愛されている記憶

小さい頃、父が飲み会で遅くなると、コンビニで自分のおつまみを買うついでか、私と妹のお菓子を買ってきて、机にポンと置いてくれていた。いつも、初めて見るような、コンビニで新発売みたいなお菓子。「ほら、こんなのあったよ」とかって。選ぶひと時、父は幸せだったんじゃないかな。愛されていた。


小さい頃、ある特定の時期、私は反抗期、では済まされないほどの癇癪を家で毎日のように起こしていた。
あれはなんという病状だったのか、よくわからないけど、赤ちゃん返りというか、なんというか。

ちょっとしたことで泣きわめき、騒ぎ散らし、泣き叫び、攻撃し、

母は参って病んでしまうくらい。

あれは異常だった。

小学校の同じクラスで、私と似たように大騒ぎして泣いて制御できなくて机を倒したりする子がいて。
それを静かに見ながら(家でしか自分はそれが起きなかったので)複雑な気持ちになったりもしていた。

カウンセリングにも行った記憶がぼんやりとある。

そんな時に、自分がハマった映画があって
応援団の特徴的な掛け声があったんだけど
それをなぞった言葉を、フェルトで手作りしたおまもりに、刺繍してくれた。

それで、頑張れ頑張れ○○○って、母が励ましてくれた。


多分、学校も行くのが嫌だったから(あまり覚えてないけど)そのお守りをランドセルに入れて行ってた気がする。




おとなになった(とされる年齢の)今でも
辛いことや立ち向かわなきゃいけない場面が訪れると、

そのときのその言葉、そのリズムその音で

自分で唱える。



愛されていた。




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