生きるに値しない世界
「生きるに値しない命」という言葉がある。ナチスが知的障害者や精神障害者のことを生きるに値しない劣等的な資質の持ち主だとし、彼らを毒ガスで安楽死させていたという。当然ながら現代ではこの思想は間違っていたと言われている。確かに、障害があるからとか、差別の標的となってきた出自だからとかそういった理由で人を「生きるに値しない命」とみなすのはあってはならないことだ。
しかし、いつからか私は生きるに値する命などこの世界に存在しないのではないかと思うようになった。誰かが死んだとて、その人