はなさかりゅうじぃ
今は、昔。信州池田町陸郷(りくごう)地区に、サクラを愛するジィさまがおったそうな。このジィさま、みんなから「りゅうじぃ」と呼ばれておった。
りゅうじぃは毎年、小鳥たちがサクラの実をついばんで増えたヤマザクラの花を見て、『おらも小鳥たちのお手伝いをしよう』と心に決めた。行動力のあるりゅうじぃは、すぐさま町へサクラの苗木を買いに行き、陸郷に植え始めた。
そして、春になればサクラを植え、サクラが咲き、また春になればサクラを植え、サクラが咲き・・・これを何年も何年も繰り返した。このことが実を結び、いつの間にか〝西の吉野 東の陸郷〟と呼ばれるようになり、訪れる人々の心を魅了した。
りゅうじぃは、「オラが死んでも、オラの植えたサクラの木は残る」
そう言って、陸郷夢の郷の仲間たちと仲良く暮らしているとさ。めでたし、めでたし。