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キリングフィールドinカンボジア

8月31日

ピースボートはもともと、若者の国際親善や、国際的な社会問題を考えることを目的に発足した事業だったように思う。

今やすっかりリタイアシニアメインの観光客船となっているけれど、ときどき初期の志を思わせる試みがある。
香港から出発した地雷問題研究ツアーもその一つだろう。

私が香港やシンガポールをせっせと歩き回っている間、地雷ツアーの参加者はカンボジアに向かい、ポルポト時代の凄惨なキリングフィールドの歴史にふれ、地雷除去作業の視察や、現地小学校との交流などをしてきたのだった。

本日はその報告会があるというので、会場に足を運んでみた。

うーん。
辛い。

昔、映画「キリングフィールド」を観て、ものすごく暗い気持ちになったのを思い出した。
カンボジアのポルポト政権時代、知識人や宗教者、教師、資本家などが、ひどい拷問の末に虐殺された。キリングフィールドはその処刑場のことで、カンボジア全土に点在する。虐殺された人は、実にカンボジア人口の25%にものぼるという。

人間がどれほど残酷になれるのかは、様々な史実が教えてくれる。
平時なら善良だったかもしれない人が鬼畜になる。日本軍の大陸での振る舞いや、アウシュビッツで行われたことは、その表れだろう。無辜の民の上に原爆を落として恬として恥じない(ように見える)アメリカも同じ。今イスラエルやパレスチナ、ロシアやウクライナで人質になっている人たちは、恐らく筆舌に尽くし難い目に遭っているのだろうと思う。

ポルポト時代を含む内戦で、カンボジアに埋められた地雷は400万個以上あるという。除去作業は、内戦終結から30年たった今も続いていて、完遂は2030年の見込みだとか。除去支援団体では、これまで作業中に14人の死者が出ている。

こういう現実から目を背けてはいけない、と報告会では語られた。
その通りだと思う。
だけど、目を背けたいと思う自分がいるのです。
人がどんな風に殺されたのかなんて、知りたくない。残虐行為やシビアな現実には目も耳も塞いでいたい、ヘタレな私なのだった。

たまたま平和な国に生まれて、家族にも環境にも恵まれ、残酷な目に遭わずに生きてこられたのは、幸運なことだと思う。その幸運に、負い目を感じる必要はないよね。
ありがたいとは思うけれど、申し訳ないとは思わないもの。

少しだけ寄付をした。
おそらくこれが、今、私が具体的にできる、ただ一つのことだろう。


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