社会的養護とは?支援が必要な背景と私たちができること
社会的養護という言葉を聞いたことはあるものの、その意味や背景などを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
昨今は様々な企業で社会的養護が必要な子どもたちを支援する取組があるほか、有名実業家のひろゆきさんが「児童養護施設にPCを無償で配ろうプロジェクト」を実施するなど、支援の輪が徐々に広がっています。
しかしながら「社会的養護」という単語がいまいちピンと来ないことも多いのは確か。
本記事ではこども家庭庁の資料を参考に、分かりやすく解説していきます。
1.社会的養護とは?
①社会的養護の定義
こども家庭庁は社会的養護について以下のように定義しています。
つまり…
①保護者のいない児童の保護・養育
②保護者に監護させることが適当でない児童の保護・養育
③養育に大きな困難を抱える家庭の支援
これらを公的責任で社会的に行うことが、社会的養護だと定義されています。
②社会的養護の目的と役割
社会的養護の理念については、以下のように定義しています。
つまり…
①子どもの最善の利益のため
②社会全体で子どもを育む
これらを理念としていることから社会的養護は、公的責任で社会的に子どもたちの養育・保護、家庭の支援を行うという定義となっているのですね。
2.社会的養護が必要な背景
次に、社会的養護が必要とされる背景について、日本国内のデータから読み取っていきます。
①社会的養護が必要な児童数の推移
こども家庭庁は今年6月、要保護児童数(※1)の推移を表したグラフを公表しました。
令和3年度(2021年度)の社会的養護が必要な児童数は減少傾向にあります。一方、里親・ファミリーホームに入所する児童数は増加。
これは2016年6月に公布・一部施行された「改正児童法」に明記されている「家庭養育優先原則」によるものだと考えられます。
子どもたちには里親や特別養子縁組など「家庭」の養育が優先されることが原則であるという内容で、そのような措置が講じられてきた結果が数値に表れていることが予想されます。
②サポートが必要な背景
一方、児童虐待件数は増加の一途をたどっています。
全国の児童相談所における児童虐待に関する相談件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度(1999年度)が1万1631件、令和3年度(2021年度)は20万7660件で、約18倍に増加しています。
また、里親・乳児院に入所している子どものうちそれぞれ約5割、児童養護施設に入所している子どものうち約7割は「被虐待経験あり」と回答しているのです。
虐待を受けた子どもたちは「虐待サバイバー」とも呼ばれ、心と脳に大きな傷跡を残し、大人になっても後遺症で苦しめられるケースが多いです。
このような状況から、社会的養護の必要性・重要性は依然として高いことが伺えます。
3.社会的養護の分類引用
社会的養護には大きく、①施設養護と②家庭的養護の2つに分けることができます。
①施設養護
施設養護とは、児童養護施設などの施設で子どもを養育する方法です。
子どもへの支援はもちろん、その親を含めた支援が行われることもあります。
②家庭的養護
2つ目の家庭的養護は、里親などの親子に近い関係性の中で「家庭的な環境」を重視して子どもを養育する方法です。
また、これまで社会的養護が必要な子どもたちの自立支援に関して、原則18歳(最長22歳)までとなっていた「18歳の壁」と言われる年齢制限が、今年6月4月から施行された「改正児童法」により撤廃。
それぞれの状況や本人の意向を踏まえ、自治体等が適切だと判断する時期まで支援がを受けられるようになりました。
▶改正児童法に関する記事はこちら
4.私たちができること
最後に、こうした社会的養護が必要な子どもたちに対して私たちにできることは何かを見て締めくくります。
①支援団体への寄付
アクションの1つとして、社会的養護が必要な子どもや家庭の支援をしている団体への寄付活動が挙げられます。
助成金や補助金では使用用途が決められていたり、継続的な確保が見込めない不確実性などの問題点も。支援団体による持続可能な支援を目指すためにはこれらだけでは現実的ではないのが現状です。
社会的養護に関わる支援をしている団体の一例を紹介します。
また児童養護施設に直接寄付することができるサイトもあります。
まずは一度内容を見る所から始めるのも良いかもしれません。
②知ることも大きな一歩
社会的養護について正しく知ろうとすることも、支援において大きな一歩です。
NPO法人夢の宝箱では、広く社会的養護に触れ、自然な形で寄付に貢献できる機会を作ろうと、指定の店舗で対象のドリンクやフードを注文すると売上の一部が児童養護施設などに寄付される「おすそわけするんですよ。ぷろじぇくと」を始動しています。
こうした店舗に足を運び、飲食をするだけでも社会的養護が必要な子どもたちのサポートとなることができます。
▶導入店舗はこちら(2024年6月21日時点)。
ぜひこの機会に、私たちにできる支援は何かを一緒に考えてみませんか?
◆取材・編集
中村愛 - Ai Nakamura
青山学院大学経済学部卒業。新卒で医療福祉施設のM&A担当として新規施設の開所に携わる。その後児童福祉施設の支援員、タウンニュース編集記者を経て福祉業界に特化したフリーライターに。NPO法人夢の宝箱の広報担当。
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