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【京都大学2021年度前期入試数学(理系)第1問】基本的な小問集

さて、今日から京都大学入試の数学(理系)を取り上げたいと思います。最後の問題はすでに取り上げているので、全5回となります。

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京都大学 百周年時計台記念館
2015年5月5日、Soraie8288撮影、Wikipediaより

問題

次の各問に答えよ.

問1 xyz 空間の 3点 A(1,0,0), B(0,-1,0), C(0,0,2) を通る平面 α に関して点 (1,1,1) と対称な点 Q の座標を求めよ.ただし,点 Q が平面 α に関して対称であるとは,線分 PQ の中点 M が平面 α 上にあり,直線 PM が P から平面 α に下ろした垂線となることである.

問2 赤玉,白玉,青玉,黄玉が 1個ずつ入った袋がある.よくかきまぜた後に袋から球を 1個取り出し,その玉の色を記録してから袋に戻す.この試行を繰り返すとき,n 回目の試行で初めて赤玉が取り出されて 4種類全ての色が記録済みとなる確率を求めよ.

(注) 当日訂正が入ったようで,問2は n ≧ 4 とします。

解答解説

どちらも難しくはありません。サクサクと解きましょう。

問1はまず 平面 α の方程式を求めると、3点 A, B, C は α の x切片, y切片, z切片なので、(x/1) + (y/(-1)) + (z/2) = 1 すなわち 2x - 2y + z = 2 となります。したがって、α の法線ベクトルは (2, -2, 1) となります。

直線 PQ は 平面 α に垂直であるので、点 Q の座標(a, b, c) は 実数 t を用いて (a,b,c) = (1,1,1) + 2t(2,-2,1) とおくことができ、点 M の座標は ((a+1)/2, (b+1)/2, (c+1)/2) = (1+2t, 1-2t, 1+t) と表されます。

点 M は平面 α 上の点であるので、2(1+2t) - 2(1-2t) + (1+t) = 2 すなわち 9t = 1 すなわち t = 1/9 となります。よって、点 Q の座標は (13/9, 5/9, 11/9) となります。

問2は、n-1回目までの試行で赤玉以外の3種類の玉が全て出ている確率を求めることとほぼ同値となります。(実際には n回目の試行で赤玉が出る確率をかける必要がありますが。)

・n-1回目まで白玉のみが出る場合の数は 1通り。青玉も黄玉も同様に1通り。
・n-1回目まで白玉と青玉のちょうど2種類がでる場合の数は 2^{n-1} - 2 通り。白玉と黄玉、青玉と黄玉の組合せでも 2^{n-1} - 2 通り。

ということで、n-1回目までの試行で赤玉以外の3種類の玉がすべて出る場合の数は 3^{n-1} - 3 × (2^{n-1} - 2) - 3 × 1 = 3^{n-1} - 3 × 2^{n-1} + 3となるので、求める確率は (3^{n-1} - 3 × 2^{n-1} + 3)/(4^n) となります。

感想

全く別分野の問題がごちゃ混ぜになっていますが、どちらも基本的な問題なので、他の問題を見ずに真っ先に解いていいですし、10~15分で完答したい問題です。

逆にそれくらいで解けないようでしたら京大を受ける資格はありません。

そのくらいガチの基本問題です。教科書レベルの演習問題と言ってもいいくらい。逆に何かあるのではと疑いたくなるくらいに易しいです。

ひとつだけ、Q の座標を (a,b,c) = (1,1,1) + 2t(2,-2,1) として、t ではなく 2t としているのは、そのあとで中点 M を求めるときにきれいになるからです。方向ベクトルを t 倍しようが 2t 倍しようが構わない話で、この辺りの細かいことを知っていると式がきれいになって計算がしやすくなります。

それ以外は工夫らしい工夫も必要ありませんでした。

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