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愛おしい部屋の汚れ 【Essay】


今朝ティッシュを手に、
床の大きめなゴミをサッサと集めていたら、
サッと取れないものが。


なんだ?
え、1個じゃない!
あっちにもあるぞ!!


床から剥がしてよくよく見てみると、
息子が昨日食べていたお菓子の「ラベル」だ。
プラスチックのケースにクルッと巻き付いている、
原材料とか販売会社とか書かれている、あのシール。
剥がしにくかったのか、細分化されて落ちている。


なぜ、わざわざ剥がしたんだ...
そして、なぜ床に落としんだ...
しかも、あちこちに...!


「おもしろいな」


クスッと笑顔になれた。


私ひとりで生活していたら、絶対に有り得ない光景。


そのお菓子を買わないし、
買っても、わざわざラベル剥がさないし、
剥がしても、床に落とさない。


面白いこと、するんだな〜。
息子と暮らせていることを心から嬉しく思いながら、
ひと昔前のことを思い出した。


〜〜〜


昔、友達と盛り上がった会話がある。
「旦那のすね毛って、やたら床に落ちてない?」
という話だった。


主人と息子との3人暮らしから、
息子との2人暮らしになってみると、
明らかに床がきれいになった。


なんか、さびしかった。


それ以来、
毛が落ちていると
「今日も生きている」って、感謝するようになった。

息子の部屋が乱れていると
「今日も元気だ」って、安心するようになった。


汚れや乱れが、愛おしいものに思えてきたのだ。


〜〜〜


「床にべったり引っ付いた変なゴミ」すら、
おもしろく、愛おしい。


「掃除、めんどうだな」と、毎日思う。
けれど生きているからこそ、汚れ、乱れる。
毎日異なる乱れがあり、人の暮らしを反映する。


これこそがアートだなぁと思いながら、
床に残ったシールの接着剤を
指先でこすり落とした。



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