 + y^2) ≧ (sx + ty)^2 等号は (s,t)と(x,y)が平行のとき

要するに、ベクトルの大きさと内積の関係で出てくる式です。これを使うと、

(b + c)^2 ≦ (1^2 + 1^2)(b^2 + c^2) = 2a^2

であるので、b + c ≦ √2 a が出てきて、k の最小値は √2 となります。ここで、a, b, c > 0 であること、等号成立条件は b = c = √2 a であることに注意してください。

[解答4] 最後はちょっと変わった方法から。まず最初に、b = c = √2 a/2 を代入すると b + c = √2 a であることから、k ≧ √2 が得られます。そこで、a, b, c > 0 であることより、

b + c ≦ ka と (b + c)^2 ≦ k^2 a^2 = k^2 (b^2 + c^2)

は同値となります。以下では、k ≧ √2 のときに、任意のb, c>0に対して

(b + c)^2 ≦ k^2 (b^2 + c^2)

が成立することを示します。このとき、k の最小値は√2 となります。ではまず式変形をすると、

(k^2 -1) b^2 - 2bc + (k^2 - 1) c^2 ≧ 0

が得られます。c を任意の正の定数と見なし、b を x 座標と見なして

f(x) = (k^2 - 1) x^2 - 2cx + (k^2 - 1) c^2

とおいてみます。f(x) は x の2次式です。放物線。軸は x = c/(k^2 -1) > 0 であるので、このときの f(x) の値が 0 以上であればよいことになります。

f(x) = 0 の判別式を D とすると、

D/4 = c^2 - (k^2 - 1)^2 c^2 = c^2 { 1 - (k^2 -1)^2 }
c > 0 より
D/(4c^2) = 1 - (k^2 - 1)^2 = k^2 (2 - k^2) = k^2 (√2 - k)(√2 + k) ≦ 0 

すなわち、k ≧ √2 であるとき D ≦ 0 が得られるので、任意の x に対して f(x) ≧ 0 となり、k の最小値は√2 となります。

感想

ということで、4種類の解答を作ってみました。これで偏差値75以上ということでよろしいでしょうか?

実際には、受験生当時の偏差値はもう少し高かったことは自慢です。笑

そんなことはさておき、一つの問題を複数の視点で考えるのは重要なことです。いろいろな引出しを用意することで難局を乗り越えることが可能となります。

受験勉強の際には、問題が解けることはもちろん素晴らしいことですが、他にいい解法がないかを考えることは視野を広げます。入試本番の問題に対して正解にたどり着く可能性を高めます。

その意味でこの問題は難しい問題ではないですが、面白い問題だと思います。

さて、今から動画を見たいと思います。

おそらく、sin, cos でおく方法とコーシー = シュワルツの不等式は出てくると思います。予想です。

[追記] 動画のパターン4は面白いですね。数理計画を使うのか。確かにあり得る視点ですね。

b^2 + c^2 = a^2 を (b/a)^2 + (c/a)^2 = 1 と変形し、b + c ≦ ka を (b/a) + (c/a) ≦ k と変形し、x = b/a かつ y = c/a とおくと、x^2 + y^2 = 1 を満たす 全ての (x,y) > (0,0) で、x + y ≦ k を満たす k の最小値を求めよ、と記述されます。

要するに、x + y ≦ k の領域に (1/4)円がすっぽり含まれる k の最小値をと止めることになるので、直線 x + y = k が原点から距離1以上となればよいことから、k/√2 ≧ 1 より k ≧ √2 すなわち k の最小値は √2 となります。

しかし、私の解答はぶっつけで書いたために汚いですね。その辺はご了承ください。笑

本質的に動画のパターン1~3と解答2, 4, 1 は同じです。コーシー = シュワルツ以外は出てきた格好です。コーシー = シュワルツは使わないんだ。それは意外。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?