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娘の帰省

8月下旬、台風の遅れとともに、娘も遅れて帰って来た。
天候なんていつ変わるかわかんないのに、

明日でもワンチャン行けんじゃね?

LINE

っつって、予定を一日遅らせる。
ギリ間に合ったけど、翌日から新幹線は混み出し、運休も始まるところだった。ハラハラさせられたが、慣れた。
いつもの事だ。

部屋着に着替え、テレビの前に落ち着く娘。

「で、最近どうなん?   暮らしは」

オヤジか!
こっちが聞きたいわそれ。


寝る時には布団を並べ、エレカシの話なんかした。

猫はしきりに娘の荷物を物色している。



翌々日、ばーちゃん家へ顔を見せに行く。
事前に言わずに行ったのと、部屋が薄暗かったからだろうか。
「キノシタさん?」
ベッドに寝たまま、細い声でばーちゃんが言う。

〇〇娘の名前やで!」

〇〇娘の名前ちゃん?!
帰って来たん?!」

ばーちゃんの目が大きくなり、うるうると輝いた。
あっちの部屋からじーちゃんが、
「わかるんか?」
と余計なことを言う。
私やじーちゃんには普段見せない笑顔だった。

ちなみにキノシタさんて誰?って聞いてみたら、どうやら近所の人らしい。
いたかなぁ?近所にキノシタさん。
とりあえず「そうなんやー」と言っといた。


8月末日。ばーちゃん発熱。
じーちゃんもなんか調子悪くて車が出せない。介護タクシーを呼び、ベッドから動けないので訪看さんにも来てもらって病院へ。

入り口で検査。
鼻ほじほじされて嫌そうだった。

結果陽性。

タクシーの窓全開にして帰宅。
取り急ぎ、処方された漢方と解熱剤を飲ませる。
頑張ればーちゃん。


ところで、娘の帰省に合わせて、私は目いっぱい休みをもらっていた。
そのためにお盆も仕事に出た。
海に行くのもいいかな?
こないだ行った滝はどうだ。
フルーツカフェに一緒に行って、念願のスイカジュースも飲みに行きたい。

が、台風が来るのか来ないのか。
来る来ない。帰らない帰る…。
どっちなんだい!って思ってたら急に強い雨が降ったり。
かと思ったら翌日には晴れていて。

サンサン、てめぇいい加減にしろよ?

それでも養生テープやら電池やら、食料のまとめ買いをして台風に備えた。

さらに運送業の夫は台風に翻弄され、13連勤。
いずれにせよ、どこにも行けない。

ま、娘と言えば、ほぼほぼ寝てるので、とりあえず私はいそいそと手料理を作り、振る舞った。
上げ膳据え膳だ。

シチュー、マカロニサラダ、煮魚、紫蘇トマト、枝豆、豚肉と蓮根のきんぴら風のなんか、みょうが豆腐……
特別凝ったメニューはないが、普段娘が食べない、自分では作らないであろうものを提供させていただいた。

その間、夫と娘はほぼ会話をしていない。
今回の帰省では、父と娘の親睦を図ることもあれこれ考えていたが、なんとて台風よ。連勤よ。

そしてそのまま9月になり、私はコロナ陽性になった。

熱はなかったのだが、喉の痛みと咳があり、たまたまLINEが来た友達に伝えたら、

ふぐちゃんそれ、罹ってるね。
病院行った方がいいよ

って言うから、「あら、そぉ〜お?」と思って行った。
ばーちゃんと同じく、入り口で鼻ほじほじされてしばらく待ってると、
「陽性です」と言われ、漢方と咳止めシール、カロナールを処方されて帰宅した。

仕方ない。ゴホゴホいってるばーちゃんの側にいたからね。


せっかく帰省してる娘や連勤夫に移すわけにはいかず、かと言って隔離できる部屋などないから、とにかくマスクをした。ずっと。
そのうち微妙な熱が出てそれが続いたが、悲しいかな誰もご飯の用意とかしないし、比較的動けたから、普通に家のことをした。 
でもやっぱりちょっとしんどかった。
食欲もなく、隙をみては横になった。

娘はだいたい寝ていた。
いい加減起きろよとも思ったが、ま、
のんびりしに帰って来てるしな。
寝顔は4歳児のままだ。

たまにキリっとお化粧をして、短過ぎない?と思うパンツを履いて、友達と出かけたりしていた。

お母さんも一緒に出かけたかったよ。

幸い、じーちゃんは何事もなく、ばーちゃんの症状も治まっていった。
実家には行ってないけど。

そんなこんなで、やっと夫に1日休みができ、「食べに行こう!」となったが、まだ自宅待機期間だったから私は残った。この時、「熱があるんか!」と夫が言った。

は?ずっとマスクしとるでしょうが!

鈍い。鈍すぎる。
見てない。私のことなど見てない。
連勤おつかれサマンサっ!


果たして2人で王将に行った。
王将って……。
でも近くに気の利いたとこないんだよなぁ。

その間、私は寝そべりながら井上尚弥の試合を観ていた。
相手が腰にきて、なんとなくフワッと試合が終わってしまったが、井上尚弥のパンチは速かったし、足にはバネがあった。顔面には擦り傷ひとつない。
カッケェな、モンスター。
次は12月だってよ!

試合も早かったが、父娘が帰って来るのも早かった。

「え? もう?」

会話はできたのだろうか。


ところで、例の件だが、見守り続けて2年、仲良くやっているようだ。
予定していたパジャマパーティー(恋バナパーティー)はマスク越しではあったが無事開催された。

て言うか、このnote界隈でも、大学からお付き合いして結婚された方が何人かいらっしゃる。
どうですか?
いけそうですか?
まだ会った事ないし、娘も向こうの親御さんには会っていない。

「連れて来なよ」

と言うと、それって結婚の時やろと言う。
そうなの?
その前に紹介し合ったりしないの?

いやなんか、ふたり結婚の意思があるようなんですけど、どうなんでしょう?

娘の恋についての過去記事も参考に、
ご意見いただきたいです。
ちなみに娘は諸々あって在学期間が延び、彼の方が先に卒業します。

娘が一緒にいて娘らしく居られる人みたいだから、いいんじゃないかなぁとも思う。
めんどくさがり屋でオッサンみのある娘を甘やかしてやさしく受け止めてくれているようだし。
いずれにせよ社会には出るよう言ってある。本人もそのつもりだ。

そして夫はまだ何も知らない。


一昨日、娘は東京に帰った。
じじばばに「またね」を言って、夫の車で駅まで送った。
前の日、最後のリクエストは肉じゃがだった。


台風に始まりコロナで終わった私の遅い夏休み。

ずっと楽しみにしていた娘の帰省。

どっこにも行けなかったけど、元気な顔見れてよかった。
なーんて負け惜しみだ。
もっと楽しみたかったよ(涙)


あーあ。
明日は2週間ぶりの仕事だ。
さぞかしリフレッシュしてきたと思われてるかな。
全然だ。
疲れそうだなぁ明日。

なんとか乗り切る。
乗り切るぞ!


ちなみに娘も夫も発症していない。
どうかこのまま……。





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