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【九州大学2020年度前期入試数学(理系)第4問】地道な数え上げ問題

今回は九州大学から確率の問題を取り上げたいと思います。といっても、本質的には数え上げの問題です。

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九州大学伊都キャンパス センターゾーン・イーストゾーン
2018年12月24日、新幹線撮影、Wikipediaより

[問題] 4個のサイコロを同時に投げるとき,出る目すべての積を X とする.以下の問いに答えよ.
(1) X が 25 の倍数になる確率を求めよ.
(2) X が 4 の倍数になる確率を求めよ.
(3) X が 100 の倍数になる確率を求めよ.

解答

この手のサイコロ問題では,サイコロに区別がなかったとしても1, 2, 3, 4と番号をつけて区別するのが基本です。そうすると、サイコロの出目の場合の数は 6^4 = 1296通りとなります。そのうちの何通りが条件を満たすかを考えていくといいでしょう。

(1) は目が 5 であるサイコロが2個以上である場合を数えればいいので、
・目が5であるサイコロがちょうど2個: 4C2 × 5 × 5 = 6 × 25 = 150通り
・目が5であるサイコロがちょうど3個: 4C3 × 5 = 20通り
・目が5であるサイコロがちょうど4個: 1通り
をすべて足すと 150 + 20 + 1 = 171通りとなります。よって、答えは 171/1296 = 19/144 です。

(2) は目が4であるサイコロが存在せず、目が2もしくは6であるサイコロが1個以下である確率を求めて1から引く方が簡単かもしれませんが、(3) を考えやすくするために直接 X が 4 の倍数になる確率を求めたいと思います。

目が 4 であるサイコロが存在するか、目が 4 であるサイコロは存在しないが、目が 2 もしくは 6 であるサイコロが2個以上存在する場合を数えればいいので、
・目が4であるサイコロが存在: 1296 - 5^4 = 1296 - 625 = 671通り
・目が4であるサイコロが存在せず、2もしくは6がちょうど2個:
             4C2 × 2^2 × 3^2 = 6 × 4 × 9 = 216通り
・目が4であるサイコロが存在せず、2もしくは6がちょうど3個:
               4C3 × 2^3 × 3 = 4 × 8 × 3 = 96通り
・目が4であるサイコロが存在せず、2もしくは6がちょうど4個:
                         2^4 = 16通り
をすべて足すと 671 + 216 + 96 + 16 = 999通りとなります。よって、答えは 999/1296 = 37/48 となります。

(3) は (1) と (2) の同時確率ですが、実際のところ直接役には立たないと思います。ただし、場合分けの参考にはなります。

まず、X が 25 の倍数になるためにはサイコロが2個以上必要となります。X が 4 の倍数になるためにはサイコロが1個以上必要となります。したがって、次の4通りの場合に分けることができます。

・目が5であるサイコロが3個、4であるサイコロが1個:
                    4C3 × 1C1 = 4 × 1 = 4通り
・目が5であるサイコロが2個、4であるサイコロが1個:
                4C2 × 2C1 × 4 = 6 × 2 × 4 = 48通り
・目が5であるサイコロが2個、4であるサイコロが2個:
                        4C2 × 2C2 = 6通り
・目が5であるサイコロが2個、2もしくは6であるサイコロが2個:
               4C2 × 2C2 × 2^2 = 6 × 1 × 4 = 24通り

よって、これらを足すと 4 + 48 + 6 + 24 = 82通りとなるので、答えは 82/1296 = 41/648 です。

感想

この問題は易しいので、本番では下手に効率の良い解き方を考えるより、着実に解答にたどり着く方法を選ぶべきです。上記の方法も決して効率のいい解き方ではありません。初見で選択した方法をそのまま書いています。

どの方法で解くにしても、きちんと排反事象に分けて数え上げることが求められます。それだけです。

旧帝大としては驚くほど簡単な問題で、レベル的にはセンター試験(今年から共通テストですが)並みです。慎重に解いても 15分あれば十分でしょう。

九州大学は試験時間150分で5問(すべて50点)あるのですが、この問題は真っ先に解きたい問題で、時間的に貯金を作るべき問題と言っていいでしょう。

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