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1話 曾祖父と死後の世界
私には10年間寝たきりの曾祖父がいた。
曾祖父は昔、軍隊の軍長さんだった。
厳しい時代を生き抜いていたおかげか、動けなくなった今でも呆けることはなかった。
手も動かせないし、喋ることはできない。
それでも目を動かすことでしっかりと会話することができた。
毎日会うことはなかったが会うことがあれば少し会話をしていた。
動けないのに呆けることができなかった曾祖父。
10年という年月が経ち、空にいってしまった。
それから何年か経った今、私は夢を見ている。
夢の中で夢と気付いたのはいつぶりだろうか。
綺麗な温泉に浸かっていて辺りは湯気でよく見えない。
でもとても気持ちのいいところで私はずっとお湯に浸かっていた。
ふと隣を見てみるとさっきまでいなかったのに人が1人だけお湯に浸かっている。
曾祖父だった。
曾祖父を見ている私の姿は当時の姿に戻っていた。
曾祖父は優しい笑顔でこっちを見ている。
私は夢だとわかっていても曾祖父に会えたことが嬉しかった。
そしてずっと気になっていたことを曾祖父に聞いてみることにした。
『死後の世界ってあるの?』
そう問いかけると曾祖父は変わらない笑顔で答える。
『あるよ。』
私は一瞬驚いたが恐怖などは感じなかった。
曾祖父の安心感のような暖かい気持ちが伝わってきたからだ。
『どんなところなの?ひいじいちゃんは成仏できたの?』
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