老後の海外街歩きの旅【ソウル】
韓国は気軽に行ける近い国だ。
韓国には何度も行っているが韓国ならどこでもいいわけではない。
今日は「日本ではありえない海外文化に触れるひとり旅!」の続きを、なぜソウルが好きなのかを踏まえて書こうと思う。
田舎者が好きになった都市、ソウル
釜山も済州島も何度か行ったが、個人的にはソウルが好きだ。
この前は初めての慶州(キョンジュ)へ行ってみたいと思ったので釜山にも行ったが、無条件にリピートしたいと思うのはソウルだ。
おそらく都会に憧れる田舎おやじの習性なのだろう。
先月韓国にひとり旅を決行して最後はソウルを歩いたが、昔の思い出が蘇り懐かしさを感じた。
ソウル路地歩き
水原(スウォン)から地下鉄でソウルに入った。
水原では駅に向かうバスに間違って乗ってしまったり、地下鉄で私より10歳は年上であろう老女に席を譲って頂いたことはこの前書いた通りだ。
鍾路3街(チョンノサムガ)で地下鉄を降り、今朝になって予約したホテルのある清渓川(チョンゲチョン)の方に歩いた。
まだ10時半だったのでホテルにリュックを預けるためだ。
今朝、水原(スウォン)のホテルを出た時は雨が降っていたがソウルは曇りだった。
今日はソウルの北エリアを歩く予定だ。
ソウルには明洞(ミョンドン)エリア、江南(カンナム)エリア、梨泰院(イテウォン)エリア、弘大(ホンデ)エリアなどもあるが、その中でも北エリアは私のようなひとり旅年配者向きだ。
目的がショッピングでもグルメでもないからだ。
強いて目的を言うなら街歩きだ。
私がソウル北エリアと勝手に呼んでいるのは清渓川という川の北側で、このエリアには世界遺産に登録されている歴史的観光地も二か所ある。
しかしその観光地には以前行っているので今回行く予定はない。
これがひとり旅の特権だ。
もし同行者がいればその歴史的観光地のひとつには必ず行くことになるだろう。
先ずは益善洞(イクソンドン)で路地歩きをすることにした。
貴金属店の多いトンファムンロ11ギルという通りの北側が益善洞(イクソンドン)だ。
ここに来るのは定年退職してから二度目だ。
その時は同行者がいたので世界遺産のチョンミョと仁寺洞(インサドン)しか行かなかった。
益善洞(イクソンドン)はソウルで最も古い韓屋村だ。
今はその韓屋を改修した飲食店や個性的なショップが多く、お洒落な街として賑わっている。
益善洞に入ると迷路のような細い路地が他にはない独特な雰囲気を作っている。
ソウルで路地歩きを楽しむならここを外すことはできないと思えるほどだ。
海外旅行に限らず路地歩きは楽しいものだ。
おそらく路地歩きは冒険的欲求が満たされるに違いない。
路地歩きも街歩きも同じようなものではあるが違いがあるとすれば道の広さだ。
道の広さによって街並みは随分と変わって見える。
道が狭ければ狭いほど期待感も高まり、この先には何があるんだろうといった緊張感が旅欲求を満たしてくれるのだ。
ソウル街歩き
益善洞の路地を抜ければビルも立ち並ぶ大都市の景観だ。
そして益善洞の西側の大きな道路を北に向かって歩くと北村韓屋村がある。
昔は観光客もそれほど多くはなかったが、SNSで世界中にその景観が拡散されたせいで今は京都と同じような状況だ。
観光客のほとんどは私も含め外国人だ。
特に北村六景と言われる高台ポイントには人が多すぎて近づくのも憚られるほどだ。
ここも古い韓屋村の景観が人々を魅了しているが、益善洞との違いはただの住宅街だということだ。
静かに歩いて通り抜ける程度の観光を心がけた。
この辺りは路地と言うほどでもないが、車が1台何とか通れるほどの狭い道路が続いている。
ここも景観を際立たせる道幅だ。
遠くにソウルのビル群も見える高台は格好の写真スポットだ。
ここに早めに来たのは坂道が多いからだ。
歩きすぎて疲れてから来ようとは思わない。
明洞エリアと北エリアを分ける清渓川で休憩
チェックインをするために一度ホテルに戻ったが30分程度早かったので、その近くにある清渓川を歩くことにした。
この川はソウルのオアシス的散歩コースになっている。
川の水も澄んでいる。
道路から階段を降り清渓川に沿って作られている遊歩道を歩く。
ランニング中の人やデート中であろうカップル、散歩中の夫婦連れが目立つ。
おそらくそのほとんどはソウルの住人だろう。
ベンチに座り道行く人たちを眺めながら、他の人から見れば私もその辺に住む老人に見えるのだろうかと考えたりした。
ついでにスマホで動画編集に精を出していると、いつの間にかチェックインの時間が過ぎていた。
このように観光をするでもなく過ごす時間がひとり旅の好きなところだ。
ソウル旅で必ず来る街インサドン
チェックインを済ませ、先ほど北村からの帰りに通った仁寺洞へ再び戻った。
ソウルへ来れば必ず寄るのが仁寺洞(インサドン)だ。
30年以上前、初めて韓国に来た時もここへ来た。
いや、来たというより観光コースに入っていたので連れてこられたと言うべきだ。
その当時は今のように綺麗な街ではなかったように思う。
筆や骨董を売る商店も多く、古い商店街といったイメージだった。
そのイメージは来るたびに刷新され、現代的な街へと変わっていった。
気のせいか道幅まで随分と広くなったイメージだ。
しかし個人的には昔の仁寺洞が懐かしい。
今回も仁寺洞で長い時間を過ごす予定だ。
仁寺洞で先ず行ったのがサムジギルというショッピングモールだ。
中庭を中心にらせん状のスロープを、ウインドショッピングしながら4階まで上がる仕組みになっている。
まるでお洒落な店が立ち並ぶ小道の坂を歩いている感覚だ。
それが路地散策と同じような効果を得られるから歩いているだけでも楽しく感じるのだ。
そのサムジギルの横の路地にも色んな飲食店が並んでいる。
その路地にある毎回来るたびに休憩していた伝統茶の店に行くと、コロナ禍に耐えられなかったのか閉店していた。
仕方なく他の伝統茶の店を探すことにしたが、仁寺洞は昔から伝統茶の店が多くあった。
脇道の路地へ入って、そんな店がないか探すのも悪くはない。
歩いていると一軒の店が目に入った。
伝統茶の看板を掲げているので中に入るとまさしく伝統茶が似合う装いの店だ。
ベージュ色の壁土に無垢材のテーブルや椅子など古い韓屋をお洒落に改修した洗練された内装だ。
昔の伝統茶店は洗練されたイメージではなくアイデア勝負の内装の店が多かった。
例えば壁紙に新聞紙が使われていたり、昔風の白壁に昔使われていたキッチン道具を吊っていたりした。
建築関係の仕事をしていたこともあり、そんな内装を見るのが好きだった。
これまで来た仁寺洞を思い出しながらテチュチャ(ナツメ茶)を注文した。
この店のテチュチャはこれまで飲んだことのない初めての喉越しだった。
飲み物なので食感という表現はできないが、少しとろみがあるように感じるほど濃い口当たりだ。
そうかといってしつこい甘さではなく疲れが取れる甘さだ。
このような伝統茶店が多いのも仁寺洞(インサドン)が好きな理由だ。
その仁寺洞に3時間以上もいたが飽きることはなかった。
明日仁川空港から帰るので余ったウォンは仁寺洞近くの優良両替所で円に買い戻した。
夕食はカード前払いでカルビタンを食べたが、これも疲れが取れる料理だった。
ソウルが好きな理由
何度もリピートするほどソウルが好きな理由はいくつかある。
日本ではない緊張感もありながら日本と同じような安心感があるからだ。
全く違う多くの文化を感じながら非日常感を得られることも一つの理由だ。
それだけならソウルでなくてもいいわけだが、ソウルには韓国のすべてを凝縮した街が点在していることも魅力だ。
慶州のような歴史を感じる街や観光地、そして大きな市場も多く街歩きや路地歩きに相応しい通りも多くある。
何度か来ているうちに土地勘も付いてしまったから田舎者なのに迷うこともない。
何故か大阪で迷うことがあってもソウルでは迷子にならないのだ。
昔と比較すれば街も綺麗になっているが、それでも昔からある市場に行けばまだアジア的喧騒な街の雰囲気も感じることができる。
そのような日本では体験できない何かがソウルにはあるのだろう。