嫌いなのは、「好き」だから
○○:アルノおねぇちゃん!
アルノ:どうしたの?
○○:ぼくね…大きくなったら
○○:おねえちゃんと、けっこんする!
アルノ:ふふっ、そっか
アルノ:じゃあ、それまで待ってるね!
○○:うん、まってて!
○○:すんごくかっこよくなるから!
アルノ:うん、期待してる!
○○:えへへ…//
_____
私は、弟が嫌いだ
いや、正確には、嫌いにならなきゃいけない
○○:アルノ姉ちゃん、おはよ!
アルノ:…
○○:ね、姉ちゃん?
アルノ:何?
○○:お、おはよ!
アルノ:うん
○○:あ…きょ、今日はいい天気だね!
アルノ:天気予報、雨だけど
○○:あ…
○○:あ、雨にも、いいところはあるの!
○○:アルノ、だけに…
アルノ:は?
○○:あ、ごめんなさい…
アルノ:ごちそうさまでした
アルノ:お母さん、行ってきます
母:気をつけてね〜
○○:…
母:○○…
○○:俺…何したんだろ…
母:女心は、難しいものよ
○○:そうだけどさ…
_____
私は、弟が…嫌いだ
いや、正確には、好きになってはいけない、という考えの反動なのかもしれない
アルノ:はぁ…
美空:ま〜たため息ついてるよ
アルノ:あ、美空…
美空:どうせ、弟くんのことでしょ?
アルノ:…否
美空:素直になればいいのに
美空:アルと弟くん、すごく素敵だけどな〜
アルノ:あいつは…
?:あ、お姉ちゃん!
アルノ:は?
○○:お姉ちゃん!お弁当忘れてるよ!はい!
アルノ:…
美空:ちょっと、感謝くらい伝えたら?
○○:いや、大丈夫ですよ、一ノ瀬先輩!
美空:でも…
○○:俺が勝手にしてることなんで!
美空:そっか、○○くんは優しいね?
○○:い、いえ…//
アルノ:…
美空:そういえばさ、○○くんって彼女いるの?
アルノ:え…
○○:いや、いないですし…いたことないんですよ…
美空:え、うそ…意外…
○○:そんな、意外なことでもないですよ笑
美空:○○くん、モテそうなのに…
○○:そう言ってもらえて嬉しいです!
○○:あ、そろそろ次の授業始まるので、失礼します!
アルノ:…
美空:彼女いないってさ
アルノ:だから何…
何故だろう、すごく安堵している自分がいる
だけど…
女1:何さっきの子…かっこいい
女2:お姉ちゃん!って言ってたけど、アルノの弟くんなのかな…
女1:え、今度紹介してもらおっかな
アルノ:…
美空:弟くん、モテモテだね笑
アルノ:美空は私の味方なの?敵なの?
美空:ん〜、両方?
アルノ:はぁ…
_____
私は、弟が嫌いだ
いや、嫌いにならないと、私がおかしくなってしまう
美空:アル、また明日〜
アルノ:じゃあね
アルノ:…はぁ
放課後の教室に1人きり
私は、日直の仕事を終えるため、残った
アルノ:○○…
アルノ:日誌…何書けばいいんだろ…
作業が進まず、黄昏たくなり、窓の外を見た
するとその景色には
○○:え、そうなの?
?:うん、めっちゃ面白いよ!
○○:え〜、今度見よっかな〜
?:え、是非見て!
○○が、知らない女の子と歩いていた
アルノ:やっぱり…
アルノ:諦めて…正解だったんだ…
アルノ:…
本当に…何書こう…
_____
私は、弟が嫌いだ
だけど、それもいつかは変わる気持ちなのだろう
○○:ただいま〜
母:○○、おかえり
母:もうご飯できるから、アルノ呼んできて
○○:りょーかい!
○○:アルノお姉ちゃ〜ん、ご飯だって
○○は部屋のドア越しに呼びかける
アルノ:…
○○:あ、お姉ちゃん
アルノ:…
私は○○を一瞥し、何も言わず階段を降りる
○○:…お、お姉ちゃん
○○:きょ、今日ね、面白いアニメ見つけたんだ!
○○:お姉ちゃん、アニメ好きだったよね?
○○:五等分の花嫁ってアニ…
アルノ:そのアニメ、もう見てる
○○:あ…さ、さすがお姉ちゃん!
アルノ:…
○○:…
アルノ:いただきます
○○:い…いただき…ます
○○の寂しそうな顔が、頭から離れない
私は、本当にこれでいいのだろうか
アルノ:ごちそうさまです
私はご飯を食べ終えて、部屋に戻った
私は溜まっていた返信を返していた
すると、部屋のドアがノックされる
○○:お、お姉ちゃん…俺だけど
アルノ:…何
○○:あのさ…お願いがあって
○○:きょ…今日さ…
○○:一緒に…お風呂入らない?
アルノ:は?
私は思わず、ドアを開け、○○に向き合う
アルノ:あんた、何言ってるか分かってる?
アルノ:あのね、もう高校生なんだよ?
○○:わかってる!だけど…
アルノ:あんたもいい年になって、色々覚えてるはず
アルノ:一緒に入って、欲情されて襲われるとか、勘弁だから
○○:絶対そんなことしない!
○○:大好きなお姉ちゃんに、そんなことする訳ない!
アルノ:…!
今まで聞いたことのない大声に、思わずびっくりしてしまう
○○:俺はお姉ちゃんが大好き
○○:だから、正直、お姉ちゃんを女性として見ることもあるよ?
○○:だけど…大好きだから…お姉ちゃんが嫌がることはしたくない!
○○:それに…お姉ちゃんに嫌なこと言ったり、したりするやつは、俺が許さない!
アルノ:○○…
そうだ…○○はずっと、好きでいてくれたんだ
私はバカだ…
こんなにも、○○はお姉ちゃんのことを一心に思ってくれていたのに
アルノ:…ごめん
○○:え?
アルノ:ごめんね…
○○:え、お姉ちゃん?
アルノ:○○、好きだよ
○○:え、きゅ…急にどうしたの?
アルノ:今まで、冷たくして、ごめんなさい
アルノ:お姉ちゃん…○○のこと、大好き
○○:え…そうなの?
○○:俺、めちゃくちゃ嫌われてるかと…
アルノ:いや、嫌いだったよ
○○:え、どっち?
アルノ:いや、正確に言えば…
アルノ:嫌いになる、努力をしてたの
○○:え、なんで…
アルノ:○○…最近かっこよくなってきたじゃん?
○○:え…そうなのかな…//
アルノ:それに、前以上に社交的だし
アルノ:今日も…女の子と帰ってたでしょ?
○○:あ、見られてたんだ…
アルノ:○○、最近モテるようになって…
アルノ:色んな女の子とお話したり、遊んだり…
アルノ:○○がいつか、「お姉ちゃん!」って呼んでくれる日が来なくなるのかな、って
アルノ:すごく…怖かった…不安だった
アルノ:好きすぎて辛くなる、なんて、嫌
アルノ:だから…嫌いになろう、って
アルノ:いつか○○に呼んでもらえなくなっても…傷つかないために…
○○:お姉ちゃん…
アルノ:でもね、気づいたんだ
アルノ:嫌いになる努力が、1番辛い、って
アルノ:○○、好きだよ
○○:…俺も、お姉ちゃんが大好き
○○:この先、もしお姉ちゃんに彼氏ができたり、結婚しても
○○:俺の事を忘れないでいてほしい!って
○○:お姉ちゃんの記憶のどこかに、俺がいてほしい!って
○○:ずっと、そう思ってる
アルノ:そうなんだ…
○○:俺は、お姉ちゃんが大好き
○○:その気持ちは、何年何十年経っても、絶対に変わらないから!
○○:だから、お姉ちゃんも、俺のこと、ずっと好きでいて!
アルノ:…うん!
○○:あ…でも、彼女は作るかも…
アルノ:はぁ?普通、この雰囲気でそんなこと言う?
○○:可愛い…
アルノ:な…そんなこと言っても無駄…//
○○:大丈夫、俺の中で、1番素敵な女性は、アルノお姉ちゃんだから
アルノ:…そっか
○○:あ、あと、お母さんも!
アルノ:ふふっ、確かにお母さんもだね
アルノ:…お風呂、一緒に入ろっか
○○:え、いいの?
アルノ:お姉ちゃんの気が変わらない内に
○○:う、うん!
私は、弟が嫌いだ
いや、嫌いだった
今は、世界中を敵に回しても守りたいくらい
大好きだ
アルノ:○○、ここ、大きくなったね〜笑
○○:な、何言ってるの!
○○:てか…お姉ちゃんだって…大きくなってるじゃん…
アルノ:きゃ〜、へんた〜い笑
○○:変態はお互い様だろ!
アルノ:…
○○:…
アルノ:ふふっ
○○:なんか…楽しい
アルノ:うん、確かに
アルノ:ねえ、○○
○○:ん?
アルノ:…しよっか?
○○:…うぇっ!?
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