02. 秘めごと
話したくないことなら多々としてある。
誰にも言えない事柄。
誰にも言わない事柄。
たとえそれが独りよがりだとしても
傷つきたくないから。
「どれがいい?」
お母さんが聞いた。
目の前には3つの水泳バック。
「これ~」
「これ」
妹達が決めてから、私は残りを手に取る。
「それでいいの?」
お母さんが繰り返し聞いた。
「うん」
私が手にしたのはキャラクターの入った物。
私より小さな子が持つようなものだった。
お母さんが選んでくれたものだから、
妹達が他のをいいと言うから、
私は嫌だと言えなかった。
「どれがいい?」
お母さんが私を店に連れて行って聞いた。
「?」
目の前には水泳バック。
「あれじゃあ、幼いでしょ」
ああ、解ってくれてたんだ。
なんだか嬉しくなった。
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