心霊写真とパレイドリア現象の関係を少し
いつの頃からか、全くの抽象画のように、なるがままに任せて筆を走らせただけの素描に、勝手に様々なイメージが浮かび上がってくることを興味深く感じるようになりました。時にはそれが、まったく意図して描いたとしか思えないようなものすら浮かび上がって、自分で言うのもなんですが、ちょっと気味悪く感じることもあります。
これは、世間ではパレイドリア現象と呼ばれているそうで、そもそもは人間の、というよりは多分あらゆる動物が持つ習性だと思うのですが、本能的に危険を察知するために、その気配に近い怖い系のイメージや物を敏感に察知するところから来ているそうです。生物学的に自然の成り行きだと思います。
上の絵は、ほんのささやかに墨絵の真似事をしていた頃の、もう随分前の絵ですが、今頃になってツラツラ眺めてみると、この中に幾つかの顔が浮かんでいることに気付きます。気付かない人は無理に気付く必要はありません。精神衛生上からも多分その方がよろしいのです。しかし見えてもあまり気にする必要はありません。このことを他の妙な理屈と絡めない方が良いと思います。
ということを押さえつつその部分を眺めてみましょう。どことなく海外の役者のような顔が浮かんでいます。眉から眼にかけてははっきりとそれと判ります。特に眼は私が苦労して描くより上手いです。偶然は常に未熟を上回り
ます。
その右隣りに見える、これも何も見えなければそれで良いです。しかし私には強く睨むような眼が見えます。私の経験から言わせてもらえれば、筆をめちゃくちゃに振り回しても眼はかなりの確率で現れます。私たちは一般の人でも他人からの視線に敏感です。なにか知らないけど見られているような気がする時があります。
ああいう時って本当に見られているのでしょうか。逆にこっちに気付いてくれと思って視線を送っても全然気付かれないようなこともあると思います。その違いってどこからくるのかな。なんとも不思議なものです。
この絵の見え方は半分が陰になっていて言ってみれば火星の人面岩ですね。人面岩も私は偶然だと思います。でなかったらワクワクするのですが…。
その下には遭難でもして髭ぼうぼうになった男の顔が見えます。眼をむいています。これに関しては鼻筋や唇と思しき部分も浮かんでいるので、驚いたような眼がなくて、仮にここが影になっていたとしても人の顔だと判断できるでしょう。
何度も言いますが、見えなければその方がよろしいのです。私が申し上げたいのは、ごく普通に偶然に人の顔でも何でも似たようなものは普通に浮かび上がると言うことです。物好きな人はそれをすぐに心霊に結び付けたがります。
私は個人的に少々物理法則に合わない奇妙な体験をしているので決してそちら系は嫌いではありません。どころかミステリーホラー系は大好きです。なので世間のその手のブログや動画もよく眺めています。でも、その中で紹介されている心霊写真の中にはこれよりももっとこじ付け気味が沢山あります。
しかしながら、とここで居直るようなことになるのですが、例えば上の写真はどうでしょう。これは私が過去に他のブログで公開したものですが、単なる木の根っ子の部分です。
それにしては如何にもな形をしています。ここから何を想像するでしょうか。偶然であることは明らかです。しかし単なる木の根っこがわざわざどうしてこんな形になるのでしょうか。げっ歯類と爬虫類が混血したようで、トカゲのような足もあれば尻尾もあるしネズミと獏が混ざったような顔には眼も耳もある。不思議ですねえ…。
尤もらしい霊能者に言わせたら、この木には何らかの因縁があり様々な動物霊が集まっている。今すぐお祓いが必要だ…とか言い出しかねません。商売のタネはどこにでもあります。
絵画的には、飽くまでそちら系を狙っているのでなければ、あまりにそう見えてしまうものに関しては、気付く限りは修正しておいた方が良いとは思うのですが…。描いたご本人は気付いて居なくてもそう見える作品にはいくつかお目にかかっています。私の絵にも当然あります。
難しいところですね。黙って置いた方が無難ですが。