【タイム、疑似恋愛体験を話してみる💓vol.2】
「さて、まず何から始めればいいんだ?」
結婚して10年、子供が生まれてから9年。テレビのアイドルを見て、心をときめかせることはあっても、恋愛はしばらくご無沙汰。そもそも、好きでもない人を好きになろうと言うのだから、無理しかない😅
「挨拶を可愛くしてみるか🤔」
飲食業界は何時であっても、最初の挨拶は「おはようございます」なぜか、スーパーに買い出しに来る人もおはようございますと言う人が多くて、必然的に返しも「おはようございます」に。ここをちょっと可愛くしてみようと実行。
「たいちゃん、おはよう😃」
可愛いのか微妙。だけど、「おはようございます」から「たいちゃん、おはよう」と変えてみるのは変な緊張感たっぷり💦
「なんか、飲み屋のママみたいだね」
彼は笑う。いや、違うわ!そこは可愛いねだろ?気がきかないなーと畳み掛けると
「可愛いとはなんぞや?という感じだね。蛇やトカゲを可愛いって言う人もいるんだし」
蛇やトカゲと一緒にされてしまった🤣でも、楽しかった。異性と笑って話をするなんて、何年振りのことだろうか。ちょっとテンション上がった。
何日かそんなやり取りを繰り返していると、彼は店内から出る時、私に手を振って出て行くようになった。私も手を振り返す。違うレジに行った時も同様で、たいちゃんが帰る時はお互いに手を振るのが恒例に。
そのうち、彼は入店する時も私の姿を見かけると、おはよーと言いながら、手を振るようになった。私も手が空いていれば振り返す。
「お客様は友達じゃないんだから、その態度は良くないと思う」
チーフに怒られるようになったのもこの頃だ。たいちゃんが私のレジに来て話し込むのもよくは思われていなかったようで、しょっちゅう邪魔をされた。
「邪魔すんなや」
心の中ではそう思ったが、反撃に出ることはしないで、傍観。勘がいい彼はさんざんチーフのご機嫌取りをして、帰る時には私にだけわかるようにこっそり手を振った。手を振り返すとまた怒られるので、目線を合わせてお互いに笑う。
そんなある日、珍しく彼が買い物に来なかった。まあ、そんな日もあるかと仕事は普通にこなしたけれど、帰りの車の中で
「たいちゃんに手を振りたかった」
そう思うと、涙がポロポロ出てきた。最初、好きになってみるかと実験をするような感覚だったのに、いつの間にか、完全に好きになっていた。時間にすると数分で終わってしまう毎日のやり取りに私はどれだけ救われていたんだろう。
「さて、好きになってしまったら、どうしたらいいんだ?」
続く。
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