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ブッククラブ〈Language Beyond〉 #27—ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』

★ふたたび日時が変更となりました!(スミマセン…)ご注意ください。(12/11追記)

気温がめぐるましく夏と冬を行き来した10月前半とは打って変わって、本格的に落ち着いた秋の季節となりました。次回のブッククラブでは、ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出文庫)を読みたいと思います。未読でも、一部分のみ読んだだけでも参加OK。思ったことを自由にお話ししましょう!

開催日時 2023年1月15日(日)16:30〜18:00(オンライン開催)
課題本 ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出文庫)
推薦した理由 アラブ文学研究者の岡真理さんの著作で、この作品との運命の出会いがアラブ文学研究のきっかけになったとありました。人にとってそういうかけがえのない作品になった本に興味があります。/民族紛争が絶えない中で読んでみたい1冊。

2023年最初の開催となりますので、課題本を読んだ後は、みなさんと「2022年に読んだ本の振り返り」をテーマに自由にお話しできればと思っています!

開催メモ(担当:吉川祐作)

2023年最初のブッククラブでは、まず前半でパレスチナの作家カナファーニーの作品を取り上げ、後半では参加者が2022年に読んだ本について話し合いました。

カナファーニーの作品については、色々な意見がありましたが、理解するのが難しい作品であるという点では参加者が一致したように思います。パレスチナという否応なしに政治的になってしまう文脈の中で、パレスチナ解放を目指す活動家であった作者の作品を位置付けることはある意味簡単なのですが、それだけでは理解しきれない、どこか「はみ出した」部分がある。

僕の解釈では、今日の議論はそのはみ出した部分がテーマのひとつだったように思います。それは例えば、なぜこの作品は(ある意味即効性がない)小説でなければならなかったのかという疑問であったり、執拗な汗や温度の描写であったり、パレスチナという場所の地理的・心理的な遠さであったり、映画的・音楽的というコメントもあった文体だったりするのですが、彼の作品を文学たらしめているように思うのです。

なかでも、作者独特のバランス感覚については多くの言及がありました。意外とわかりやすい会話文とやや哲学的な地の文。人生における劇的な瞬間(例えば、生き別れた息子との二十年ぶりの再会)と、それがふと「つまらない緊張の場面をふんだんに盛った安っぽい映画」のワンシーンみたいに自ら思えてしまう感覚。こうしたバランス感覚にこそ、カナファーニーというひとの作家性があるのかもしれません。

2022年に読んだ本の話では、ウクライナ情勢も話題にのぼり、参加者の読者体験に影を落としていたことが分かりました。その他話題になったのは、チボー家の人々、プラトーノフ、バタイユ、森崎和江、宮部みゆき、中井久夫などです。現実がやりきれないと、小説にできることはなんだろう、ということを自分はついクセのようにぐるぐる考えてしまうのですが、きっとそれを知る一番の近道は、カナファーニーのように同じ問いに向き合ってきた作家たちの本を開くことですね。2023年も読書会は続きます。今年もよい本との出会いがありますように。

ブッククラブ「Language Beyond」とは?

このブッククラブのやり方や大切にすることなどについて、以下の投稿をお読みください。

https://note.com/yumemirukenri/n/n7023e2729e01

参加するには

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