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【開成中学校2021年度入試算数第1問】案外ヘビーな小問集

昨日は東京都&神奈川県の私立中学校の入試が始まる日でした。そこで、開成中学校の入試問題を取り上げたいと思います。今回は第1問、小問集です。

640px-開成中学校高等学校

開成中学校・高等学校
2006年9月25日、SANDO撮影、Wikipediaより

問題

(1) 2021年2月1日は月曜日です。現在の暦(こよみ)のルールが続いたとき,2121年2月1日は何曜日ですか。

ただし,現在の暦において,一年が366日となるうるう年は,
・4の倍数であるが100の倍数でない年は,うるう年である
・100の倍数であるが400の倍数でない年は,うるう年ではない
・400の倍数である年は,うるう年である
であり,うるう年でない年は一年を365日とする,というルールになっています。

(2) 三角形の頂点を通る何本かの直線によって,その三角形が何個の部分に分けられるかについて考えます。ただし,3本以上の直線が三角形の内部の1点で交わることはないものとします。

図のように,三角形の各頂点から向かい合う辺に,直線をそれぞれ2本,2本,3本引いたとき,元の三角形は24個の部分に分けられます。

では,三角形の各頂点から向かい合う辺に,直線をそれぞれ2本,3本,100本引いたとき,元の三角形は何個の部分に分けられますか。

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(3) 面積が 6cm2 の正六角形 ABCDEF があります。図のように,P, Q, R をそれぞれ 辺 AB, CD, EF の真ん中の点とします。三角形 PQR の面積を求めなさい。

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(4) 1/9998 を小数で表すとき,小数第48位の数,小数第56位の数,小数第96位の数をそれぞれ求めなさい。

解答解説

今回の問題は基本的に難しくはないですが、(4) だけは面倒かもしれません。手間取ります。

(1) は中学受験では恒例の曜日問題です。うるう年ではない年は曜日が1つ、うるう年は曜日が2つ動くことを知っていれば簡単です。

まず、100年の間にうるう年が何回あるかを求めますが、
・4の倍数である年が25回
・100の倍数である年が1回
・400の倍数である年が0回
あるので,うるう年は25 - 1 = 24回あります。したがって、曜日が100 + 24 = 124 個動きます。これを7で割ると、124 ÷ 7 = 17 … 余り5 で、5日後の曜日となります。したがって、土曜日になります。

(2) は、最初の2本の直線で図形は 3つに分かれます。その次の3本のそれぞれについて、直線を引くごとに3つの図形を通過します=図形の数が3つ増えます。

(最初の点と最初の2本の直線の1本目、1本目と2本目、2本目と向かいの辺の間のそれぞれについて図形が1つ増える。)

したがって、3本の直線を引くと 3 + 3 × 3 = 12個の部分に分かれます。

最後の100本ですが、直線を1本引くごとに 2 + 3 + 1 = 6個の図形を通過します=図形の数が6つ増えます。したがって、12 + 6 × 100 = 612個の図形に分かれます。

(一般に、最初の点からA本、次の点からB本引いた場合、最後の点から1本ずつ線を引くごとに A + B + 1個ずつ図形の数がふえる。)

(3) は、AB の長さの半分の長さの辺を一辺とする正三角形を基準にすると、正六角形 ABCDEF は正三角形24個分、三角形 PQR は9個分になります。したがって、三角形 PQR の面積は 6 × (9/24) = 9/4 = 2.25cm2 となります。

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(4) は、少し計算をしていくと、小数第1~4位には0001、第5~8位には0002、第9~12位には0004、第13~16位には0008、第17~20位には0016、…という風に 1, 2, 4, 8, 16, 32, ... と前の数の2倍が入ることになります。

したがって、小数第45~48位には、2が (48/4) - 1 = 11回かけた数である 2048 が入るため、小数第48位は8となります。

ここまではいいのですが、その後、数を2倍にしていくと、4096, 8192, 16384, ... と4桁を超えます。このときにどうなるか?

結果から言うと、204840968193…という風に、8192の一の位2と16384の万の位の1が足されます。要するに、さらに2倍足された数を右に4桁ずらして足されることになります。

ちなみに、今求めた3が小数第56位の数となります。

この要領で小数第96位の数を求めると、(96/4) - 1 = 23となるので、まずは 2 を 23回かけた数を求めます。

2を10回かけた数が1024なので、2を20回かけた数は 1024 × 1024 = 1048576 となり、2を23回かけた数はこの8倍なので 8388608 となります。

さて、問題はここから。

この次に 2を24回かけた数 16777216を4桁右にずらして足されるのですが、このさらに2倍である 33554432 を4桁右にずらして足されるので、小数第96位と97位のみを書くと、80 + 77 + 3 = (1)60 となるので、小数第96位は6となります。

感想

(1) と (3) は難しくないので、確実に取りたいです。

(2) は個人的になじみのある問題なので簡単でしたが、実際には難しかったかもしれません。どのように数えるかがカギを握ります。

(4) は、少し計算していくとだんだんと様子が分かってきますが、2を14回かけた数が出てきた辺りでどうなるのだろう、となってきます。

そのため、実際には 8192 ÷ 9998 を計算してみることになるのではないかと思います。そのための問題が小数第56位の数でした。

それで原理が分かれば小数第96位の数も求められると思いますが、盲点となるのは下位からの繰り上がりです。これを忘れて5と答えた受験生も多かったかもしれません。

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