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女性に「生まれたかった」ー嫉妬インタビュー2 Nさんー
「嫉妬インタビュー」とは、「あなたにとっての嫉妬とはなんですか?」と、夢乃くらげがいろんな人に聞いているインタビューです。
今回、インタビューさせていただいたのは、30代のNさん。わたしのSNSの投稿から連絡をいただき、インタビューすることとなりました。
今回は今までの記事とは違って、会話形式でインタビュー内容を載せたいと思います。良ければ、最後まで読んでください。
最初にみなさんに聞いていることがあって。そもそも嫉妬しますか?
しますね。人間だもの。基本的に女性に嫉妬します。これをされるから嫉妬するとかじゃなくて、女性として生まれて生きていることに嫉妬する。
こういう女性に特に嫉妬するとかはあるんですか?
かっこいいタイプの人。男っぽい、中性っぽい表現をしていても「女性に帰れるよね」って思います。
男性には嫉妬しますか?
しないですね。お坊さんに人生相談したことがあるんですけど、「キムタクとかになれるって言われたらなりたくならへん?」って言われて。でも、そういう気持ちは全くないんですよ。地位とかが得られるとしても、なりたいとは思わないです。それよりも、平凡な女性に生まれたいですね。女性には「憧憬の眼差し」みたいなものがあります。
女性に惹かれるきっかけってあったんですか?
子どもの頃から思っていたんですけど、「らんま1/2」を見たときに「性別が選べるなら女性を選びたい」と思ったのはかなり覚えています。あと、妹がいるんですけど、第二次性徴のときに「胸が痛い」とか言ってて、そのときもどこかで「いいな。ずるいな」という感情もありました。
女性に「なりたい」と思いますか?
スイッチひとつでなれるならなりたいです。何の苦労もなくなれるなら。でも、現実的には手術とかもあって難しいと思います。例え、そういったことをクリアしても、「生まれながらにして女性である」という状態になるわけではないから、どこか違うなという感じがあります。
じゃあ、なりたいじゃなくて「生まれたかった」に近いんですね。
そうです、そうです。今は「今世はいいかな、80年くらいの話しだし」と思ってます。折り合いとか、全然、ついてないですけど、いつかはついていくのかなと様子見してます。
子どもの頃からそういう違和感はありましたか?
そんなになくて、薄っすらとした感じでした。男の子グループが嫌とかなくて、それはそれで楽しかったです。でも、女の子たちにも混ざりたいなと思ってました。
もし、子どもの頃からどちらのグループにも入れて、「男だから云々」言われずに育ったら、違和感なかったと思いますか?
いや、身体に対しても嫌な気持ちがあるので、違和感があったと思います。
来世、女性に産まれたらやりたいことはありますか?
普通に青春を送りたいです。ベタな。健康な女性で産まれていたら、美人とかでなくても、自分の悩みの8、9割は解消すると思います。
女性を見てて嫉妬する具体的なエピソードってありますか?
髪型を自由にできるとか。自分は仕事で短くしろと言われるけど、女性の同僚は言われなかったりするので。
髪形、重要なんですね。
重要。すごく重要です。「髪は女の命」っていうくらい象徴だから。
髪以外に大事なポイントってありますか?
女性の身体で言うと全てのパーツがそうです。「わたし不細工やから」とか言っている人に対して「女性であるだけで美しい」と言ってあげたくなる。男性にしか表現できない美しさもあるとは思うけど、女性にしか出せない美しさもあると思います。
自分自身が持っている美しさってなんだと思いますか?
音楽をやっているんですけど、特に楽器を演奏するときってかっこよく見られるものだと思うので、男性のほうが映えてるのかなと感じます。そこは、得しているかもしれないですね。
嫉妬の強さはどうですか?羨ましいくらいで終わりますか?
地位とか名誉とかに対しては「いいなぁ」くらい。でも、女性に対しては毎日思っているから、体調に異変が出るくらいの強さですね。
でも実は、夢乃さんの嫉妬インタビューのSNS投稿を見て、「これって嫉妬なのかも?」と思ったんですよ。
そうなんですね!今までは「なんかしんどいな」っていう感じが続いていたってことですか?
そうですね。いいなとか思ってましたけど、嫉妬かもと思ったのは初めてですね。
わたしの嫉妬インタビューの投稿を見るまでは、自分はあまり嫉妬するタイプではないと思ってましたか?
そうですね。人に憧れはするけれど「ずるい」という気持ちはあんまり分かってなかったですね。でも、女性と付き合ったときに距離が近づくので、そのときの嫉妬はすごくしんどかったです。
相手から見ると「どうして怒っているの?」ってなるんでしょうね。「女性だから許されるだろう」みたいな自覚があって行動しているのを見たりすると、すごく腹が立ちますね。
「わたしは大事に“してもらう性”、あなたは大事に“する方の性”」みたいな考えとか、僕は性別の前に人として平等という考え方なので、嫌だなと思います。
“割り勘にするのか問題”とかありますけど、そこは大体男性側の自分が出すんですよ、ジェンダーロールとして飲み込んで。そういう動きはします。でも、パートナーから強制されるとしんどいですね。「わたしは女やから愚痴言ってもいいけど、あなたは男なんだから言ったらだめ」みたいなことを言う人としか付き合ったことないですし。
どうして男性的な振る舞いをしようと思うのですか?
女は違うけど、男はジェンダーロールから降りたら人間的価値を失うと思ってて。
女性って存在しているだけで子どもを産める可能性がある性別じゃないですか。次にDNAを残せるのは女性。男性は何で貢献するかと言ったら、環境を整えるということだと思ってて。
金銭的な面とかもそうですよね。一人前として稼げる、これが男性としての価値だと思います。そこから降りるのは価値を喪失することだから、降りられないんですよ。生物としての繁殖でDNAを残すことをゴールとする価値観ですけど。
Nさんにとって「女性」とはなんですか?
アート。華です。美の象徴ですよね。
最後に何か言いたいことがあればお願いします。
嫉妬はやっぱり無くせないし、抱えつつ、どれだけ燃料にできるかだと思います。それしかないですよね。どういう嫉妬であれそう思います。
取材を終えて
今回のインタビューで印象的だったのは、Nさんの中にある「自分は女性に生まれたかったけど、できなかった」という諦めたいけど諦められない葛藤でした。「女性に生まれたかった」という渇望によって嫉妬が生まれるのだとも思いました。
羨ましさと「自分は女性じゃない」という失望があって、「どうしようもなく変え難いことだから、女性に生まれることはできなかったから、諦める他ないんだ」と言い聞かせる。そういったしんどさが見えたインタビューでした。
今回のインタビューで、初めて嫉妬について考えてくれたNさん。わたしのSNS投稿を見て「嫉妬なのかもしれない」と思って話しに来てくれたのは、葛藤やしんどさと向き合うためなのかもしれません。
時間が経てば、少しずつ折り合いがつくのかもしれませんが、Nさんが穏やかに過ごせる日が増えることを願っています。
「嫉妬インタビュー」では、随時、インタビューさせてくださる方を探しています。あなたの嫉妬をぜひ聞かせてください。詳細はSNSのDMにてお願いします。
インタビューさせてくださったNさん、本当にありがとうございました。
少しずつ記事を更新していく予定なので、また読みに来てください。それでは、またお会いしましょう。ばいばい。
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