不在型民泊運営における「本人確認」のルールと方法とは

不在型民泊における本人確認の重要性

そもそも民泊において何故本人確認が必要なのでしょうか?
答えは、本人以外が泊まった場合「犯罪の温床になる」リスクを防ぐためです。本人以外が宿泊するというなりすましが発生した場合、極端にいえばそこがテロ等の犯罪の拠点となる…といった可能性もあるということです。
そのような犯罪のリスクは稀なものと本人確認を軽視するホストもいるかもしませんが、民泊トラブルを防ぐという観点では本人確認は非常に重要です。

たとえば、このようなケースです。
当初はスムーズに予約のやり取りをしていましたが、実際民泊現地に来たのは予約者とは異なるゲスト。つまり代理予約が判明したのでした。(実際海外からの予約はこのようなケースが多いとの声もあり)
周辺住民からうるさいというクレームの連絡が来てしまったものの、Airbnbで知り得ている連絡先はあくまでも予約者であり宿泊当日の緊急連絡先がわかりません。結局緊急駆けつけを発動させて事なきを得ましたが、伝えたはずのハウスルールがしっかり伝わっておらず、部屋の利用方法も酷いものだったそうです。

代理予約そのものがダメというわけではありませんが、誰が泊まるのかという情報と緊急連絡先は事前に確保しておくのが良いでしょう。
宿泊者名簿は宿泊当日に記入と考えるホストもいるかもしれませんが、予約時にメールフォーム等で入力してもらった上で、当日パスポート・身分証明証で本人であることを照合するというプロセスがベストです。

不在型民泊における本人確認のルール

では、国土交通省が定める住宅宿泊事業法における本人確認ルールはどのようなものでしょうか?民泊制度ポータルサイトには次のように書かれています。

本人確認は、「宿泊行為の開始まで」に、「対面又は対面と同等」の手段として以下のいずれも満たすICT(情報通信技術)を活用した方法等により行われる必要があります。
本人確認が対面で行える場合は全く問題ないですが、ICTを使用するとなると条件は厳しいものになります。
A 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
B 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。
※ 当該方法の例としては、届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が考えられます。

民泊制度ポータルサイトより抜粋・一部編集の上掲載

ゲストが現地から自分のスマホで電話したり画像を送ればいいのでは?と思うかもしれませんが、ゲストのスマホだと「届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できる」が満たされませんし、静止画ではその場で撮影したものではなく「他人からもった画像を流用する」ということも可能となり、“なりすまし”が可能なためNGです(画像と撮影日時と位置情報などが証明できれば別かもしれませんが、なかなか厳しいのが現実でしょう)。
結論として、「現地に設置されたデバイス」で「動画」で「(ほぼ)リアルタイム※」で本人確認できることが原則求められるのです。性悪説で厳しいルールであることは事実ですが、これで初めて“対面と同等”と見做されるのです。
※宿泊行為がなされる前であればOK

不在型民泊運営における本人確認ICTおすすめ2つ

ゆめゆめトラベルが自らの民泊施設でも使用しているのは、現地のWi-Fiを通じてスマホに通知をしてくれて現地動画をリアルタイムに確認できるウェブカメラです。
これまではセイフィーを使用していましたが、googlecastcamに切り替えました。

セイフィー

https://safie.link/
カメラ本体が27,280円〜、7日間のクラウド録画で月額1,320円〜という初期ハード費用とサブスクの組み合わせになりますが、日中・夜間の画像の質の高さや、カメラを通じて直接会話ができる点などがメリットです。飲食店などの店内管理等に使われることが多いようですね。

googlecastcam

https://store.google.com/jp/category/connected_home?hl=ja
googleの技術から生まれたカメラです。カメラ本体12,300円〜、3時間までの録画保存なら月額無料(保存期間の長さで有料あり)というリーズナブルさがウリです。スマホへの通知や画質の高さなどはセイフィー同様。カメラを通じての会話は難しいようですが、同社のドアフォンであれば可能です。

ゆめゆめトラベルで管理しているホストの皆さんの中では屋内設置でのAmazon Echo Showを使用されている方も多くいらっしゃいますが(宿泊行為前までに本人確認はできますが)、入室前の屋外の時点で確認するのは難しいのではないでしょうか。

カメラを屋内に設置することでの大きな懸念はプライバシーです。宿泊者が「姿を見られているのでは?」「音を聞かれているのでは?」と不安に感じてしまうのは良くありませんし、Airbnbでもカメラの設置については事前に申告する必要があります。
必ず、プライバシーに配慮していることを伝えた上で、ゲストが必要な時にだけホストにアクセスできるというデバイス環境を作り出すとともに案内をしっかりすることが重要です。(そういう意味でも屋外でのカメラ本人確認が理想と思いますが)

最後に…

ゆめゆめトラベル代表も民泊を運営していますので、ルール上だけではなく本人確認の重要性をとても感じています。予約人数を大幅に超える入室が確認でき、禁止しているパーティ行為がなされました。証拠があったことでAirbnbにも通報でき、追加金額をもらうなどホストに対しての処分や損害の補償も可能となりました。
不在型民泊を運営されており、すぐに駆けつけや現地状況確認ができない方は、このようなデバイスに投資してみても良いのではないでしょうか?


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