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僕が抱えた問題児は、ふわふわ天使でした
咲月の成績が向上した数週間後
〇〇は頭を抱えていた
〇〇:どうする、俺よ
〇〇:このままで、いい訳がない…
〇〇の目の前には、4枚の解答用紙
それは全て、
川﨑桜の解答用紙
〇〇:これは…本当に分からない
解答用紙の点数は古い順に
35点
34点
31点
28点
〇〇:なんで段々下がるんだよ〜!
〇〇:こういうのって少しずつは上がるやつでしょ〜!
〇〇:はぁ…
何も解決策が見つからず翌日
〇〇:じゃあ今日は、数学のベクトルです
美空:は〜い、ベクトル得意で〜す!
〇〇:お、それは期待だ
美空:任せてください!
美空:そして、今日のデートもお任せください!
和:え!?
〇〇:和、大丈夫、デートの予定なんてないから
美空:もう〜、恥ずかしがっちゃって〜
美空:大丈夫、素敵な夜にしてあ・げ・る
咲月:え、あるの?ないの?どっち!?
〇〇:咲月、ないから
〇〇:美空がまともな発言したことある?
咲月:…ないです
美空:咲月ひど〜い!ぷんぷん!
〇〇:ほら、早くやるよ
桜:ふわぁ…
〇〇:(またあくびしてる…)
授業の中、川﨑さんに注意を向けるが、
結局、川﨑さんは終始どこか上の空のままだった
〇〇:はい、これで今日の授業は終わりです
美空:〇〇、デー…
〇〇:しないって、だから
美空:もう!なんで!
〇〇:逆に彼女でもない女と頻繁にデート行く方がやばい男だろ
美空:え…それは美空を彼女にしてくれるってこと…?
〇〇:はいはい、脳内お花畑は家で勉強してください
美空:うわぁぁぁん!
アルノ:美空、帰りますよ
アルノが美空を引っ張りながら帰って行った
和:〇〇、お疲れ様
〇〇:和もお疲れ
和:頑張ってね、桜のこと
和:あ、あと、美空も
〇〇:うん…笑
咲月:〇〇さん、お疲れ様です!
〇〇:咲月、お疲れ
咲月:あの、桜のことなんですけど…
咲月:桜、スケートを昔からやってるんですけど
咲月:なんか応用問題でスケート絡めた問題とかどうですか?
〇〇:咲月…それ天才
咲月:えへへ…//
〇〇:咲月、さすがだな ナデナデ
咲月:〇〇さんに褒められるのが1番嬉しいです…//
和:いいなぁ…
〇〇:和も、一日お疲れ様 ナデナデ
和:うむ、くるしゅうない
〇〇:うるせえな笑 ペシッ
和:いたっ…
〇〇:とりあえず、考えてみるわ
咲月:はい、お疲れ様です!
和:〇〇、お疲れ様
〇〇:2人ともゆっくり休んでね〜
〇〇:よし、考えよう
和と咲月が帰ったあと、塾に残って1人作問と格闘
〇〇:明日は英語だから…最近のスケートの話題とか…
〇〇:専門用語は…僕が分からなきゃ意味無いもんな…
格闘すること2時間
〇〇:やべっ、閉館時間じゃん!
畠中:〇〇くん、お疲れ様
〇〇:畠中さん、お疲れ様です!
畠中:ずっと仕事してたの?
〇〇:あの、明日のための作問を…
畠中:いや〜、熱心な子が入ってくれて助かるよ
畠中:でもね、一つだけアドバイスをしてあげよう
〇〇:アドバイスですか?
畠中:意外と、シンプルでいいんだよ
〇〇:?
畠中:ほら、家で休みな〜
〇〇:あ、はい、お疲れ様でした!
〇〇:(シンプル…?)
_____
そして翌日
〇〇:今日は英語です
美空:I love you!
〇〇:はぁい
美空:美空の愛のメッセージがぁ…
和:If I have sleeping pills, I will be able to do anything with 〇〇.
〇〇:えっと…
〇〇:もし私が睡眠薬を持っていれば、〇〇と一緒になんでもできるだろう
和:〇〇を眠らせさえすれば…私の自由に…ぐへへ
〇〇:え〜、触れないです
〇〇:とりあえず、授業入ります
〇〇:今回は、スケートの話題に関する英文使っていきます
咲月:(あ、ちゃんとスケートの話題だ)
アルノ:スケートなら、桜とか詳しそうだね
桜:うん、だね〜、へへ
アルノ:うん、相変わらずだね
〇〇:(くそ…何も手応えがない)
〇〇:(なら、授業の内容で!)
しかし、健闘むなしく、何も成果は得られず
〇〇:はい…今日の授業はここまで
〇〇:お疲れ様でした…
美空:〇〇さぁん、元気ないですね?
美空:それなら美空が…ぎゅっ!
〇〇:…
美空:あれ…剥がしてこない…
美空:なら…ちゅ…
アルノ:はい、調子乗らない
美空:うわぁぁぁん!
今日もアルノに連れ去られる美空だった
和:感触なしだったね
咲月:私がもっといい案を出していれば…
〇〇:咲月のせいじゃないよ
〇〇:てか、俺一人じゃ案すら出なかったし
〇〇:はぁ…
〇〇:シンプルに考えろ…
〇〇:ん〜、わからん!
何も思いつかず、天を見上げる〇〇
桜:筆箱忘れちゃった…
桜:えっと…あ、あった〜
教室に筆箱を取りに帰ってきた桜
桜:ん、明かりついてる…?
まだ明かりがついている準備室を覗くと
〇〇:川﨑さんの興味あるジャンルを組み込むだけじゃ…
〇〇:いや、でもそうしないと食いついてくれないな…
桜:(私のこと…?)
〇〇:どうしたら成績が伸びるんだ…
桜:(私の成績を上げる方法考えてくれてたんだ…)
桜:(なんか、申し訳ないな…)
桜は〇〇が真剣に考えている姿に感動する
〇〇:ん、誰かいる?
桜:あ、私です
〇〇:川﨑さん、何か忘れ物?
桜:はい、筆箱を忘れちゃって
〇〇:そっか
″意外とシンプルでいいんだよ″
〇〇:シンプルか…
〇〇:川﨑さん!
桜:はい?
〇〇:川﨑さんのやる気スイッチは何ですか!
〇〇:大学に行く気持ちってありますか!
〇〇:どうやったら、川﨑さんの成績は上がりますか!
桜に詰め寄り、まくし立てるように質問する〇〇
桜:うぅ…
〇〇:あ、まって、泣かないで!
〇〇:ごめん、口調強すぎたよね?
桜:ううん…ちがうんです…
桜:こんなに真剣に向き合ってくれたことなんてなくて…
〇〇:え?
桜:私の親って、いわゆる過保護なんです
桜:だから、成績が悪くても、何か悪いことしても
「桜のいい所は他にあるからいいんだよ〜」
桜:って言って終わりなんです
桜:叱ってくれることなんてなくて
桜:だから、〇〇先生みたいに真剣に、ちゃんと向き合ってくれたのが嬉しくて…
〇〇:確かに、川﨑さんにはたくさんのいい所があると思う
〇〇:可愛いところとか、優しいところとか
桜:か、可愛い…//
〇〇:まあ、このクラスのみんな可愛いんだけどね…笑
〇〇:でも、川﨑さんも、めちゃくちゃ可愛い!
桜:ありがとうございます…//
〇〇:あとね、最近咲月から聞くんだ
〇〇:「桜は本当に人を褒めたり、落ち着かせたりするのが上手いんだ〜」って
桜:咲月が…
〇〇:でもね、川﨑さんのいい所、それだけで終わってほしくない
〇〇:もっと、色んな魅力をつけてほしい
〇〇:僕は、学力っていう魅力を、川﨑さんにつけるのが役目だから
桜:…
〇〇:まあ、それがお仕事ではあるんだけどね…笑
桜:うぅ…〇〇しゃぁん! ギュッ
〇〇:川﨑さん!?
桜:〇〇しゃん、好きですぅ
桜:今の、カッコよすぎです
〇〇:え、あ、ありがとう…
桜:私、頑張ります!
桜:〇〇しゃんを好きにさせるために、たくさん魅力身につけます!
〇〇:好きにさせるの…?
桜:はい、〇〇しゃんと付き合いたい!
〇〇:え、急だね…
桜:えへへ
_____
それから数週間後
〇〇:すごいな…
目の前には桜の解答用紙4枚
古い順に
75点
80点
82点
90点
〇〇:え、こんなに上がるの?
すると、準備室の扉から
桜:ひょこっ
〇〇:あ、川﨑さん
桜:〇〇しゃん、デート行こ?
以前、90点以上取ったらデートするという約束をしていた
〇〇:(デートの約束だけでこんなに頑張れるんだな…笑)
〇〇:ちょっと待ってね
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〇〇:川﨑さんって、オシャレだよね
桜:えへへ、うれしい
桜:そういう〇〇しゃんも、オシャレでかっこいいですよ?
〇〇:ありがとう…//
桜:はぁ…〇〇しゃんとデート… ギュッ
〇〇:誰かに見つからないよな…
桜:大丈夫ですよ、それより…
桜:今は、桜のことだけ見ててくださいよ?
〇〇:っ…うん
桜:えへへ、独り占めできる〜
〇〇:(今はこの笑顔を守るか…)
しかし、安心したのもつかの間
?:あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
〇〇:何っ!?
?:私の〇〇さんがぁぁぁぁぁ!!
桜:美空?
美空:ちょっ、桜!何してんの!
桜:え、〇〇しゃんとデート!
美空:〇〇さん、どういう事ですか!
美空:私という彼女がいながら!
〇〇:ちょっ、声でかい!
〇〇:周りの人勘違いするから!
美空:美空とか体のかんけ…んん!
〇〇:美空、いい加減黙ってくれ…!
桜:でも、テストで90点以上取ったらって約束してたもん
美空:むぅ…まあ、それなら…
美空:あ、なら!
〇〇:なんか嫌な予感…
美空:美空、今度90点以上取るので、デートお願いします!
〇〇:(やっぱり…)
〇〇:90点以上取ったら、ね?
美空:やった〜!
そのルールはすぐに広まり
翌週の月曜日
〇〇:おはよう
咲月:90点以上取ったらデート行けるんですか!?
和:嘘じゃないよね?
アルノ:ねえ、今度遊園地にデート行こ?
〇〇:ちょ、一旦落ち着いて!
みんなを落ち着かせ、席に座らせる
〇〇:あの、みんな周知だと思いますが…
〇〇:今度から、90点以上取ったら、僕とデートできます
〇〇:(自分で言ってて恥ずいわ…)
その反面、5人は
美空:よし…何なら100点取ってやる…!
和:毎週デートできる…よし
咲月:どこ行こっかな…
アルノ:〇〇の家ってアリかな?
桜:〇〇しゃんとデートだ〜
〇〇:はぁ…笑
今週のテストは、みんな90点を取ったのは言わずもがな
〇〇:全員取っちゃったよ…笑
〇〇:どうしよっかな…
すると、準備室に畠中先生がくる
畠中:お疲れちゃん、〇〇ちゃん
〇〇:畠中さん、お疲れ様です
畠中:いや〜、君のおかげで5人の成績がとんでもないよ
畠中:どんな魔法使ったの?
〇〇:魔法…なんですかね?
畠中:まあ、企業秘密か
畠中:それでさ、〇〇くんにお知らせがあるんだ
〇〇:お知らせですか?
畠中:来週をもって
「〇〇くんは、オズワル道を退職してもらいます」
〇〇:…
〇〇:は?
ふわふわ問題児、川﨑桜編、完
次回、最終回