青春サイダー
夏はサイダー。
瓶の三ツ矢サイダー。
我が家では、毎年ケースで買っていた。
父の瓶ビールと一緒に。
酒屋さんが運んでくれていたのだろうか。
黄色い瓶ケースにびっしり並ぶ魅惑のサイダー。
小学生から高校の時まで、ずっとそうだったと記憶している。
特に決められていたわけではないけれど、なんとなく、1人1日1本で。
飲んだあとは冷蔵庫にすぐ補充。
いや、取り出したそばからすぐに補充していた。
ぬるいのなんて許さない。
飲みたい時にないなんてない。
部活帰りのサイダーは格別だった。
シュポンッ!
栓を抜いてそのまま口に運ぶ。
シュワシュワシュワ〜
ああ、冷たい!甘い!
口の中で炭酸が弾ける。
喉元から順番に、そのパチパチが移動する。
プハァーーー!
来る夏来る夏、サイダーサイダー。
あれは高校の時だっただろうか。
暑い夏がやって来て、愛しのサイダーもやって来た。
ケースごと。ビールと一緒に。
その日は格別に喉が渇いてて、
1本飲んでもまだ足りない。
カラダが炭酸を求めてる。
あの甘さと旨さを欲してる。
おそらく誰かの分の2本目も飲んで、
時間をあけてさらに飲んだ。
胃を壊した。
生まれて初めて胃が痛いと感じた。
これが胃痛なのか!?と思った。
真夏のサイダー。
魅惑のサイダー。
でも、お腹を冷やし過ぎてはいけないんだ。
🫧
今でも三ツ矢サイダーを飲むと、
あの頃の家の匂いと学生服の自分を思い出す。
もう瓶ではないけれど、シュワシュワの甘い味はそのままだ。
そして1本を一気に飲み干すこともなくなった。
ペットボトルの蓋をキュッときつめに閉めて、また冷蔵庫に戻すんだ。
あの頃の夏より暑い夏がやって来た。
今日も1本補充しておこうかな。
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