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定年退職は異次元へのワームホール!
今回は定年退職だけに視点を向けて振り返ろうと思う。
分かっているようで分かっていなかった定年退職の実態を反省と共に綴ってみるのと同時に、未来の定年退職についても探ってみた。
定年退職で失う形のない自由こそが厄介なもの
定年退職とは企業に勤務している人が、会社の定める年齢に達して退職することだ。
つまりサラリーマンと言われる人たちにしか当てはまらない人生の区切りだ。
そのことからも定年退職はサラリーマンに与えられた最後の特権と言えるものだ。
定年退職の未来
最近は定年退職の年齢がどんどん引き上げられている。
60歳から65歳、企業によっては70歳や定年制そのものを廃止した会社も4%程度あるようだ。
企業側にしてみれば労働者不足を補うメリットもあるがデメリットも少なくない。
サラリーマン側からすれば健康や労災リスクが高まり、企業側も世代交代しないことで若い世代のモチベーション低下や人件費の増大が懸念されるところだ。
現行の年金制度では将来世代の負担増などの理由から早急に是正する方向の案も出ている。
現行の厚生年金を廃止して一階建て年金制度にするのが次にリンクしている厚生労働省HPにあるE案だ。
そのために定年退職の年齢を引き上げたり廃止する方向へと動いているように思えてならない。
この案を見れば二階建て部分の厚生年金を、将来は企業年金や個人年金に置き換えようとするものだ。
しかし日本の企業の99%は中小企業で80%は零細企業と言われている。
公的年金の安心感はなくなり老後の所得保障の不安感は高まるばかりだ。
最近「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになったが、現在定年退職を迎えている人たちの話でないことだけは確かだ。
それなのに今元気な老人たちも「人生100年時代なんだから」といった錯覚にとらわれている人も少なくない。
まだ現役の人が定年退職の年齢を考える時に、「人生100年時代」を真に受ければ、元気な内に第二の人生を送るという夢をなくすことにもなりかねない。
もちろん生涯現役という人には、定年退職がない方がいいという考えの人も多いはずだ。
あくまで現在の日本人の平均寿命は男女とも80代で、健康寿命に至っては男性が72歳で女性は75歳だ。
定年退職で失くすものと得るもの
定年退職をして失くすものの中で最も形あるものが給料だ。
現在は65歳まで雇用を確保することが企業に義務化されているが雇用形態は様々だ。
60歳定年制の企業では継続雇用制度で65歳まで会社に残ることもできるが、働く側の意思で退職する年齢を決めることができる。
退職と同時に当然給与は支払われなくなるが、その代わりに得るもので望む人が多いのは自由だ。
会社の定年年齢を満了した人なら否が応でも自由を取らざるを得ないが、途中で退職する場合はその後の期間に得られるであろう収入と天秤にかけることになる。
形のない自由は過ごし方次第で価値を生むと考えるのが最もな見解だろう。
例えば仕事上の過労やストレスで健康を損なっているなら、定年年齢の満了まで無理をして働くのではなく退職して健康を取り戻す努力をすることでその価値は収入以上に高まると言えるだろう。
定年退職で失くす最も重要なものと言えば居場所とやることだ。
一生懸命に仕事に取り組んできた人には、気持ちのおさまりがつかないほど定年退職後のメンタル変化は重大だ。
定年退職で失くすものとして形ある収入は容易に想像できるが、形のない自由な時間こそが厄介だ。
自由な時間を埋めるためのやることを真剣に考えておくことで、やっと第二の人生に踏み出せるというものだ。
定年退職後に日常的に打ち込めることさえ考えておけば、必然的に居場所もでき自由な時間が価値を生むだろう。
定年退職後は異次元世界
現役サラリーマンの時は決まった時間に出勤し、精一杯仕事をして夕方になれば部下の退勤を促し最後に帰宅する繰り返しだった。
定年退職したら朝ウォーキングなどをして、これまでできなかったやりたいことを日課にでもして過ごしてみようとなんとなく考えていた。
このなんとなくが曲者だった。
なんとなく想像していた定年退職後の人生は自由でのんびりとした生活だったが、実際に退職して自由を手に入れると想像とはまるで違う人生が待っていた。
異次元世界と表現すれば大袈裟に聞こえるが、定年退職が次元を超えるワームホールだと言いたくなるほどその前後の人生は別世界だった。
反省するとしたなら、もっと輪郭のハッキリとしたビジョンを持って退職すべきだったということだ。
自由だからといって時間がゆっくり進んでくれるわけではない。
定年退職というワームホールを通り抜けると、時間までもが早く進む世界に来てしまったようでもある。
しかし私には、この異次元世界で手さぐりでも生きていくしか道はないのだ。
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