定年退職後の夢がひとり旅なら読む価値あり！

私が定年退職後にやりたかった夢のひとつがひとり旅だった。
今でこそ有給休暇も堂々と取れるが昔はなかなかそうはいかなかった。
そのような思いから、定年退職で自由になった暁には先ずは旅に行こうと考えていたのだ。
ひとり旅に憧れていたのもその自由さからだった。

ひとり旅の本質に迫る

ひとり旅をしたいというだけでハッキリとしたビジョンなど考えていたわけではない。
ただひとりでどこか遠いところへ行きたいというだけの思いだった。
私の周りでも定年退職後に旅行をしようと考えている人は多かった。

サラリーマンの卒業旅行だと言ってクルーズ船で豪華な夫婦旅をする人もいた。
この前書いたように会社の定年退職仲間と海外旅行を楽しむ人もいる。
しかし私が考えていたひとり旅とは少し思いが違っていた。

旅行と旅、夫婦や友人と行く旅行とひとり旅、その違いは？

一般的には複数人で旅行を楽しむのが通例だ。
人生でひとり旅を楽しむ人の方がマイノリティーと言えるだろう。
定年退職後に旅行をする場合も、出来れば誰かと共有してこそ楽しめるというものだ。
そんなワイワイ言いながら遠くへ行くのが旅行でもある。

それと比較して遠くの知らない街や国へ静かに出かけるのがひとり旅だ。
話す相手がいないから静かになるのは当然だ。
考えてみるまでもないことではあるが、この常識のようなことが何となくしか分かっていなかった。

何故なら人生に於いてひとり旅の経験はほとんどないからだ。
旅行には多くの経験があってもひとり旅というと限られる。
今でこそソロキャンプというワードが人気を得るくらいひとり旅が認知されるようになったが、それも最近のことだ。

一人で遠くへ行って何をするのかと言えば、物思いにふけるとか自分を見直すといったことだ。
ワイワイとした旅行とは真逆で、ネガティブな印象さえ持ってしまうのが一人で旅をすると言うことでもある。

このNoteでも同じようなことを何度も書いているが、旅も人生と同じでハッキリとした定義があるわけでもなく輪郭もハッキリしないテーマの一つだ。

勘違いだったひとり旅とは？

複数人で行く旅行は理由を聞くまでもなく楽しい。

一人で出かけていたころ友人によく聞かれたことがある。
「一人で旅行に行って何が楽しい？」という友人に私は「さあ」と答えていた。

自分でもよく分からなかった。
実際楽しくないことも多かった。

特にパンデミック期間に行った国内車中泊一人旅では、一期一会の期待もなく運転疲れと孤独感しか残らないことが多かった。
物思いにふけって自分を見直すと言っても、ネガティブな感情が湧いてくるだけの日も少なくない。

コロナ禍ということで人に会うことも避け、コンビニ弁当で済ます遠出が楽しいはずもなかった。
しかも頻繁に行っていると非日常感までなくなった。

ただ遠くへ行って観光地を見学するというだけでは楽しめないことは分かっていたはずだ。
それでも続いたのは動画投稿という目的があったからだ。

その頃バイクで日本一周をしていた人が、途中で諦めたと言う話を聞いたことがある。
辛くなって諦めたのではなく楽しくなくなってやめたのだそうだ。

日の出や夕日の撮影をしていて出会ったカメラマンの人たちと話したこともある。
私はただ遠くへ出かけるひとり旅が楽しくないと分かって目的を持ったに過ぎないが、その人たちは純粋に美しい絶景を撮ろうと来ていただけで、目的のある旅をしているわけではなかった。

そこにはもちろん孤独と向き合い、自分を見直そうとするような目的はない。
登山や釣り、撮影目的などハッキリとした目的がある場合は、それはもはや目的旅であってひとり旅でないということだ。

私が考えるひとり旅とは！

定年退職後の夢が複数人で行く旅行なら問題ないが、ひとり旅の場合は前もって考えてみるのが賢明だ。
日本地図を塗りつぶすような実績作りの旅なら考える余地がある。

自己を見直すためのひとり旅なら、観光ではなく非日常に身を置くという意味でも日常とはまったく違う自然環境や文化の中に入り込む必要がありそうだ。

私が海外一人旅に憧れるのもそのあたりの理由からだ。
日本にも美しい自然やまだ行ったことのない場所は多くある。
しかしそこがひとり旅の目的地として向いているかと言えば、少し的を外しているような気がする。

都市部に住む人が山中一人で野営キャンプをするのと、姫路城を一人で観光する違いだ。
普段とは全く違う世界に身を置くことで自己を見直すことができると言うことだ。

この前韓国にひとり旅をした時も、敢えて全く言葉も通じない文化の中に身を置く計画を立てたから楽しめたのだ。
日本語の通じるホテルに泊まり、日本語で案内してくれるツアーに参加しても自己を見直すひとり旅にはならなかったはずだ。

非日常に身を置くということは緊張感をもって日常を見直すということでもある。
情緒が安定する我が家の日常が、如何に居心地のいい場所なのかを再認識するといったことだ。

そのような非日常世界では意表を突く判断も要求される。
そんなアクシデントにひとつずつ対応していくことで、自己の能力を見直すきっかけにもなるということだ。

非日常な環境は人によって変わる。
山奥の一軒家に住んでいる人が山中でキャンプをしたからといって非日常にはならないのと同じで、日本人が日本の文化の中に入ったからといって非日常にならないのと同じだ。

「旅は人生の道標」と例えられるのは旅も人生と同じで正解がないからだろう。
自分にとっての非日常はどこに行けば体験できるのかということを考える切っ掛けにしてほしい次第だ。

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