4話 自傷行為
毎日、毎日、非日常話が続くと、私の不安定な心が、益々不安定になった。
えすえむ話の終わり方を考えるが、どこをどうしてもそこに戻されてしまう。
私の中で、えすえむ話に切り上げたい気分半分、乗りたい気分半分というのも問題だった。
えすえむ話に乗りたい理由と言うのが、『切る理由が出来る』という私の狂気のささやきだった。
狂気は私に、『エスエム話に乗るという嫌な事をする代償』として、切る事を要求する。
正気は、えすえむ話に乗らなければ、切る理由もなくなって、不安定さも消えると訴えた。
興味本位で、えすえむ話に乗った私は、自傷行為という代償を大きく支払う事になった。
守り人さんが私の自傷話を聞きたくないという事も、私を大きく抉った。
守り人さんは最低限の自傷話は聞いてくれたが、『なぜそうするのか』は全く理解できなかった。
理解できる人間の方が少ないのだから、それは当たり前なのだと思う。
けれど、理解できないという事が、理解できていなかったのかもしれない。
それでも、守り人さんなりにどうにかしようと思ったのだろう。
守り人:じゃあ、内容を話そう。…「タナさ改造計画」と云う感じ。
タナトス:……。ご遠慮したい
守り人:タナさは結構内向的だけど、それが負の方向に働いてる気がする。
内向的な部分を残し生かして、でも、それを正の方に向けていければ…と思ってる。
…ワシは思い上がってるのかな?
タナトス:……そこまで判ってて、何する気? これだけじゃ、思い上がってるなんて思わない。
守り人:タナさの心のつかえを見てみたいし、ソコの中の原因を見出して、改善するのに手を貸せるのなら貸したい…と思う。
生憎と、その道のプロではないけど。
タナトス:ん~、よく判んない
守り人:その一環として、ハナシの流れでSMが出てきた。
ただ、さっきも云ったけど、それは手段の一つに過ぎないから、それを使わなくても可能なハナシでは在る。
タナトス:ですか♪
守り人:ただ、使うときは使うから、必ず無い訳でもない<SM
私はその宣言をうっすらと聞きながら、頭には残らなかった。
聞いたときに思ったことは
『そんなことが、できるはずがない』
だった。
私は、えすえむ話が理由で自傷をし始め、守り人さんは自傷をやめさせるために、えすえむ話をする。
大きなズレが、私たちの間にあった。
しばらくして、普通の話を普通にしたいと、守り人さんに伝えた。
私の要望は「でも、虐められるの好きでしょ」という話題へと変わった。
狂気が私の傍で囁いた。
『虐められるのは、だいすき。でも、私を傷つけるのは、私だけでいい』
守り人さんは、私の声を聞く事はなかった。
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