教育費も医療費も無料。モーリシャスはえらく豊かだぞ
9月5日
子どもは苦手なんだが、しかし興味がある。昨日、モーリシャスで子どもたちと遊ぶツアーがあるというので、参加した。
首都ポートルイスの港からバスで30分ほど。着いたのは広ーい庭のある立派なお宅で、未就学児18人ほどがやって来るという。
実は彼ら彼女ら、いわゆる「恵まれない子どもたち」なのだ。貧困による売春、ドラッグ、アルコール依存などの問題を抱えた親を持つ。
ステレオタイプだなと我ながら呆れるのだが、アフリカの恵まれない子どもと聞くと、暗い目をしてガリガリに痩せた姿が浮かんじゃう。だけど、やってきた子たちはいかにも子どもらしくて、無邪気でシャイで可愛かった。
この訪問は「支援」ではなくて「交流」なんだよね。私は何人かと一緒に「幸せなら手をたたこう」を歌って遊びました。日本の歌だと思うんだけど、原曲はスペイン民謡なんだとか。子どもたちがこの歌を知っていて、お返しにフランス語で歌ってくれたのにはびっくりした。
「アフリカの恵まれない子ども」に対して、私は浅ましくも勝手に深い同情を感じていたのだ。だけど話を聞く限りでは、「日本の恵まれない子ども」の方が、よほどプアな環境に置かれているように思えるのだった。
貧しい家庭の子どもたちには、朝食と昼食が無料で提供される。
問題を抱える親と暮らす子どものための学校が20校あり、ソーシャルワーカーが子どもたちを送迎する。その際、家庭の様子をチェックして、親と暮らすのは子どもにとってよくないとソーシャルワーカーが判断すれば、強制的に親と引き離すという。そうした子どもたちのための施設が2つ。それぞれ40人ほどの子供が暮らしているそうな(施設の数がポートルイスのものなのかモーリシャス全体のものなのかは、うまく聞けずにわからなかった)。
大学までの教育費は、公立は全て無料だそうだ。成績は重視されるが、教育を受ける機会は貧富の差に関係なく均等に与えられている。
どんな施策も100%パーフェクトはあり得ないので、モーリシャスの子ども政策にも矛盾や不公平や不合理はたくさんあるのだろう。説明する人だって、なるべくいい面を強調したいだろうし。
ただ、国として子どもを大事にしようとしている雰囲気は、強く伝わってきた。
※子どもたち及び集合写真のSNSへの公開は、許可を得ています。
そもそもアフリカの国々に対して、一昔前の、貧しくて遅れた地域、みたいな感覚でいた自分は、とんでもないなと思いましたよ。
モーリシャスに関して言えば、医療費は基本的に無料。現役時代の仕事や納めた税金の多寡に関わらず、みな平等に年金をもらうという。持ち家率は75%だとか。
表面をサラッと触れただけでその国のことがわかるとは思えないけど、随所に豊かさを感じたのでした。ちなみに、モーリシャスの主要産業は、精糖業、繊維業、漁業、観光業などですって。
時々「日本すごい、日本すばらしい」という趣旨の日本のテレビ番組を見るけど、なんだかね、あんまりすごくもないんじゃないかなあと思う。自己陶酔でカッコ悪い。
先日は、シンガポールの方に「日本では若者がたくさん自殺すると聞きましたが本当ですか?」と聞かれたよ。シンガポールで若者が自殺すると、その珍しさからニュースになるんだって。そのことに私はびっくりだ。
豊かで平和な国なのに、なぜ多くの若者が自ら死を選ぶのですか?と、心底不思議そうに聞かれて、答えに窮する私でした。「生きる目的を見失ってるからですかねえ?」と苦し紛れにお返事したら、ますます訳わかんない顔されちゃった。
インド洋の貴婦人と呼ばれる美しい小国・モーリシャスで、うむむと社会問題を考えた一日なのだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?