【北陸の劇評】バストリオ+松本一哉『黒と白と幽霊たち』〜死者たちの鎮魂と愚かな社会への抗議〜
シャン、シャン、シャン、……。3人の女性たちが床に座った観客たちの横をすり抜けて行く時、片方の足首に巻き付けた鈴が鳴る。それはまるで巫女によって祓い清められる神事のようだった。伝統的な宗教からの引用はそれだけではない。煙が立ち昇る線香を赤いワンピースの女(橋本和加子)がゆっくりとすり足で運んで行く。さらに金沢市出身のサウンドアーティスト、松本一哉が演奏する大小さまざまな鐘や直径1メートルもありそうな銅鑼の音は、そこに集っている者たちを瞑想の境地へと誘い込む。11月10、11日