いってらっしゃい、だいすきなひと
昨オフ、敗戦の苦しさが癒えきらぬままライアンとジェフが退団するというしらせを受けた朝、動揺したわたしは車を擦った←
今年はとても凪いだ気持ちで勇退を受け止めている。
もちろんめちゃめちゃさみしいけど…覚悟ができていたことを差し引いても、なぜかどこか誇らしくさえあるのだ。
わたしの移籍に対する基本的なスタンスは
個人推しでないし、認知されたい欲もない。実体のない「ファン」の一部として「チーム」の力になれた気がすればそれでいい。
去年わたしが動揺したのは、別れというより、チームが揺らぐ不安から。
それでもどうしても、「このひと」は「わたし」が応援したい、そう思う相手がこれまでブレックスでふたりいた。
それは、クリと、竜三さんだった。
クリは移籍してきてよさを出せずに苦しみ、故障に苦しみ…つらい顔ばかりみていた。プロはキラキラ夢見せてなんぼ、と思いながらも、かっこいいばかりではいられない姿から目を離せなかった。ILから外れる、ただそれだけのことがものすごく嬉しかった。
翌シーズン、プレイする姿がみたくてチケットを取りながらその前の週に引退となり、「これ以上できる手術がない」という言葉をきいて、ばっさーよりもボロボロ泣いた。
コーチになったと聞けば見にいき、チームを移れば追いかけて…頻繁ではないけど、自分のファンがいることが伝わっていたらいいなと思う。
いまや、タイムアウトでひとりひとり回って丁寧にアドバイスし、ベンチ周りのことに細やかに気を配る、すてきなコーチになっているクリ。その姿をおもうたびに、とてもあたたかい気持ちになれる。
竜三さんは…いつからすき…?選手のときもACのときもじつはよくわかっていなくて(ごめんなさい)
就任してしばらくは、激おこだ5枚替えだと厳しい面ばかり強調され、それをおもしろがる気持ちのほうがおおきかった気がする。
そこから「なにかを感じてもらえるチーム」という芯はブレないまま、スタイルが柔軟に変化していった。
そのしなやかさが、今回の決断をさせたのかなと思う。手癖で、惰性で、やろうと思えば1シーズンなんてあっという間。でもその熱量は「なにかを感じてもらえるチーム」と齟齬がある。それを自分にゆるさないよな、と。
オフに痩せても終盤ふっくらして「ストレスです」と笑う顔、昨ファイナルのうなだれた背中、裏で泣き崩れていた姿…
まだ先と想定してた就任、常に日本一をめざすチームを率いるのはどれほどの重圧だっただろう。
個人を語れるほどしらないけど、みんなの人生を背負い、仲間を信じて正しく期待し、妥協せず理想のチームをつくろうとするHCとしての竜三さんは、いつのまにかわたしの中でとくべつになっていた。
ついにさいこうのチームとコーチになった。そこに到達できるだけのスペシャルな実力も人望も運もあることを証明してみせた。
どんどん凛々しくなる表情に別れを予感しながらも、しあわせな結末を迎えたシーズンのなんとうつくしいことか。
チームが、自分が、さらなる高みをめざすため、思う方向に進む決断のなんと清々しいことか。
わたしのだいすきなひとは、さいごまでとてもかっこよかった。
これから新天地でもっとスペシャルなコーチに進化する。
それでも核が変わらないなら、わたしはいっそう磨かれ洗練されたそれに触れたくて、背中を追いかけ続けるでしょう。
所属や関係性なんてひとつの要素、些末なことでしかないから。そんなものでは応援する気持ちは揺るぎようがない。
いってらっしゃい、竜三さん。
ありがとう。
また会いましょう。